俳優の地井武男さんが亡くなった。倉本聡さん原作の『北の国から』で、幼い
純や蛍を親身に見守る、中畑木材店の社長を演じていたのは1980年代のこと。
北海道の大自然の中で、懸命に生きる親子のドラマだった。
日本社会の繁栄に背を向けて生きる父と、そんな父親に戸惑いながらも健気に
生きる純と蛍、何作も続編が作られシリーズ化した人気ドラマだった。
多くの脇役たちが出演していたが、中でも朴訥で温かみがあり面倒見が良く…
如何にも“ドサンコおやじ”のイメージにピッタリだった、地井武男さん。
最近は『ちい散歩』を楽しみに見ていた。町の路地を歩き回り、飄々とした
人柄で土地の人々と触れ合い、印象的な柔らかいタッチの絵を描いていた。
人々の健康志向と散歩ブームがマッチングして6年間も続き、「散歩の達人」と
呼ばれた地井武男さん。まだ70歳というのに、急いで旅立ってしまった。
もしかしたら今頃は、相変わらずの好奇心で“あちらの世界の路地裏散歩”を
楽しんでいるのかも…。