大栄翔(右)の起死回生の「突き落とし」
大相撲夏場所が3日目を迎えた。優勝して横綱を目指す大の里は阿炎ののど輪に耐えて勝利したが横綱豊昇龍は王鵬にはたき込みで屈した。小生は関脇の大栄翔VS前頭筆頭の若元春に注目した。
日本相撲協会公式サイトはこの一戦を「若元春に左差された大栄翔さらばと右に周り込み、正面踏み止まっての突き落としで命拾い。」と解説する。
注目した理由は、大栄翔は典型的な押し相撲、若元春は四つ相撲と対照的であるから。立ち合いの攻防で若元春が優った。若元春の左が大栄翔に入り体を寄せることができた。若元春に「いける」の思いがあっただろうし小生も若元春の勝率7割と見た。大栄翔は劣勢。押し相撲は相手との距離を取ることが生命線だが密着を許した。「結界」に入られたのだ。
左が入り若元春優勢となった瞬間
「結界」は、仏教用語で、修行のために一定区域を限ること。また、その区域に修行の障害となるものの侵入を許さないこと。
押し相撲力士の結界は自分の前50センチにある。大栄翔はもう一つの結界である土俵際に追い込まれ、結界と結界のわずかな隙間で起死回生の「突き落とし」を決めた。劣勢の押し相撲力士の最後の手段が「突き落とし」である。短い時間の攻防ながら見どころが多い一戦であった。
この一戦は大栄翔の今場所の調子を見る試金石であった。若元春の左差しの劣勢から勝ちを拾った大栄翔は調子が良い。大関への足がかりを築くことができるか。