きのう、どこかで味噌汁の野菜を買おうかと思い歩きはじめた。お鷹の道に地場野菜が出ている、とそちらへ歩いて行くと、武蔵国分寺跡がえらく賑やか。消防車があり屋台が出ている。さて、何の集まりか。
中学生か高校生ほどの若者たちがそれぞれ楽器を運んでいる。
太鼓積みリヤカー来たる桜かな
焼鳥の煙わだかまる花の下
もうもうと煙を吐いているのは焼鳥屋。人に何の集会か聞くと「アンビー祭」とのこと。国分寺市西元町を本拠とする社会福祉法人AnnBeeが主宰する。カラー印刷の豪華なパンフレットにステージで行われる催しが以下のように書いてある。
10:30 国分寺市立第四小学校吹奏楽部
11:10 国分寺少年団鼓笛隊
11:50 日本芸術高等学園ダンス・和太鼓・フラダンス
13:20 キッズダンスサークル
13:55 BUNJOVI
14:30 AnnBeeダンス部
15:00 国分寺連阿波踊り
国分寺少年団鼓笛隊が演奏をしばらく眺める。ステージはむかし寺の金堂だか講堂があった跡地、そこをコンクリとレンガで50㎝ほどプールほどの面積を高くしてある。結が好んで走る場所をステージに使う発想はすばらしい。
まるく座しまあまあ平和花の雲
絵に描いたような日本の平和の光景がみられる。まるくまるくを日本人は好み、角が立つを嫌う。角が立ってもいいんだけどね。
いそいそと徒銭つかふ桜かな
ここでお金を使うことも日本の経済活性化に役立っているのだろう。小生は見ているだけ。申し訳ない。
散る花の狼藉猪口に焼きそばに
ここは国分寺市の観光地。桜の名所で夜、照明で桜を照らす装置がある。枝が人の顔のあたりをよぎる。花を重たく感じる。
桜の木鬱鬱とあり咲き満ちて
花放下いつさい風にゆだねたる
花は咲き終わりが好きである。木についている花と散りゆく花。地に散らかる花。桜の豊穣さを全身に感じる。
食もふ口歌ふも口や花の雲
花の下紅塗りし唇ぱふぱふと
人の口を見ているとおもしろい。老いも若きも女も男もみな口があって、実によく動く。
落花普(あまね)し白髪に禿頭に
老いると頭は白くなるか艶々になるかである。湘子の「老いらくの美醜是非なしバナナ食ふ」を思う。
誰ぞ聞く蜂に注意のアナウンス
どこかで蜂が発生したようだ。ほどんどの人が無関心。たしかAnnBeeは蜂から付けた名称である。おかしい。
吹き込みし落花もろとも蕎麦啜る
はなびらを厭う人はほとんどいない。酒に浮かべて飲むのが風流と思う人が多い。
国分寺市由来の場所で桜の季節に祭をする。よい企画だと思った。飲めよ、歌えよ、恋せよ、老若男女!
祭をあとにして野菜を買いに歩く。