天地わたるブログ

ほがらかに、おおらかに

イギリス報道雑感

2016-06-26 06:40:08 | 世相


きのうの朝4時ころ起きて取っている讀賣新聞で英国のEU離脱記事ををざっと読んだあとコンビニへ走った。
朝日、毎日、産経はこの件をどう書いているか。この3紙を買った。

新聞は1面でかなり色合いが出る。
讀賣は竹森俊平氏(慶応大学教授)の寄稿に「蔓延するポピュリズム」という見出しをつけている。つまりイギリスの人々は衆愚であると暗に批判している。
朝日は、梅原季哉氏(ヨーロッパ総局長)の「理念先行型の統合終幕」という記事が目立った。EU本部を牛耳るエリートたちとイギリスの地方で置去りになっている庶民との乖離に注目している。
産経の田村秀男氏の「金融体制崩壊の号砲」はぼくもずっと考えていたところである。
毎日の「忍び寄る崩壊の兆し」なる記事のなかにおける、「パンドラの箱」を開けた影響は計り知れない、という一節は俳句のように響いた。

毎日はキャメロン首相が下手な手を打ったことを暗に批判している。
毎日は3面でこういう国際条約を問う場合に国民投票を禁じているイタリアの良識(憲法改正が必要)を取り上げてこの愚策批判を補強しているように見える。
ぼくはキャメロンさんが国民投票というまずい手をひっこめていても早晩この事態になったと思うのだが、昨今話題になってきた国民投票や住民投票はそんなにいいことかかなり疑問。
もう現代社会は古代ギリシャの都市国家ではないのだ。

松井一郎氏(おおさか維新の会代表)がこの悪い手法に対し、「究極の民主主義で方向性を決めたということ」とキャメロン氏を支持しているのには首をひねる。
この政党は自由主義を維持しつつ行政改革をはじめいろいろなアイディアを出してくるので評価していたのだが、代表のこの民主主義認識を知ると大丈夫かなあという気になってしまう。
大阪腑構想をぼくは住民投票ではからなくてよかったと思う。いまは代議制の時代なのだ。
それに関連して思うのは裁判員裁判の非合理性である。
素人を専門家集団に引っ張り込んでにわか仕立ての仕事をさせて無理をさせる。
仮に世の実情と裁判内容が合わない、それを補うのであれば法律を改正して実情に合致さえていけばいいのではないか。
民主主義というのは直接性のことなのか。
民主主義を金科玉条に祭り上げることの怖さも感じた。

朝日がアンガス・アームストロング氏(英国経済社会研究所調査部長)の「グローバル化への抵抗」という視点を示したのはいいが、朝日もほかの新聞もグローバル化は当然、ないしそれが世界にとって必要みたいなニュアンスがある。

これに対してはやくからEU崩壊を予測していたのが小林よしのり氏。
彼の著書『民主主義という病い』において、民主主義はナショナリズムのなかで血を流さないかぎり得られない、という。また民主主義は欧米のいうようなものだけでなく日本にも存在していた考えである。グローバリズムは欧米が自分の袋に入れてしまうという発想であり民主主義の敵である、と断じている。
こういった本質を抉るような視点を新聞が持たないと表層でいたずらに騒いでいるような感じがした。
どの新聞も。

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