天地わたるブログ

ほがらかに、おおらかに

鷹主宰、福永耕二を語る

2018-01-21 08:48:30 | 俳句

来月7日、57歳になる小川軽舟主宰



きのう鷹中央例会新年句会と懇親会が如水会館で行われた。投句者279名、総句数557句。
主宰選に入った句は181句。主宰の人数での〇配球率は0.648は例月通り。
小生は手堅い叙景句<寒星や湖面波立つ山颪>を採っていただいた。今はシングルヒットで十分という気持ち。

【季語別鷹俳句集の電子版化】
小川軽舟主宰の話は大きくわけて二つ。
一つは結社が老齢化などでばたばた消えて行く昨今、鷹へは若手の加入が相次ぎ頑張っている。ただし紙による表現だけで今の世の中にかなうのか。
そこで、鷹俳句会が創刊50年を記念して平成26年に出版した『季語別鷹俳句集』の電子版化を、版元のふらんす堂と共に進めている、とのこと。
ちなみに隣にいたN君がスマホでぼくの収録句を検索したところ、たちどころに37句がずらずら出てきてたまげた。30句はあるだろうと思っていたが正確な数は知らなかった。便利なアプリができたものである。




【主宰の読初は福永耕二】
主宰のもう一つの大切な話は、鷹は「抒情」路線であるということ。それを語るために主宰は、年末年始休暇に読んだ仲栄司『墓碑はるかなり 福永耕二論』(邑書林3,024円税込)の内容をかいつまんで話した。
福永耕二の代表句は<新宿ははるかなる墓碑鳥渡る>。
福永耕二は湘子が所属した水原秋桜子の『馬酔木』の編集長をつとめた。42歳で早逝したがその直前、編集長を解任されたということを主宰は知らなかったという(ぼくはもとより知らない)。解任という事実にショックを受け興味を持って読み進んだという。
解任したのは主宰を継いだ堀口星眠だがそのとき彼が、このことは秋桜子先生も了解している、と告げたという。
鷹主宰は、湘子が『馬酔木』の中で結社内雑誌「鷹」をつくり、若手の練磨をはかったとき内部で、これは謀反だと讒言する者がいて『馬酔木』を出ざるを得なくなったことに触れ、同じことを繰り返しているとし、秋桜子の主宰としての度量の狭さをかこつのであった。
現在、鷹主宰にそういう讒言をする者はいない(加えていうと、主宰は簡単に讒言を聞く耳をもたない資質がある)。足の引っ張り合いもなく健全である、というところへ話を帰結させた。

秋桜子、波郷、湘子に加えて耕二を加えることで主宰は抒情詩としての俳句を強調したのであるが、現在、俳句界で抒情が流行らなくなっていることを指摘。その心理に甘さを嫌う心理があると分析。
甘くなる原因として「このへんでいいんじゃないか、こう書いておけばまあいい」という作者自身の不在を問題にした。作者自身の感動が一句にあるか、これはぼくも小句会でよくいっている内容であり、納得した。
旧態依然の抒情におんぶにだっこではマンネリ化する。それを打破してゆくのが鷹俳句会の抒情である、と締めた。


句会場
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