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天地わたるブログ

ほがらかに、おおらかに

モンゴルの古戦場

2022-11-04 06:19:09 | 紀行
北方謙三が『チンギス紀7 虎落』で描く1202年のモンゴルの草原は、日本でいう関ヶ原の戦いとう感じである。モンゴルの天下分け目の決戦である。
テムジン率いるキャト氏とトオリルカンのケレイト王国連合軍と、タルグダイ率いるタイチウト族、ジャムカ率いるジャンダラン氏、アインガ率いるメルキト族がぶつかる。
テムジンは戦線の膠着を嫌ってヘルレン川流域のコイテンへ戦場を変える。これをきっかけに勝機を得ることになる。Wikipediaはこれを「クイテンの戦い」と記す。



ヘルレン川流域は、匈奴や鮮卑など、モンゴル草原の遊牧民族の多くが活動した地域である。チンギス・ハンは、その活動の初期にはヘルレン川一帯を活動範囲としており、伝説ではその墓所もヘルレン川の流域にあるとされる。(Wikipedia)




ヘルレン川の注ぐフルン・ノールには水の出口がないが、降水量の多い年には湖の北岸から水があふれて草原を30キロメートルほど流れ、アルグン川へと合流することがある。アルグン川は中露国境を944キロメートルにわたり流れ、シルカ川と合流してアムール川を形成する。ヘルレン川を含めた場合、アムール川水系は大きく西へ拡大し、ヘルレン川源流からアムール川河口までの長さは5,052キロメートルに達する。(Wikipedia)

こんな広い場所を何万頭という馬と人が駆けたのだがその光景に想像力がついて行かない。
白鵬の祖先は凄い連中だったと思うばかりである。

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湘子と高山・白川郷の旅

2022-10-12 06:59:12 | 紀行
  


藤田湘子の句集『一個』を読んでいる。先生が58歳のときのものである。ちょうど今頃の季節の句が日にち順に並んでいる。10月15日は高山へ旅している。16日は白川郷へ足を延ばしている。二日の句をすべて紹介して先生と飛騨の秋を楽しみたい。

10月15日 高山まで
稲架にゐし蝶の翔ちゆく國境
上五中七は見たまま、「國境」で味を出している。

竹藪に消えてしまひし落葉道
これも見たままを飾りなく言葉にしている。嘱目詠の原点である。

めつむりて待てば近づく霧の山
心象に切り込んでいる。これは湘子ならではの感慨であろう。

10月16日 白川郷
山川のここにしづもり鴨来る
「ここにしづもり」などと門弟が書くと「こことはどこか」と叱ったような気がするが……。

稲架の棒出て吊橋の道ふさぐ
こういうリアリズムは20代の湘子にはなかったもの。「一日十句」の鍛錬の成果であろう。

合掌の屋根ゆく日照雨秋まつり
「日照雨」を置いたことで中盤が締まった。

穭田の風に足あげ祭獅子
「穭田の風に足あげ」が軽妙。

次の間にありて二人の老の秋
二人は何をしてるのか。二人は夫婦なのか友人なのか同性なのか異性なのかまるでわからない。「老の秋」でどんぶり勘定したような句。

茸狩の下り来し山へ蝮捕
わかりやすい。茸も蝮も人に役立つ。この句は季語がダブるがテーマは蝮捕である。

爐へ躍り茸採話身が入りぬ
火が燃える炉辺がいかにも当地を感じさせる。「爐へ躍り」とポイントをきちんと作っている。
気張らずほとんど見たままでまとめている。旅の句はこういう感じでいいのかと思うと小生も楽になる。小生も吟行旅行をしたくなった。
コメント (3)
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ニューヨークも暑いようです

2022-07-21 14:20:05 | 紀行
                      

ニューヨーク在住の『テリーさんから俳句と近況報告が届きました。
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今日は97度(36℃)の予報が出ています。湿度は日本に比べかなり低いのでエアコン入れて部屋でのんびりと過ごすのが良さそうです。
先週の土曜日にチェルシーでジャパンフェスが開催されました。お好み焼き、焼きそば、たこ焼きなどのお店は人気で、ニューヨーカーが群がり買って食べていました。今年はすっかりコロナ禍前に戻った賑わいでした。(テリー)
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ニューヨーク市の中のどこにチェルシーがあるか調べました。

                                 


チェルシーはニューヨーク市 マンハッタン 区 の南西部 ロウアー・マンハッタンに位置する 地区 の名称である。 マンハッタンを東西に走る西 23丁目 通りを中心に、東端は 5番街 、西端は ハドソン川 、南端は 14丁目 、北端は30丁目におおよそ囲まれた一帯を指す。
チェルシーは今、ニューヨークでいちばんファッショナブルなエリアと言われています。マンハッタンの真ん中西に位置し、名前はロンドンのチェルシーに由来するそう。かつては倉庫で働く港湾労働者が多く住むエリアでしたが、1990年以降はソーホーからギャラリーが多く移転し、アートの発信地となりました。

向かって左が南ですから向う川はハドソン川。
背後にイーストリバーが流れる「水の都」ニューヨーク市。

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川で旱を感じる

2022-07-02 04:59:19 | 紀行


おととい御岳駅の下、御岳渓谷に下りて句材を探した。句材はともかく水が流れているから清涼感はあるだろうと思った。水量がいつもより少なく感じ水も粘っているような気がした。夏の昼下がりの海、風がなくべたついている海を感じ、
大海のうしおはあれど旱かな 虚子
を思い出していた。

憚らずゆまるや灼熱の溶岩に
河原の岩におしっこしたが量が少ない。水が汗として出ているのだろう。コーヒーは好きだが最近あまり飲んでいない。利尿作用がありすぎて身体に水分が残らない感じがする。憚らず出るのは汗。

頂に流るる汗を憚らず
という自作を川で思い出した。
舟を操る人々も暑そう。水を見ていても喉が渇く。いま、緑陰がいちばん涼しい。

         
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吟行4人衆秩父に集う

2021-05-09 02:25:32 | 紀行



きのう12時35分、西武秩父駅前に降り立った3人を1人が迎えた。迎えたのが玲人さん。彼は2月に東京から故郷秩父に移住していた。玲人さんに吟行地から句会場、その後の懇親会まですべて設定してもらったが、鄙びた地で句友のいない彼をわれら3人が「吟行慰問した」という思いもある。

夏燕脚を掠めて大空へ わたる
駅を出ようとするといきなり燕の風圧を感じた。西武秩父駅構内にはたくさん燕の巣がある。



玲人さんの車で西のほうの浦山ダムをめざす。ダムのもとに来て見上げると高い。ぼくと創太くんは石段を上り、玲人さんと弘子さんは車でダムの上へ行く。



石楠花やダムの階五百段 玲人
これをぼくが採ったら創太くんも採っていて、えっと思った。てっきり同じ行動をした彼の句と思いきや下見していた玲人さんの句であった。動詞がなく名詞でがっちり固めてよく見える。季語もこの景をよく支える。

青蠅の耳の高さを行き交ひぬ 創太
ダムの上に出たとき玲人さんも弘子さんもおらずぶらぶらする。孤独にはまっていた創太くんが蠅を詠んでいるとは知らなかった。耳の高さにうるささがよく出ている。手堅い。

川涼し四肢ひよろ長き女の子 わたる
ここへ来て人を見ても仕方ないのだが昨今の女子はやたら手足が長い。手摺がなかったら風に吹かれて谷に落ちそうな感じ。




万緑や瀬音にまじる鳥の声 わたる
ダムの石段が500段あるのを玲人さんに教えてもらったが上ると汗をかく。下の渓谷が深くて鳥の声が下から聞こえるのが新鮮であった。

ダムとなる村史ひもとく夕端居 弘子
この句を見て驚いた。資料館などあったっけ。作者によると来る前浦山ダムのことをネットで調べたらしい。それが「村史ひもとく」。湘子の言う「あり得べき嘘をつく」である。お見事。

山を縫ふ送電線や夏燕 玲人
そういえば凸凹の山に送電線が伸びて先は霞んでわからない。夏燕で景色を鳴動させていてよい。



ゆうゆうと蜘蛛大空を渡りたる 創太
青蠅に次いで蜘蛛である。彼の微細なものをとらえる力をずっと評価している。蜘蛛は見えない糸を吐いてそれに自らを乗せて浮遊する。それをおおらかに描いて見せてくれた。

燕鳴き交はすや湖のしづけさに わたる
西国分寺駅構内の燕の声を聞かない。1羽だけのせいか。湖面に何羽も旋回して常に鳴いている。そう遠くへ行かずに引き返しコンクリートの堰堤のどこかで休む。なぜ燕が餌のなさそうな水の上を飛びまわるのか。なぜ彼らが無駄な労力を費やすのか……「燕ってそういうものでしょう、楽しいんでしょう」と弘子さん。そんなことを不思議に思っていたら女は子育てや家事やらやって来られないわよ、と言いたげな表情。はい降参。

郭公や山よりも濃き湖の色 わたる
写真を見て水の色が爽やかであることに驚いた。「山よりも濃き」と感じた肉眼に水のねばりみたいなもの、重さを感じた。清らかさの反対のものを感じてできた句。







秩父には随所にかつて養蚕をしたであろう家屋がある。古びて朽ちていたりするが風情がある。

武甲山砂零しをる薄暑かな わたる
玲人さんが「武甲の山」と書いたのでいさめた。武甲山は武甲山と書くべきと。それで句にしたのだがたいした出来ではない。この山はどこまで削られるのか。





秩父駅北側の丘陵地「ミューズパーク」がある。そこに無料の休憩所がありそこで句会をした。
新緑やノートひらいて想を練る わたる
外の緑が美しい。本を読んで1日過ごしてもいい環境。鳥も適度に鳴いてくれる。


左から内田創太、飯嶋玲人、木村弘子。

電車待つリュックに差して猫柳 弘子
野へ出ればとにかく花を摘む弘子さんならではの句。持ちきれないほど花を摘み、結果、持たされるのだが今回は花の少ないところで助かった。





句会後、玲人さんの妹さんがやっている中華料理店「五番居」で懇親会をした。ぼくは妹さんの店の上に玲人さんが間借りしていると知ったときからここの餃子を食べたかった。それで秩父へ来てもいいと思ったほどである。
餃子はもちろん、五番居で出るものはすべて美味い。玲人さんが「寅さん」で妹さんが「さくら」にダブってしかたなかった。





餃子を取っているのが創太くん。
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