けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

第3の矢の成否とクリミア併合の再来の関係

2014-03-25 23:58:22 | 政治
数時間後には日米韓の3か国首脳会談が予定されているが、朴大統領は体調不良だということで、何とも怪しい空気が流れている。まさか仮病で休む小学生じゃあるまいか・・・と思えるほど、何ともだらしない感じがまた良かったりする。結果が出たらまたコメントしてみたいが、今日は手短に中国との関係についてコメントする。

昨日もオバマ大統領と習近平国家主席の会談の話題が紙面を賑わせていたが、ウクライナ問題に関連しては結局煮え切らない状況で、対ロシア制裁に同調もしないがロシアとも組しないということで良くも悪くも大した動きがなかった。この辺の事情は前日のブログでも「中国というパラメータに過剰に反応する必要はない」と書かせて頂いた。ただ、多くのマスコミなどはロシア問題を上手く解決できないと、中国が尖閣を奪取しにくると考えているようだが、その可能性は限りなく低いと個人的には考えている。その背景を示唆する記事が下記の記事である。全く関係ない話だが、こんなところが需要なのだろう。

産経新聞2014年3月25日「ロシアからの資本流出、1~3月で7兆円に 制裁でさらに加速も

タイトルを読んで字のごとくの記事であり、ウクライナ問題を受けた不安定要因に嫌気を指して、欧米の資本がロシアから引き上げられているという話題である。7兆円という額がそう馬鹿にならない数字なのは言うまでもなく、今後もこの様な動きが加速すると、ロシアと欧米との兵糧攻め状態に陥ることになる。ただ、プーチン大統領は意外にも冷静で、何処かで引き返せる可能性を残すために、欧米の制裁とのバランスを取りながらの制裁合戦を行うはずで、市場マーケットの反応に対して制裁を科すことは出来ない。というか、そんなことをすれば逆効果なのは目に見えているので、死守するべきところを死守しながら妥協点を探っているのかも知れない。ただ、プーチン大統領がこの様な駆け引きが出来る状況である背景には、この資本の流出が10兆円規模で済んでいるからである。

これが中国の場合には事情が全く異なる。横道に逸れれば、先日のブログにも書いたが、中国が保有するアメリカ国債の残高は100兆円を優に超える。日本も同じく100兆円を優に超えるのだが、そんな無茶はしない日本と違い、中国の100兆円超の保有は十分に脅しとしては効果がある。アメリカが、習近平国家主席からの求めに応じて新しい大国関係の呼びかけに答えるのは、この様な背景から無視できない、怒らせてはいけない相手として捉えているからである。

では日本と中国はどうかと言えば、国債を介したブレーキは相互にないのでアメリカの様な事態にはなっておらず、その意味では相互の経済依存度が高いと言えど、第1次世界大戦当時のドイツと英仏の様に戦争に陥ってもおかしくはない。少なくとも、尖閣をめぐる局地戦的には争いが起きても何ら不思議はないはずである。実際、習近平国家主席も含めて過激な対応を取っているので、軍部が暴走することは十分に有り得るはずである。しかし、ここで中国が戦争を始めたら何が起こるのか・・・。現在の中国は、シャドーバンキングにまつわる問題が深刻で、何時、どのタイミングでバブルがはじけてもおかしくない状況である。昨年上旬頃から、直ぐにバブルがはじけてもおかしくないと言われて1年近くが経ち、現在もそのリスクは変わらない。不動産バブルは既に崩壊の声が徐々に聞かれており、一方でリコノミクスも大きな改革を進めることも困難なようで、その様な経済の不安定要因を最大限、取り除きたいのが中国の指導部の位置した意見だろう。習近平国家主席が汚職の撲滅に必死になるのも、国内の不安定要因の除去が目的であろうし、その様な中で国内要因はおろか、海外の投資家に対しても不安を極限まで煽るような戦闘行為に手を染めれば、今回のロシアからの資本の流出とは比較にならないインパクトが訪れ、そのインパクトが国内問題の暗部をえぐり、ドミノ倒し的に連鎖して大混乱に陥るリスクが無視できない。その様な大混乱は、少なくとも現政権の存続に対しては致命的であり、それが軍部によるクーデターなのか民衆によるクーデターなのかは別として、現在の悠々自適の生活を一変させる変革に繋がることは間違いない。実際問題は、その様な足かせが、中国指導部の暴走に対するブレーキになっているのだろう。

その意味では、それ程のインパクトを日本経済が受けることになれば安倍政権も吹っ飛ぶだろうが、それを回避するための足腰を強める政策がアベノミクスである。尖閣有事の際の経済ダメージの大きさを比較したとき、その様な事態への耐力を強めることは結果的に中国のブラフの効力を弱め、それは(軍事的ではなく)経済的なチキンゲームに陥った時の勝敗を決める要素となる。現状の日本に中国が攻めこめない理由は、明らかに民主党政権時代の日本経済からの復活が原因であり、尖閣漁船衝突事件における中国の強気な対応と現状との差がそこに見られる。

ウクライナ問題は我々に幾つかの教訓を与えたと思うのだが、その一つには、表立った制裁よりも実際には市場マーケットの動向というパラメータがその後の各国の行動を支配し、何処かで妥協点が見出されるとすればその様な結果が織り込まれた後で、落ち着くところに落ち着くということなのだろうと思う。その市場マーケットの動向が見切れないウクライナ周辺では、実験的な試みから今回の様な事態を招いたが、意外に日本と中国の間には、その様な実験をする余地がないということなのだと思う。ただ、この状況が有効なのは、少なくとも日本の国力が上向きである間だけであり、アベノミクスが失速したらどうなるか分からない。中国の国内問題が短期的に改善する訳がないと思うが、アベノミクスの失速の可能性はゼロではない。

その意味では、第3の矢の成否がクリミア併合の再来の有無を左右すると考えるべきかも知れない。

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