先月25日多喜窪公会堂でKBJ句会をした。句会は盛り上がって楽しかったのだが、予期せぬ不祥事が出来した。
われわれは下の会議室で句会をしたが2階で大人数がカラオケをしていた。彼らの靴は下駄箱に入りきらず廊下に置かれているほどの盛況。
句会を終えてさて帰ろうとしたときうちのH美さんが「この靴、私のじゃない。こんなひどい靴と間違えるはずがない」という。さらにK子さんが小生に呉れるはずだった恩田侑布子句集(コピーして表紙をつけた手製)が消えていた。がっくりした。悪意を感じた。
多喜窪公会堂を管理するのは靴修理屋のおやじ。この人の不愛想は筋金入り……いつも苦虫をかみつぶしているような表情で笑顔を見たことがないばかりか小生の一挙手一投足にも文句をいう、たとえば自転車を俺の店の前に止めるな、といったような。部屋を借りる手続きをするとき一言も口を利かないことはしゅっちゅう。ほかに鍵を借りる近所の女性が「あの人、嫌い」というから彼の悪評は小生だけのものではなさそう。
しかたなく筋金入りのミスター不愛想に不祥事を告げて先方に話をするように頼んだ。しかし1日経ても先方から音沙汰がないので再び不愛想を訪ねると不愛想が沸騰し「俺は忙しんだ!」と怒鳴りつつ先方の責任者の電話番号を書いてくれた。
先方の責任者、野口さんはうちから近かった。200mほどのところ。彼は不愛想でなく温厚で腰が低い。不祥事を詫びるとともに会員に聞いてみるといった。
その答えが7日目のきのう来た。「白っぽい靴ですか?」と。「これはうちの靴じゃない」と90歳の女性が申し出たとか。
一件解決かとH美さんに照会すると「そんな靴、私のじゃありません」という。
また靴は闇の中をさまよう。
靴を追求しつつ、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)による外国人拉致事件を思っていた。国分寺市で不埒にも間違えられた(あるいは意図的に履き替えた)靴を探すのにかくも難渋している。
靴の捜索は、時間がたつと帰って来ない確率が高いので、ミスター不愛想の顔は見たくないが彼と二度談判した。しかし戻って来ない確率が高い。
拉致された人々はどうなのか。
仮に北朝鮮のトップが誠実に事態の解決を図ろうとしたとしてできるのか。報道であの国を見ていて国にどういう部署があるのか知らない。日本なら大蔵省があり文部科学省があり…という図式がある。アメリアやほかの国もそれが判然としている。報道による北朝鮮は、第一書記を囲む軍服の偉そうな人々は映るが、○○省長官というような肩書で報道されたためしはない。経済担当部署を何というのか、農業担当部署を何というのか、といった図式におめにかかったことがない。
日本人拉致局というのがあるのか。あったとして情報管理ができているとは思えない。拉致した人間の管理が文書できちんとなされているのか。アメリカのCIAなら闇に消した要人の記録は管理されている気がするが北朝鮮はなにもかも闇の中のような気がする。
悪意の闇に入ってしまった物や人を探すことに呆然とする。