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天地わたるブログ

ほがらかに、おおらかに

突っ張りの功罪 阿炎関

2024-09-18 05:57:13 | 大相撲

10日目、宇良にとったりで負けた阿炎


大相撲九月場所。おおかたの関心は関脇大の里に集中している。きのう大の里は1敗で追ってきた霧島を寄り切って10連勝。立ち合いに変化した霧島はなさけない。大相撲の盛り上がりに水をさした。優勝はほぼ間違いなく全勝できるかという興味に変わった。
同じ関脇でほとんど注目されていないのが阿炎。今年の成績は、初場所8-7(西前頭2枚目)、三月場所9-6(小結)、5月場所10-5(関脇)、7月場所8-7(関脇)。活躍して上位をキープしている。大の里同様注目されていい力士なのだが、きのう宇良にとったりで破れ、2勝8敗と負け越しが決まった。関脇まで来られるがここを越えていけないのが阿炎である。
武器は、突き、押し。きのう宇良戦も終始、突っ張りを繰り出した。しかし宇良は、突きまくられるも頭を上げずにひたすら耐えた。機を見て相手の右腕を両手で抱えてとったりで仕留めた。
小生は阿炎の一番の武器「突っ張り」を問題にする。
阿炎が突っ張りを繰り出しながらのど輪を突き上げて土俵へ持ってゆく取り口には感動するが、この戦法が成功する確率より、外されて墓穴を掘る確率のほうが高いのではないか。突っ張りで相手を土俵に出そうとするが終盤で交わされたり、いなされて体勢が大きく崩れ負けたシーンを何度となく見た。
阿炎の突っ張りを見てこの技はえらく危険だと確信するに至った。
突っ張りは相手との距離を取る技である。四つ相撲のように体が密着するのと逆だから相手の自由を殺すことができない。これがきのう宇良に負けたような結果を招く。阿炎の出す腕をみんなが狙っているのである。
阿炎自身もそれに気づいていて、押し込んでいって突き切れないと、はたく、ということを覚えた。これが案外決まるから突いていってはたくという相撲が増えてきた。しかし楽をして勝つ相撲で大関には上がれないのである。
突っ張りを立ち合いの直後だけにして、別の戦法を取ることを考えていいのではないか。
大鵬と鵬時代を築いた柏戸を思い出す。柏戸は初期、阿炎と同じ突っ張り相撲であった。ところが横綱になってからそれをほとんど見なくなった。
横綱になって柏戸は、立ち合い、前みつを両手ですばやく引いて寄る、という相撲に変えたのである。柏戸の電車道はこうして完成した。
阿炎がかの柏戸ほどの相撲内容の変革をできるとは思えない。
けれど、突っ張りからどちらかを差してのはず押し、はできるのではないか。
身長187cm、体重166kg。まだまだ体を有効に使っていない。いまの取り口ではもったいないし先がないと思うのである。
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照ノ富士が優勝する

2024-07-23 05:30:50 | 大相撲

受け止める横綱(左)


大相撲名古屋場所9日目、いちばんの見物は横綱・照ノ富士と小結・大栄翔が対戦した結びであった。
休場明けの横綱がここまで勝ち続けるとは予想していなかった。2敗なら上出来くらいに思っていた。
その横綱にとって一番の難敵が大栄翔である。2敗は不戦敗を含むとはいえ両者の対戦成績は照ノ富士の8勝7敗。
幕内全力士の中で立ち合いの推進力ナンバーワンが大栄翔である。照ノ富士が負けるときは立ち合いで一気にふところに飛び込まれてのけぞる。そうなると低い体勢の大栄翔に一気に押し出される。そのシーンを何度も見てきた。
大栄翔は天敵である。相撲は単純明快に前へ出る推進力であると大栄翔は教えてくれる。
立ち合いにすべてがある。
照ノ富士は受けて上体が伸びない。大栄翔がしゃにむに押して出るが横綱は下がらない。
このとき負けないだろうと思った。相手の攻撃を受けて余裕を感じた。
はたして大栄翔は次第に力を削がれていき土俵に這った。決まり手は「上手出し投げ」だが巌にぶち当って撥ね返された感じであった。
盤石である。
いちばん嫌な押し相撲を退けて追ってくるやからと2差。
今日取り組む霧島は敵ではない。前で出る力が鈍い。後は大関・琴櫻だが横綱の優位は揺るがない。
舞の海さんが稽古不足からくるスタミナ切れを心配していたが、今のところいけそうである。
こうなったときの横綱は優勝のしかたを熟知している。久々に2敗以内の優勝が見られそうである。


盤石に撥ね返された大栄翔

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大相撲に救世主出現

2024-05-27 05:56:07 | 大相撲

阿炎を圧倒する大の里(撮影:久冨木 修/スポーツニッポン新聞社)


新小結・大の里である。
きのう夏場所の千秋楽、阿炎をたやすく押し出して12勝3敗で優勝した。ほかに技能賞、殊勲賞も受賞した。初土俵から7場所目での幕内優勝をはじめ記録づくめの快挙である。

舞の海さんは来場所の成績次第では大関にしてもいいというし、八角理事長もラッキーの優勝ではない、実がある、と大きな期待を寄せる。
11勝11勝12勝なら次の場所10勝でも大関にしていいと小生は思う。4場所で44勝である。ついでに言うと、大関に上がる成績が直近3場所の勝星が31とか32とかで審査されるがそれがあてにならない状況。4場所で43勝みたいな基準に改めたらどうか。その初めを大の里にしてもいいだろう。

大相撲関係者また大相撲ファンは英雄の出現を待望している。
良くも悪しくも白鵬は英雄であった。彼が引退してから大相撲のピラミッドの上が欠けて落ちた感じがする。富士山のような大相撲ヒエラルヒーが崩壊してしまった。
大関に上がる力士が割に多いが横綱に上がるどころかその地位をキープすることさえ困難で落ちる力士ばかり。最近では霧島が落ちることが決まり、がっかりした。幕内力士の平均体重が161.7キロと大型化したせいかもしれないが、力士は大関になるまでにぶつかり合いで体ががたがたになっているのかもしれない。結果、大関になってからもはや発揮するエネルギーが残っていない。カド番大関ばかりでやがて落ちる。
けがをせず優勝をし続けた白鵬は凄かった。なぜかくも非難されなければならないのか世間の常識を疑う。大相撲はまず強くなければならぬ。少しくらい品性に欠けたにせよ強くあってほしい。だいたい大相撲に来る連中は常人のレベルを超えた猛者たちなのだ。変に道徳を押し付けたくない。荒ぶる神を見たいのだ。
白鵬級の強さをもつが大の里である。ほかの力士を圧倒する強さは本物だと思うが気は許せない。

逸ノ城の例がある。幕内に上がってきたとき来年は横綱だとみんな思った。評論家も言ったし小生もそう思った。けれど腰痛を理由に10年の力士生活で引退した。実はアルコール依存症であったと「週刊文春」がすっぱ抜いた。また、親方との不和で稽古拒否も伝えられた。心・技・体が正三角形になっていなかったのだ。
大の里に性格面の問題はなさそう。新小結でもそう緊張した素振りを見せずに3敗以後を闘い抜いた。勝負士として見事であった。立ち居振る舞いもよい。それは蹲踞、仕切り全般に見てとれる。最後の仕切りの前、塩を取りに行くときバタバタ走る力士がいて見苦しい。土俵を走るな! そんなところで気合を出さず、立ち合いのときに出せばいいじゃないかといつも思う。
大の里はどの局面でも悠然としている。
どっしりした大の里に横綱を期待する。


大の里の優勝に泣く父・中村知幸さん(撮影:藤山 由理/スポーツニッポン新聞社)

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宇良関香を聞いていますか

2024-05-23 05:39:55 | 大相撲



大相撲夏場所。ずっと気になっていたのが前頭4枚目宇良の時間いっぱいでの塩を取る場面である。
宇良は塩を摑む前、右手に何か持つかのようにして手を振るしぐさをする。煽いで香を顔に届けるようなしぐさで、「聞香」を感じる。
そこにそんないい香りがあるのか。汗と体臭と場内の塵しかないのでは、と思いつつずっと見ている。彼のみが香りに酔っているかのように見える。
どうやら宇良独自の気持ちの落ち着け方であるようだ。
宇良の聞香で、近所のZさん宅の生垣のジャスミンを思った。いま少し盛りを過ぎたがいい香りを放っている。それを少し頂いて俳句を作りながら香りを楽しむ。
宇良のおかげである。きのう宇良は負けてしまった。



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最初から負けていた豊昇龍

2024-05-21 05:41:24 | 大相撲




大相撲夏場所9日目。
結びの豊昇龍VS高安に注目した。相撲は対戦前の両者を見ていて両者の気配で勝ち負けがわかるときがある。きのうは豊昇龍が負けそうな気がしてそうなった。
豊昇龍は高安の顔をしつこく見た。「眼を付ける」という感じである。「眼を付ける」とは、悪意をもって相手の顔や目をじっと見つめること。だからそうされたチンピラが「てめえ、眼を付けたなあ」と憤る。
それを豊昇龍がやった。小生はなぜ無駄なことを長い時間やるのかいぶかしんだ。さっさと手をついて相撲を取ればいいじゃないか。
前哨戦で威圧してやろうという魂胆があったのではないか。高安は仕方なくこの「眼付け」に付き合った感じであった。
本番前に相手を威嚇するのは背をそびやかす猫のようなもの。本当に強い者はそのような威嚇をせず、ずばっと切り込む。豊昇龍には最初から負の心理になっていた。

あるメディアが以下のように伝える。
高安は腰痛で3日目から休場し、この日が再出場の初戦。一方で、豊昇龍にとっては過去1勝7敗(不戦を除く)と合口の悪い〝天敵〟でもあった。大関はやりにくさを感じていたのか、なかなか手を付かない。相手に左を深く差されて後退すると、苦し紛れの小手投げも不発。最後はすくい投げで豪快に土俵に転がされた。
審判長の粂川親方(元小結琴稲妻)は「高安が、うまく左を深く差した。あれで豊昇龍が動けなくなった」と指摘。日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は「豊昇龍は手をつくのが遅い。自分でリズムを崩している」と手厳しかった。

豊昇龍は相手に先に手をつかせたかったのかもしれない。しかし大関なのだからもっと堂々ととらなければいけない。相撲通が見てはなから負けると思うような素振りは慎むほうがいいだろう。


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