きのう府中市生涯学習センター俳句教室5回目に臨んだ。
遅刻常習のМさんが定刻5分前に着席している。ほかの方々の顔もさらにいきいきと、また笑いが増えて、がぜん一体感が出て和やかな雰囲気となった。
湘子が提唱した型四つのうち最後の型・その4の句の発表である。
型・その4は、「細雪妻に言葉を待たれをり 石田波郷」のように上五を五音の季語で切れをつくり中七下五にこれと無関係のフレーズを配して下五を「けり」「たり」「をり」などで決める形。これは取り合せ(二物衝撃)だが、「桐一葉面をあげて落ちにけり 藤田湘子」のような一物もある。
あまり細かいことは言わず、とにかくしまいを切字にするよう宿題を出しておいた。
比較的できのいい作品は以下のとおり。
雪晴れて洗濯物が舞ひにけり 満喜子
「深雪晴」としたほうがこの型を十全に生かした形だがこのままでもすかっと見える。青と白のコントラストがいい。
ハローウィン濁りし月の出でにけり みつ子
季重なりだが離れ具合はいい。作者は月の色を言いたいようなので「月あかあかと」もありうると示唆。
細雪湯の沸く音の響きけり 洋子
茶を飲む湯を沸かしているのか。外の雪とうまく配合して冬のあるいっときを見せている。
松の芯早めに宿に着きにけり 泰子
春の夕暮れ、松の芯が印象的。部屋から外をみて安堵している感じがいい。
多喜二の忌サイレン遠く消えにけり 雪江
たぶん昨今の降雪で救急車が飛び回っていることが中七下五だろう。これを多喜二忌にぶつけたのは非凡であり驚いた。当局の拷問を受けて死んだ多喜二と救急車のサイレンは響きあう。「消えにけり」が死を濃厚に連想させるのもいい。
みなさんとつきあいが深まってきてやたら褒めなくてもよくなった。
「雪重し苺の室の崩れけり」「どか雪の除けるに力要りにけり」に対してもう気を使わず、
「そりゃあそうなんだけどねえ…という句じゃないですか」と言っていい雰囲気になったのがありがたい。みなさんも講師がそういう意図をかなり理解している表情である。
これに対し「だいたい私たちの句って、そりゃあそうなんだけどねえというレベルじゃないですか」と苦笑しながら発言するかたも出てきて、とにかく明るくなった。
さて来週は最終回。
念願の句会である。とにかく全員が句会を楽しめるまでになったことを喜びたい。