私は正直驚いた。新しい防衛大臣に森本敏氏を起用したことである。はっきり言って根拠はないのだが、野田政権の本気度を垣間見た気がした。
朝まで生テレビや激論クロスファイアなど、田原総一郎さんの番組などでは頻繁に登場し、その論客ぶりは他を圧倒する。2009年に一瞬だけ防衛大臣補佐官として防衛省に入省したが、民主党政権への交代を前に辞表を出して、結局は殆ど仕事を出来ずじまいで終えていた。テレビ番組での論調は至極もっともで、これまでの政治家が言えないようなこともズバッと言い切るところがあり、論理的な一貫性が貫かれている。
彼が防衛大臣になったら、是非とも最初にやって頂きたいのが、自衛隊の行動規範をポジティブリストからネガティブリストに変更すると言うことである。先日も5月21日付けの産経新聞にて「中国海軍が砲撃してきたら…、日本滅ぼす『101本目の法律』」という記事があった。まさにこの通りであり、日本の政治家・官僚の平和ボケ具合が手に取るように分かる。森本氏自身もその重要性を様々な場所で説いているので、民主党政権が何処までそれを飲めるかにあるのだが、多分、野田総理からの就任要請に対し森本氏は幾つかの交換条件を上げているだろうから、ネガティブリスト化は最低限譲れない実行リストの上段の方に位置するであろうから、実現できる可能性は意外に高いのかも知れない。
一応、簡単に補足しておけば、現在の自衛隊はその設立の趣旨にも基づくのだろうが、戦闘行為を究極的な最後の手段と位置づけており、そのために「触らぬ神に祟りなし」的な発想で「この様な行為はやっても宜しい!」という、やって良いことを限定する形でリストが網羅されている。しかし、実際の非常事態というのは、その様に想定された事態ばかりではない。殆どのケースが、法令で規定される状況からかけ離れている。だから、何かが起きても手も足も出せず、周辺諸国に好きなようにやられてしまう。戦争というものは、ある時、突発的に起こるものなのかも知れないが、その様な突発的な戦争を起こさないようにするためには、そのリスクのある両国がお互いに「ここから先はヤバイ」という認識を共有することが有効である。例えて言えば、北朝鮮が韓国の潜水艦を沈めてもちゃんと対応できなければ、次は更にヒートアップしても良いだろうと考えてしまう。延坪島を砲撃しても、反撃はあの程度か・・・と思われれば、次は更にインパクトのあることを仕掛けることになる。ミサイル発射や核実験もそうである。
だから、その様な事態にならないようにするためには、銃(軍事力)は持っているけど弾は込めていない(法的に撃てない足かせがある)状況を世に公言するのではなく、ちゃんと弾を込めていますよとアピールしなければならない。当然ながら、弾込めとは物理的な意味ではなく、「権限として、撃とうと思えば何時でも撃てますよ!」という意味である。昨年、中国軍のヘリが警戒監視中の自衛隊の護衛艦に約90mの距離まで近づき挑発を繰り返したという。この行為自体が直接何かに結びつく訳ではないが、尖閣問題などにおいて「ここまでされても、自衛隊は手も足も出ない」というハードルを上げさせてはいけない。
ところで、ここから先は今後の政局の予想である。野田総理が、もし仮に小沢氏と自民党への所謂「二股」を維持しようと思うなら、防衛相は渡辺周防衛副大臣の昇格が妥当であろう。さらに空いた副大臣ポストに輿石幹事長推薦の議員を宛がうのが妥当である。しかし、ポストを餌にすることを止め、民主党内からも反発が強そうな究極の実務家を重要ポストに配置すると言うことは、解散までの残り僅かな時間において「こいつは本気だ!」と国民に思わせるような仕事をする決意が見て取れる。場合によっては、政治家には決断しにくい重要な決断をここで決断させようとしているのかも知れない。ここまで拗れた日米同盟を根本から修復するためには、米国からも一目置かれ、官僚よりも弁の立つ論理的に相手を論破できる専門家が必要である。少々気が早いが、(防衛庁・防衛省を通して民間人のトップは前代未聞というが)私の見どころは、数ヶ月後に政権交代した後に、真の意味での前代未聞の「政権交代があっても続投となった初めての大臣」となるのではないかと予想している。それ程、「余人をもって代え難い」人材だと思う。彼が大臣で有り続ければ、尖閣の実効支配を実現することも可能かも知れない。
そして、その他の人選はともかくとして、現時点での最重要ポストの一つで小沢派を無視したここまでの決断をしたことから、解散総選挙で大多数の同僚議員が落選・失職することになる中で、野田総理を一丸となって支えようとする人材だけは生き残れるように、小沢切りによる対立軸を明確にしていくのではないだろうか。一部の報道では、輿石幹事長の影響力を過大評価しているように見えるが、ああ見えて野田総理は中々の狸である。化かし合いでは負けない強さを感じる。2度目の小沢会談は、小沢・輿石ライン側の目論見としては、ズルズルと会談を続けさせて決断できない状況を確定させようとしたのであろうが、結果的には「ここまでやったのだから、これ以上、小沢氏に付き合う必要などない」という世論を醸し出すのに野田総理は成功した。輿石幹事長は野田総理の命令を微妙に無視して、自民党との法案の修正協議を共産党を含む全党での修正協議と読み替えて、修正協議が上手く行かないように小細工を仕掛けるが、多分、この様な子供じみた抵抗は長くは続かない。当初の会期末である21日より前かどうかは分からないが、法案の採決は今国会中になされるのは間違いない。自民党のもくろみもあるだろうから、多分、参院での採決後の解散を確約して、法案は成立することになり、めでたく解散総選挙に突入することになる。衆院採決後に参院採決までの間にどれだけの審議を行なうかにもよるが、殆ど審議せずに採決するのも国民の非難を浴びそうだから、解散までには数週間ぐらいのタイムラグがあるかも知れない。もし自民党が総選挙に勝ちたいと思えば、ここで自民党総裁戦を前倒しして、マスコミの注目を一手に集める戦術に出ることもあり得る。谷垣総裁が「自分が総理になること」と「自民党が勝利すること」のどちらを優先するかが見ものである。多分、谷垣総裁で戦う限りにおいては、自民党が過半数を超えることなど到底及ばない。様々な中小政党を寄せ集め、連立政権を築くことになる。その結果、政権は不安定化し、それを受けて世界のマーケットが駄目だしすれば、日本経済も立ち行かない。自ら総理になれても、来年夏の参院選を乗り切ることなど出来ないだろう。冷静になれば、何をすべきかは見えるはずである。
野田総理も谷垣総裁にしても、解散総選挙までの時間を考えれば出来ることは少ない。何処まで客観的に物事を見れるか、政治家としての力量を測るには丁度良い機会なのかも知れない。
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朝まで生テレビや激論クロスファイアなど、田原総一郎さんの番組などでは頻繁に登場し、その論客ぶりは他を圧倒する。2009年に一瞬だけ防衛大臣補佐官として防衛省に入省したが、民主党政権への交代を前に辞表を出して、結局は殆ど仕事を出来ずじまいで終えていた。テレビ番組での論調は至極もっともで、これまでの政治家が言えないようなこともズバッと言い切るところがあり、論理的な一貫性が貫かれている。
彼が防衛大臣になったら、是非とも最初にやって頂きたいのが、自衛隊の行動規範をポジティブリストからネガティブリストに変更すると言うことである。先日も5月21日付けの産経新聞にて「中国海軍が砲撃してきたら…、日本滅ぼす『101本目の法律』」という記事があった。まさにこの通りであり、日本の政治家・官僚の平和ボケ具合が手に取るように分かる。森本氏自身もその重要性を様々な場所で説いているので、民主党政権が何処までそれを飲めるかにあるのだが、多分、野田総理からの就任要請に対し森本氏は幾つかの交換条件を上げているだろうから、ネガティブリスト化は最低限譲れない実行リストの上段の方に位置するであろうから、実現できる可能性は意外に高いのかも知れない。
一応、簡単に補足しておけば、現在の自衛隊はその設立の趣旨にも基づくのだろうが、戦闘行為を究極的な最後の手段と位置づけており、そのために「触らぬ神に祟りなし」的な発想で「この様な行為はやっても宜しい!」という、やって良いことを限定する形でリストが網羅されている。しかし、実際の非常事態というのは、その様に想定された事態ばかりではない。殆どのケースが、法令で規定される状況からかけ離れている。だから、何かが起きても手も足も出せず、周辺諸国に好きなようにやられてしまう。戦争というものは、ある時、突発的に起こるものなのかも知れないが、その様な突発的な戦争を起こさないようにするためには、そのリスクのある両国がお互いに「ここから先はヤバイ」という認識を共有することが有効である。例えて言えば、北朝鮮が韓国の潜水艦を沈めてもちゃんと対応できなければ、次は更にヒートアップしても良いだろうと考えてしまう。延坪島を砲撃しても、反撃はあの程度か・・・と思われれば、次は更にインパクトのあることを仕掛けることになる。ミサイル発射や核実験もそうである。
だから、その様な事態にならないようにするためには、銃(軍事力)は持っているけど弾は込めていない(法的に撃てない足かせがある)状況を世に公言するのではなく、ちゃんと弾を込めていますよとアピールしなければならない。当然ながら、弾込めとは物理的な意味ではなく、「権限として、撃とうと思えば何時でも撃てますよ!」という意味である。昨年、中国軍のヘリが警戒監視中の自衛隊の護衛艦に約90mの距離まで近づき挑発を繰り返したという。この行為自体が直接何かに結びつく訳ではないが、尖閣問題などにおいて「ここまでされても、自衛隊は手も足も出ない」というハードルを上げさせてはいけない。
ところで、ここから先は今後の政局の予想である。野田総理が、もし仮に小沢氏と自民党への所謂「二股」を維持しようと思うなら、防衛相は渡辺周防衛副大臣の昇格が妥当であろう。さらに空いた副大臣ポストに輿石幹事長推薦の議員を宛がうのが妥当である。しかし、ポストを餌にすることを止め、民主党内からも反発が強そうな究極の実務家を重要ポストに配置すると言うことは、解散までの残り僅かな時間において「こいつは本気だ!」と国民に思わせるような仕事をする決意が見て取れる。場合によっては、政治家には決断しにくい重要な決断をここで決断させようとしているのかも知れない。ここまで拗れた日米同盟を根本から修復するためには、米国からも一目置かれ、官僚よりも弁の立つ論理的に相手を論破できる専門家が必要である。少々気が早いが、(防衛庁・防衛省を通して民間人のトップは前代未聞というが)私の見どころは、数ヶ月後に政権交代した後に、真の意味での前代未聞の「政権交代があっても続投となった初めての大臣」となるのではないかと予想している。それ程、「余人をもって代え難い」人材だと思う。彼が大臣で有り続ければ、尖閣の実効支配を実現することも可能かも知れない。
そして、その他の人選はともかくとして、現時点での最重要ポストの一つで小沢派を無視したここまでの決断をしたことから、解散総選挙で大多数の同僚議員が落選・失職することになる中で、野田総理を一丸となって支えようとする人材だけは生き残れるように、小沢切りによる対立軸を明確にしていくのではないだろうか。一部の報道では、輿石幹事長の影響力を過大評価しているように見えるが、ああ見えて野田総理は中々の狸である。化かし合いでは負けない強さを感じる。2度目の小沢会談は、小沢・輿石ライン側の目論見としては、ズルズルと会談を続けさせて決断できない状況を確定させようとしたのであろうが、結果的には「ここまでやったのだから、これ以上、小沢氏に付き合う必要などない」という世論を醸し出すのに野田総理は成功した。輿石幹事長は野田総理の命令を微妙に無視して、自民党との法案の修正協議を共産党を含む全党での修正協議と読み替えて、修正協議が上手く行かないように小細工を仕掛けるが、多分、この様な子供じみた抵抗は長くは続かない。当初の会期末である21日より前かどうかは分からないが、法案の採決は今国会中になされるのは間違いない。自民党のもくろみもあるだろうから、多分、参院での採決後の解散を確約して、法案は成立することになり、めでたく解散総選挙に突入することになる。衆院採決後に参院採決までの間にどれだけの審議を行なうかにもよるが、殆ど審議せずに採決するのも国民の非難を浴びそうだから、解散までには数週間ぐらいのタイムラグがあるかも知れない。もし自民党が総選挙に勝ちたいと思えば、ここで自民党総裁戦を前倒しして、マスコミの注目を一手に集める戦術に出ることもあり得る。谷垣総裁が「自分が総理になること」と「自民党が勝利すること」のどちらを優先するかが見ものである。多分、谷垣総裁で戦う限りにおいては、自民党が過半数を超えることなど到底及ばない。様々な中小政党を寄せ集め、連立政権を築くことになる。その結果、政権は不安定化し、それを受けて世界のマーケットが駄目だしすれば、日本経済も立ち行かない。自ら総理になれても、来年夏の参院選を乗り切ることなど出来ないだろう。冷静になれば、何をすべきかは見えるはずである。
野田総理も谷垣総裁にしても、解散総選挙までの時間を考えれば出来ることは少ない。何処まで客観的に物事を見れるか、政治家としての力量を測るには丁度良い機会なのかも知れない。
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その後、そのようなことは言っていないと弁明しましたが、自分が午前中に発言した内容を午後にすっかり忘れて強弁するほど発言内容に責任を持たない人物であるとしか思えません。
このような人物は果たして評価に値する人でしょうか