けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

昨年APECで胡錦濤を怒らせた野田前総理と最近の北朝鮮情勢との類似点

2013-06-14 23:58:19 | 政治
最近の北朝鮮と韓国の対応がまるで喜劇である。散々、ソウルやワシントンを核ミサイルで火の海にするとまで言っていたような北朝鮮が対話に応じるというのだから、これはどういう展開なのだろうかと思っていたが、第1幕は韓国が道化師(ピエロ)となってお笑いを誘い閉幕した。

実際のところ、北朝鮮がどの程度追い詰められているかは目に見えていない。中国からの銀行口座の閉鎖により、当然ながら相当な危機に直面しているのは想像に難くない。しかし、物事は交渉ごとなので、例えばポーカーをしていて、その逼迫感が顔に表れてバレバレのプレーヤーと、ポーカーフェイスで涼しい顔して掛け金を引き上げようとしているプレーヤーとでは、その後の勝負の行方はおのずと知れてくる。北朝鮮の場合、そのポーカーフェイスは滅亡への道をまっしぐらに進むものであるかも知れないが、そこは独裁国家だからその責任を問われることはない。そこが北朝鮮の強みである。

今日のTBSの「ひるおび」では、北朝鮮が今回の交渉決裂に対して出した声明を取り上げ、そのあまりにも長い長い説明から「北朝鮮は、対話を本気で求めている。未練たらたらだ」と結論付けていた。ただ、対話というのはその対話の結果で何らかの得るものがあって意味があるのであって、対話すること事態には北朝鮮にとっては意味はない。参加することに意義があるというオリンピックとは違うのである。更に言えば、北朝鮮が本気で対話をしたいのはアメリカだから、ここで北朝鮮が弱気の顔色を見せたらアメリカは「韓国さん、北朝鮮のことはそちらでお願いね!」と言い出しかねない。だから、韓国から大きな譲歩を引き出すか、ないしは韓国では手に負えないと世界(アメリカ)に思わせるか、どちらかでないと北朝鮮にはメリットはない。

この様な視点からすれば、今後、交渉が再開するためには韓国は何らかの譲歩を求められるのだと思われるが、世界が「韓国は、北朝鮮に大幅な譲歩をして交渉に漕ぎ着けた」と思うようにアピールする戦略は北朝鮮の術中に完全にハマったものである。逆に、韓国が格に拘り続け交渉を開始できなければ、「韓国には手におえない」と世界にアピールすることもできる。どちらにしても、第一幕は韓国の完敗なのである。
一方で韓国は、これ以上、北朝鮮問題が長引けば、経済的損失も無視できず、ただでさえジリ貧の韓国経済にトドメを刺しかねない。というより、それ以前に朴政権が韓国国民に駄目出しされ、近いうちに政権が崩壊する可能性も否定できない。韓国は、そんな時の国内向けの切り札として反日カードをこれまでは利用してきたが、先日のニューズウイークの記事ではないがアメリカからも釘を刺され、日本側の安倍政権が比較的自制的な対応をしていることから、今回はこのカードも期待できそうもない。最初から、顔面蒼白でポーカーを始めたような韓国は、この後の第二幕も雲行きは相当怪しい。

今回の北朝鮮の上手いところは、微妙な所でチクチクと相手の癪に障ることをしておきながら、そこに言及すると「せこい!」と言い返せるような絶妙の攻撃をしている。具体的には、会談場所をソウルのホテルに設定したが、ドタキャンをすることでホテルの使用・キャンセル料が発生し、それを韓国政府が払うことになった。金額は微々たる物であるが、韓国政府の屈辱感は相当なものであり、その歯軋りがひしひしと韓国国民に伝わってくる。半分以上は北朝鮮に怒りの矛先は向かうが、しかし残りのある部分は「何で、朴政権は北朝鮮にいいようにやられてばかりなんだ!」と韓国政府に向かう。韓国が追い詰められれば追い詰められるだけ北朝鮮は優位に立ち、その状況が明らかであれば韓国は相当な譲歩をしなければ、その会談をまとめ上げることが出来ないことを思い知らされる。ここから対話を再開しても、最後に北朝鮮が切れて交渉が決裂すれば、韓国国民は「また駄目じゃん!」と韓国政府に駄目出しを行う。

以上のことから分かることは、外交とは相手の善意を前提とするものではなく、相手の悪意を前提として、それでも勝てる戦略を練りながら進めるべきものであるということである。そして、その悪意の罠(トラップ)を見抜き、必要に応じてそのトラップ、地雷を如何に上手く回避するかが政治家や官僚には求められる。

今回の事態を見て思い出したのは、昨年の2012年9月9日、APECの場において胡錦濤主席に野田前総理が尖閣国有化を通知した話である。胡錦濤主席は即座に「断じて許容できない!」と反発し、その数日後に野田前総理が国有化を閣議決定したから、多くの日本の知識人は「胡錦濤の面目丸つぶれ!」として野田前総理を一斉に非難した。この非難は私も同感するところであるが、話は少々複雑である。私からすれば、胡錦濤に「何で尖閣国有化の話など持ち出したのか?」という疑問がある。何故なら、石原都知事の手に落ちたとすると更にややこしい話になるのは理解できるが、中国側の思考であれば「石原都知事が購入するぐらいなら日本政府に購入してもらいたい」という結論になるはずはなく、「石原都知事の購入を日本政府が妨害し、日本政府も購入などしない」という結論を求めるのが目に見えているからである。だから、常識的な思考であれば、中国には事前に国有化を外交ルートで通知はしておくが、落しどころが存在しない議題で両国の首脳同士が火花を散らすのは避けるべきだと考えるはずである。だから、胡錦濤側から近寄ってきて、一方的にこの話題を吹っかけられれば話は別かも知れないが、少なくとも日本側から近寄ってアクションを起こすべきではなかったはずである。このぐらいのことは外務省でも野田総理でも簡単に分かるはずだと思うのだが、少々穿った見方をすれば、ここで中国の罠(トラップ)があったのではないかと私は推測してしまう。それは、外務省が中国に尖閣国有化を事前に通知した際に、中国側から外交ルートで「APECがあるので、野田総理から直接、胡錦濤主席にお伝え下さい!」と誘導するという罠である。この様に返されると、野田前総理は胡錦濤主席に国有化を伝えざるを得ない。外務省も野田前総理に「大丈夫ですよ!裏で話はしていますから!」と楽観的な観測を伝えたのかも知れない。しかし、結果はご存知の通りである。そこに中国の善意は存在しない。彼らは当然のことをしたまでである。

多分、正解は日本の外務省から外交ルートで、「APECで、直接、胡錦濤主席に伝えることはできない。両者にとって譲れない事柄だから、着地点が見えない以上、首脳同士の対決は事態を拗れさすだけである。」と丁重に回答すべきだったのだろう。しかし、今となっては後の祭りである。法律がどうなっているのか知らないが、例えば尖閣国有化とは厳密には政府による登記により完成することだから、例えば官房機密費とか使途を幾らでもごまかせるような財布から一旦、全額を払っておいて、登記自体はもう少し先になってからどさくさに紛れて行うというのもあるかも知れない。それは姑息な手段でも良いのである。どうせ相手も姑息なのだから、上手く立ち回ることに最大のエネルギーを割けば良いのである。

あれだけ日本に対しては悪意剥き出しの韓国が、悪意剥き出しなのがバレバレの北朝鮮に対してこれだけ性善説を前提に接しているのは理解に苦しむ。余程、切羽詰っているのだろうか?もしそうなら、もう少し日本への接し方を変えるところから始めてもらいたいものである。

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