
ひこばえネットで句座をともにする松尾初夏から酸橘が届いた。むずかしい漢字を「すだち」と読むことも初夏がいなければ一生知らなかったであろう。彼女は徳島に住み毎年当地名物のすだちを贈ってくれる。柚子は知っているがすだちはそう知られていない。
留守のとき届いたが差出人が初夏であり中身はわかった。
明けずとも徳島発の荷は酸橘
縦21㎝、横16㎝、高さ7㎝の箱にすだちが40個入っている。上段が5個×4個の20個で下の段も同様と思われる。ひとつのすだちの直径約38m、高さ約33m、と大きさがそろっている。
初夏も「粒がそろうのを待っていた」という。すだちは緑が濃くいかにも山の気配がする。
海越えて来し翠巒の酸橘かな
翠巒(すいらん)という言葉は人の句をみて知ったがここで使ってみたくなった。
本によると、
スダチは、ミカン科ミカン属の常緑低木。ユズの近縁種として江戸時代に徳島県で誕生し、現在では徳島県の特産品として国内生産の99%を占めます。国内ではユズに次いで生産量の多い香酸柑橘類で、東洋のレモンと呼ばれることもあります。果汁を焼き魚、刺身、鍋物などに絞ってかけたり、果皮は刻んだりすりおろしたものを香味料として利用します。旬は8月~10月。
その土地の特産物が来ると旅情に誘われる。地図を見て徳島は瀬戸内海に接していないことを知った。吉野川が流れ込む海は紀伊水道である。
山の気の満ちて酸橘や鈴生りに
鋏持つ手がときに見え酸橘山
酸橘摘むときをり沖の白帆見て
酸橘噛む阿波の浮き浮き娘かな
「阿波の浮き浮き娘」は初夏をイメージした。小生より一つ下の69歳だと思うが今もしゃきしゃきしている。
初夏さん、ゆだち、ありがとう。

すだちの入っていた箱