天地わたるブログ

ほがらかに、おおらかに

『妖星伝』ハードカバーを探そう

2014-02-25 04:41:04 | 
奥坂まやの『鳥獣の一句』(ふらんす堂)は、著者の博識ぶりが句の鑑賞の随所に見受けられる。特に文献の引用が巧みである。
たとえば
4月20日 天日のうつりて暗し蝌蚪の水 高浜虚子
に対して次のような鑑賞がなされている。

半村良の傑作SF小説「妖星伝」は、宇宙人の視点から地球の生命の暗黒面を抉った。あまりにも満ち溢れた命は、お互いに喰らい合わなければ生きてはいけず、このような醜い星は、宇宙に他に存在しないというのだ。「妖星」とは地球のこと。水面が黒く見えるまで犇めいている蝌蚪もまた、池の中に存在する命を喰らい、また喰らわれ、ごく僅かなものが生き延びて蛙になることが出来る。


半村良原作の映画「戦国自衛隊」はおもしろかった。自衛隊が戦国時代の戦に加担するという発想がよかった。だが、『岬一郎の抵抗』を読みかけてほったらかしにして以来、この作家は一冊も読んでいない。
SF、伝奇ものはそう好きでないということもあるが奥坂のコメントを読んで『妖星伝』を読むことにした。

奥坂のいうように「あり余る命が互いに殺し合ってしか生きられぬ地球」が本書のテーマである。そのことを登場人物のひとり、お幾が「鬼道の奥義」という。お幾は鬼道を行う蠱惑的な年増。お幾に奥坂まやのイメージがかぶさってきて困る。
借りてきた一巻目は文庫であった。
なんとかまだ文庫の小さい字が読めた。ということは「妖星伝」はおもしろいのだ。


府中市の図書館はハードカバーを持っているのではないか。
ハードカバー版を探すことと、お幾から奥坂のイメージを払拭することが課題。
「7巻目は蛇足だから読まないように。未完は未完でいいのよ」というのが奥坂のアドバイスであった。
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