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天地わたるブログ

ほがらかに、おおらかに

芸は身を助ける翠富士

2024-03-22 05:37:29 | 大相撲


11日目正代を破った肩透かし(右:翠富士)


大相撲春場所、尊富士の連勝がきのう止まったが、彼の属す伊勢ヶ濱部屋のほかの富士も頑張っている。それは翠富士でありこの人の芸が「肩透かし」。
8日終って3勝5敗と危なかったが、9日目豊昇龍、10日目琴勝峰、11日目正代と破った。その決め手がすべて肩透かし。肩透かし3連発で6勝5敗と持ち直し、きのう霧島を寄り切って、7勝5敗とした。霧島戦でも立ち合い一瞬の肩透かしを見せた。決まらなかったが。
身長171㎝、体重117㎏。現在の大相撲では小兵である。
160㎏以上ある力士とこの体で戦うにはよほどのものがないと無理。彼は生き延びるひとつのよすがにこの捻り技を習得した。ここまで決まると伝家の宝刀である。相手はわかっていても食ってしまう。彼がいつこの技を繰り出すかと見るだけでうきうきする。そう思わせる力士は貴重である。
幕内14場所で98勝97敗15休。すばらしい。
伊勢ヶ濱部屋には照ノ富士をはじめ熱海富士と魅力的な力士がいる。尊富士も周りのいい影響を受けて伸びてきたのであろう。翠富士、頑張れ。あと1勝だ。

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琴乃若おまえもか

2024-03-21 06:06:33 | 大相撲


〇尊富士(寄り切り)琴乃若●

大相撲春場所、前頭17枚目、新入幕の尊富士が歴史を変えようとしている。
尊富士を軽視していた。8連勝してもフロックだろうと、大の里のほうが上だろうと思っていた。10日目その大の里と対戦したとき連勝は止まると予測したがたやすく押し出しで破ってしまった。ここでやっと尊富士を見直した。
なぜこれほど勝てるのか。みなたやすく負けている。完敗という負け方である。
きのう11日目、大関琴乃若と対戦した。最近の大相撲でこの対戦ほど緊張して見たことはない。大関は尊富士を止めるだろう、止めなければいけない、と思った。伝統ある大相撲がぽっと出の新人に舐められていいのか。小生は大相撲協会の重鎮ではないが権威ががらがら崩れるのを嫌っていた。
琴乃若はいま横綱にもっとも近いところにいる力士と評価している。腰がずっしり重くて押されにくい。前さばきがよく相手が懐に入りにくい。防御において大関の誰よりも優れていて前へ出る威力もある。琴乃若が尊富士を粉砕することを期待した。ところがまったく逆の結果となった。
琴乃若おまえもか、である。
写真のように、立ち合いに右からいなされて尊富士(左)の体勢が崩れた。ここを一気に大関に押されて負けるだろうと思ったが持ち直し、逆に右を差してからの出足は目覚ましかった。なす術もなく大関が寄り切られた。完敗である。
かの大横綱大鵬と並ぶ新入幕11連勝を成し遂げてしまった。フロックでできるはずがない。拾ったという勝ちがないのも好ましい。
今や尊富士という四股名は日本武尊(やまとたけるのみこと)を連想させる。上がってきた新人に期待して裏切られたことはままある。
最近では、逸ノ城である。1年で横綱になりそうな強さであり専門家もそう思った人が少なくない。けれど失速して引退した。顔付を見るかぎり逸ノ城とは違う気がする。
さて、豊昇龍が破竹の勢いを止められるか。大関の威信がかかっている。12連勝したら優勝だろう。




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ふんどしを締めろ朝乃山

2024-03-13 07:26:16 | 大相撲



〇輝ノ富士(寄り切り)朝乃山●
大相撲春場所3日目、輝ノ富士は対戦前からホッとしていたのではないか。朝乃山は大関時代から輝ノ富士には全く歯が立たず勝ったことがない。双方が右四つ、寄りという同じタイプで組み合うことが多くそうなれば横綱の方が勝る。朝乃山に諸差しの技術があるなら有利に組み合えるがそれもない。ということで6戦全敗なのである。
きのうも組み合った。双方上手が取れなかったが最後、横綱が上手を引いて寄り切った。このとき朝乃山のまわしが解けて見苦しく、よもや「不浄負け(ふじょうまけ)」が出来するのでは、と危惧した。横綱はまわしが解けないように気づかうように静かに決めた。

以下Wikipediaより*****************************************
不浄負け(ふじょうまけ)とは、相撲の取組中に廻しの前袋が外れて陰部が露出することであり、露出した側の力士が即座に反則負けとなる。
相撲の勝敗を決定する要素の一つではあるが、「不浄負け」は通称であり、現在大相撲で82手が定められている決まり手には含まれず、また勇み足や腰砕けのような5種の勝負結果(非技)の中にもない。

不浄負けとなった朝ノ霧
2000年5月場所7日目、千代白鵬との対戦で組み合いの最中に朝ノ霧の廻し(前褌の部分)が急にゆるみ、行司の待ったも間に合わずに陰部が露わになった。このことにより鳴戸審判長(元横綱隆の里)から物言いがついた後「東方力士の前袋が落ちたので西方力士の勝ちとします」と場内に説明。朝ノ霧は勝負規定第16条に基づき反則負け(不浄負け)となった。
これは、1917年5月場所3日目の十両男嶌と幕下友ノ山との対戦で男嶌が喫して以来、83年ぶりの珍事であった。


「諸差し」に引っかけた「モロ出し」なる見出しが光る。

この取組は翌日の日刊スポーツにおいて一面トップに掲載され、ロイター通信によって世界にも打電された。また、『相撲で最もまれな負け方』としてギネスブックにも掲載された。
当事者である朝ノ霧は原因について「一時的に身体が痩せた際に廻しが余り過ぎたため短く切ったが、身体が元に戻って今度は足りなくなってしまった」と述べていた。尚、この取組の後、新しい廻し(7メートル5600円)を購入し、古い廻しは後年、好角家の漫画家・やくみつるに譲渡された。
*****************************************
不浄負けはめったに起こらない。それを見たくもない。見せたくないものが露出されるという点でプロレスにおいてマスクマンがそれを剝がされるということがあり、大相撲のまわしが外れるのに似た屈辱となっている。
このときマスクを剥がされたレスラーは付き人の差し出すタオルに顔を包んで控室へ逃げ帰る。朝ノ霧の露出の後の顛末を小生は知らない。残念である。
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ころころと大関こける春疾風

2024-03-12 06:26:31 | 大相撲
「荒れる春場所」とはよく言ったもので今年もそれから免れないようである。おととい、きのうと2日消化し、大関・横綱で2連勝した力士がいない。
  照ノ富士1勝1敗
  霧島  0勝2敗
  貴景勝 1勝1敗
  豊昇龍 1勝1敗
  琴ノ若 1勝1敗
横綱・大関合わせて10戦して4勝6敗である。2敗の霧島にもはや優勝はないだろう。



●霧島(寄り切り)熱海富士〇
前日、阿炎に引き落としで負けたのが効いているのか霧島に前へ出る意欲が乏しかった。赤のまわし(熱海富士)より黒のまわし(霧島)の方が低く、前へ出るべきだったのに、投げで崩そうとして熱海富士に残す機会を与えた。相手が重いので投げで降って横から攻めようとして逆に食いつかれた。熱海富士は四つ相撲が巧い。1歩2歩寄ってからの投げなら効いていただろうが、寄ることを怠って相手にいい態勢をつくられて負けた。なさけない。





●貴景勝(上手投げ)阿炎〇
立ち会い、阿炎に突っ張りで攻め込まれたのが敗因のすべて。押されてから逆襲したが阿炎との間にできた空間を阿炎が利用した。懐の深い阿炎にとって貴景勝は「飛んで火に入る夏の虫」という感じで出足を利用されてこけた。
相撲はとにかく前へ出ることであると大関の敗戦は教えてくれる。

さあ、どうなるのか。照ノ富士がきのう勝ったので調子を取り戻せば優勝の一番手だとは思う。けれどわからない。おもしろい。
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プロは見せる

2024-01-29 06:33:22 | 大相撲


大相撲初場所、宇良が竜電に「伝え反り」をきめて勝った。新小結で6勝9敗と負け越したが最後に奇手を見せてくれた。竜電の脇の下にもぐり込み、大きく体を反らせて土俵の外へ運んだ。22年秋場所の宝富士戦でも決めているというから得意技である。
「伝え反り」は限りなくプロレスでいうスープレックスに近い。プロレスにはスープレックスと名のつく技が数多あるが宇良はどれもできそうな背筋力を持つ。今すぐプロレスに転向できそうな力士である。しないだろうが。





初場所は見どころの多い場所であった。
横綱照ノ富士の優勝は中日まで考えていなかった。中日6勝2敗となったとき10勝はできそう、10勝すれば御の字と思った。中日まで持たず途中休場もあると踏んでいた。2敗のまま上位陣をつぶして優勝するとは考えにくかった。
おおかたの予想をひっくり返しての優勝は見事であった。
特に千秋楽の2番、霧島戦、琴ノ若戦は目をみはった。霧島戦、立ち合ってすぐ照ノ富士の右が入り腕を返すと霧島の身体が浮いた。右はそのときまわしをぐっと摑んでいた。土俵から浮遊した霧島に対してウォ~と声が出て彼をはかなんだ。ここで霧島の勝ちはなかった。宇良の伝え反りを書いたが相撲の王道は「腕を返す」ことである。腕を返して相手の足が土から離れるなど最近見ない光景であった。これぞまさしく相撲の醍醐味、霧島の夢もプライドも雲散霧消した。
14日目、豊昇龍が休場して不戦勝となったのは横綱にとってボーナスであった。この苦しいとき棚ぼたの白星をもらったことで千秋楽が楽になったことは確かだろう。

琴ノ若との優勝決定戦、横綱にさっきの相撲を取られたら琴ノ若に勝機はないだろう、そして横綱はもう一度鋭い相撲を取るだろうと思い、そうなった。
照ノ富士に気が満ちていた。
立ち会い琴ノ若はもろ差しを狙った。それを拒否したのが横綱の勝因。正代戦でそれを許して完敗した反省が生きていて、右で相手の左に差し勝つと一気に出て、途中巻きかえて逆にもろ差しになったとき勝負が決まった。技術的にも文句ない横綱相撲であった。
これで照ノ富士は霧島、琴ノ若に対して1敗もしていないことになる。大きな壁が立ちはだかっている。立ちはだかる壁こそ横綱であろう。
これを倒さないかぎり彼らに横綱はない。霧島、琴ノ若、どちらが横綱に近いかと問われれば琴ノ若と答える。琴の若には重みがあるし伸びしろがある。霧島はある瞬間軽くなってしまう。それをどう克服するかであろう。

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