
今年も我が家のヒメリンゴの木に、ヒヨドリが寄って来る季節。
しかし餌になる実が殆ど見当たらない。夏の天候異変の影響か
白い花が咲かなかったし、当然に赤い実も付いていない。
期待外れのヒヨドリに申し訳ない気がして、ゴメンネと謝っている。
多分どこの庭に行っても、秋の実りは少ないのだろう。
裸木に群がる鳥たちを見て突然に思い浮かんだ、サトウハチローの詩。

綿挽き車はおばあさん ゴットン水車も回ってる


アンサの薪わる音が無ぇ バッサリ薪わる音が無ぇ


もずよ寒いと鳴くがええ アンサはもっと寒いだろ

1925年、少年誌に掲載された詩に茨城県の中学教師が曲を付け生徒に教えた。
当時は中国侵略戦争が本格化、好戦的な軍歌が流行しており、戦地の兄を思う
弟の心情を歌った此の曲が広く知られたのは、終戦後の『歌声喫茶』だったそう。
いつの間にかヒヨドリたちは、何処かへ飛び去ってしまった。
後には葉っぱ一枚も無いヒメリンゴが、立ち枯れた木のように枝先を震わせていた。