先日のブログ「公平公正な報道は幻想か?」では日本のマスメディアの報道の公平公正性について言及したが、選挙を前にしてか、ますますその世論誘導的な偏った報道が目に余るようになってきている。まずは下記の同じ情報ソースをもとにした記事を読み比べて頂きたい。
産経ニュース2013年7月12日「際立つ中韓の『日本嫌い』前回から急増、他のアジア諸国と対照的」
時事ドットコム2013年7月12日「韓国の98%『謝罪は不十分』=安倍首相好感度、中国で9%-米調査」
この二つの記事は共に「米調査機関ピュー・リサーチ・センター」という機関で行った調査結果をもとにして記事を書いているのであるが、その新聞記者が結論付けたい方向性は真逆である。時事ドットコムはタイトルからも分かるように、日本の歴史認識が誤っており、その結果として韓国では戦後の日本の謝罪が不十分であるとほぼ100%近い人が感じており、中国でも安倍政権に対して好感を持っている人が9%程度しかないことから、アジアの中で日本が孤立しており、その様な方向性に真っ直ぐ向かっている安倍政権はけしからん!という論調が強く表れている。これに対して産経ニュース側は、どちらかと言えば時事ドットコムの真逆で、日本はアジアの中では非常に好感を持って受け入れられており、韓国、中国のみが例外的に反日的な感情を抱いていることをアピールしている。日本の新聞社というのは、言うまでもないが共同通信社などの通信社から元の記事の提供を受け、それを掘り下げて自社独自の記事とすることが多いが、産経ニュースはこのニュースの情報ソースが共同通信社であることを明記している。この共同通信社の記事を探すと、確かに時事ドットコムと同様のスタンスであり、つまり産経ニュースは出典を尊重して出典の主張するニュアンスも残しながら、しかし、本家本元の情報ソースである「米調査機関ピュー・リサーチ・センター」の情報を読み解けば、少々、異なるニュアンスである旨を示している。
ちなみに、この産経ニュースには先日、こんな記事も載っていた。
産経ニュース2013年6月28日「尖閣どこ吹く風、日本依然首位 台湾の『最も好きな国』」
どうも産経ニュースの視点は一定している様なのだが、他の新聞社の論調が違うので少々気になって調べてみたが、どうも背景にはドス黒い何かがあるようである。実は、”正しい歴史認識、国益重視の外交、核武装の実現”「韓国98%「謝罪は不十分」・米調査を時事通信報道・他の国は?謝罪は不要!嫌われ者は支那朝鮮」なるブログでこれらの背景を解説している。このブログでは、この出典となる「米調査機関ピュー・リサーチ・センター」の元記事を紹介し、そこに記載されたことを詳細に解説してくれているのであるが、出典の記事は下記になる。
Pew Research Global Attitudes Project, July 11, 2013 Released. "Japanese Public’s Mood Rebounding, Abe Highly Popular, China and South Korea Very Negative Toward Japan"
さて、どちらの記事の方が元ネタの意に沿った記事であろうか?この記事は、別にアジア諸国が日本に対して抱いている感情のみを扱ったものではなく、広く日本の状況を解析している様なのだが、明らかに産経ニュース以上に日本に対して好意的な評価をしており、中国、韓国の異常性が際立っていることを明らかにしている。その最たるものが、日本の戦争責任に対する謝罪のアジア諸国の評価である。「正しい歴史認識・・・」の記事にご指摘された内容の受け売りになるが、実は元記事には上述の日本の新聞に掲載されていない情報が含まれている。この手のアンケートは集計の仕方で見方が変わるのだが、例えば「良い」「どちらかと言えば良い」「どちらかと言えば悪い」「悪い」という設問に対し、「どちらかと言えば悪い」+「悪い」を否定的な意見、「良い」を肯定的な意見、「どちらかと言えば良い」はカウントに含めないなどという集計の仕方をした場合と、「良い」+「どちらかと言えば良い」を肯定的な意見と見なした場合では多数決判定が変わってくる可能性があるから、設問における選択肢全てのパーセンテージを示して頂かないとイマイチ信用できない。
これに対して時事通信に記載の内容である「日本の謝罪を『十分』と思う人は韓国で1%、中国で4%。『謝罪は不要』との回答は韓国で1%、中国で2%だった。これに対し、日本の謝罪を『不十分』とする人は、フィリピンで47%、インドネシアで40%、マレーシアと豪州でともに30%。日本では『不十分』28%、『十分』48%、『不要』15%となった。」においては、その様な記述がないから違和感を感じていたが、出典を見れば全ての数字が記されている。その出典によれば、全ての国で『謝罪は不十分』、『十分』、『謝罪など不要』、『分からない』を選択肢として調査をしており、当然ながら『謝罪は不十分』は否定的、『十分』と『謝罪など不要』を合わせたものが日本の立場に肯定的という比較をすべきである。この様に見ると、「否定的:肯定的」の比率は、フィリピンで「47%:48%」、インドネシアで「40%:35%」、マレーシアでは「30%:32%」、オーストラリアに至っては「30%:55%」と驚きの数字となる。中国や韓国があれだけ大々的にネガティブキャンペーンを行った結果の数字であることを考えれば、この数字を示されたアメリカ人はきっと驚くに違いないと思う。あれだけ日本の右傾化が一大キャンペーンであたかも真実化の如く吹聴されているのに、少なくとも日本との間で領土問題を抱えていない国や、領土問題を抱える台湾ですら、中国、韓国を除くアジア諸国は日本のことを肯定的に評価している訳だから、中国、韓国の主張はいったいなんだったのかと言うことになる。
しかし、本当に驚くのは日本の新聞社が日本人向けにこの様な報道を行うことの背景である。これは、如何にも「中国、韓国が評価してくれない安倍政権はけしからん!これでいいのか、国民諸君!」とでも言いたげな内容である。どうして、「米調査機関ピュー・リサーチ・センター」の記事がこの様に化けてしまうのかと考えると恐ろしいものがある。
引用ついでに書かせて頂けば、三橋貴明さんのブログ「新世紀のビッグブラザーへ」の中の2013年7月10日の記事に「怪しすぎる朝日新聞」というものがある。これは、国際通貨基金(IMF)のブランシャール調査局長という方がアベノミクスについて語ったことを扱った記事なのだが、他の新聞社の記事に対して朝日新聞だけ論調が真逆なのだという。朝日新聞では見出しが「『アベノミクスが新たなリスク』IMFが初めて指摘」とあり、(海外はともかくとして)少なくとも日本は「アベノミクス」に起因したネガティブなリスクを背負っているとの駄目だしを食らったというニュアンスである。しかし、朝日新聞以外の記事では全て、世界経済としては減速感がある中で、日本だけが珍しく今後の経済見通しが高評価され、その結果、上方修正することになった旨を記載している。確かに、これまでにもG8の会合などでアベノミクスが大々的に評価されながらも、「財政再建も忘れるなよ!」的な釘を刺されたとの報道を良く耳にしており、全くそれと同様の指摘なのだろうが、今回はそれらとは異なり、定量的な大きなアベノミクスの高評価材料を示したわけだから、これまで以上にネガティブに扱う朝日新聞の背景には、「アベノミクスが成功されてはまずい!」という意図が垣間見れる。
これらの一連の捻じ曲げられた報道の背景には、何とかして安倍政権の足を引っ張ってやろうという魂胆が見えるのだが、それを選挙期間中に特定政党へのネガティブキャンペーンを堂々とやるというところがこれまでになかった新しい特徴かも知れない。
しかし、日本の報道機関の不公正さは別途議論するとしても、自虐的にならざるを得なかった一部の国民からすればこれらの情報は朗報かも知れない。これだけアジア諸国から評価されている日本が一部の米国人から右傾化と非難されるのは、超右(左)傾化する韓国、中国の限度を超えたナショナリズムの反日行動に触発されて、言わなくても良いことを言わされて落とし穴に嵌められた橋下代表などを見ての結果であり、それはフェアな評価ではない。実際には中国、韓国の行動が異常であり、それをリファレンスにして自分を顧みる必要はなく、少なくとも自虐的になる必要はないということを再確認することができたデータとして、今回の結果を非常に感慨深く見ることが出来た。
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産経ニュース2013年7月12日「際立つ中韓の『日本嫌い』前回から急増、他のアジア諸国と対照的」
時事ドットコム2013年7月12日「韓国の98%『謝罪は不十分』=安倍首相好感度、中国で9%-米調査」
この二つの記事は共に「米調査機関ピュー・リサーチ・センター」という機関で行った調査結果をもとにして記事を書いているのであるが、その新聞記者が結論付けたい方向性は真逆である。時事ドットコムはタイトルからも分かるように、日本の歴史認識が誤っており、その結果として韓国では戦後の日本の謝罪が不十分であるとほぼ100%近い人が感じており、中国でも安倍政権に対して好感を持っている人が9%程度しかないことから、アジアの中で日本が孤立しており、その様な方向性に真っ直ぐ向かっている安倍政権はけしからん!という論調が強く表れている。これに対して産経ニュース側は、どちらかと言えば時事ドットコムの真逆で、日本はアジアの中では非常に好感を持って受け入れられており、韓国、中国のみが例外的に反日的な感情を抱いていることをアピールしている。日本の新聞社というのは、言うまでもないが共同通信社などの通信社から元の記事の提供を受け、それを掘り下げて自社独自の記事とすることが多いが、産経ニュースはこのニュースの情報ソースが共同通信社であることを明記している。この共同通信社の記事を探すと、確かに時事ドットコムと同様のスタンスであり、つまり産経ニュースは出典を尊重して出典の主張するニュアンスも残しながら、しかし、本家本元の情報ソースである「米調査機関ピュー・リサーチ・センター」の情報を読み解けば、少々、異なるニュアンスである旨を示している。
ちなみに、この産経ニュースには先日、こんな記事も載っていた。
産経ニュース2013年6月28日「尖閣どこ吹く風、日本依然首位 台湾の『最も好きな国』」
どうも産経ニュースの視点は一定している様なのだが、他の新聞社の論調が違うので少々気になって調べてみたが、どうも背景にはドス黒い何かがあるようである。実は、”正しい歴史認識、国益重視の外交、核武装の実現”「韓国98%「謝罪は不十分」・米調査を時事通信報道・他の国は?謝罪は不要!嫌われ者は支那朝鮮」なるブログでこれらの背景を解説している。このブログでは、この出典となる「米調査機関ピュー・リサーチ・センター」の元記事を紹介し、そこに記載されたことを詳細に解説してくれているのであるが、出典の記事は下記になる。
Pew Research Global Attitudes Project, July 11, 2013 Released. "Japanese Public’s Mood Rebounding, Abe Highly Popular, China and South Korea Very Negative Toward Japan"
さて、どちらの記事の方が元ネタの意に沿った記事であろうか?この記事は、別にアジア諸国が日本に対して抱いている感情のみを扱ったものではなく、広く日本の状況を解析している様なのだが、明らかに産経ニュース以上に日本に対して好意的な評価をしており、中国、韓国の異常性が際立っていることを明らかにしている。その最たるものが、日本の戦争責任に対する謝罪のアジア諸国の評価である。「正しい歴史認識・・・」の記事にご指摘された内容の受け売りになるが、実は元記事には上述の日本の新聞に掲載されていない情報が含まれている。この手のアンケートは集計の仕方で見方が変わるのだが、例えば「良い」「どちらかと言えば良い」「どちらかと言えば悪い」「悪い」という設問に対し、「どちらかと言えば悪い」+「悪い」を否定的な意見、「良い」を肯定的な意見、「どちらかと言えば良い」はカウントに含めないなどという集計の仕方をした場合と、「良い」+「どちらかと言えば良い」を肯定的な意見と見なした場合では多数決判定が変わってくる可能性があるから、設問における選択肢全てのパーセンテージを示して頂かないとイマイチ信用できない。
これに対して時事通信に記載の内容である「日本の謝罪を『十分』と思う人は韓国で1%、中国で4%。『謝罪は不要』との回答は韓国で1%、中国で2%だった。これに対し、日本の謝罪を『不十分』とする人は、フィリピンで47%、インドネシアで40%、マレーシアと豪州でともに30%。日本では『不十分』28%、『十分』48%、『不要』15%となった。」においては、その様な記述がないから違和感を感じていたが、出典を見れば全ての数字が記されている。その出典によれば、全ての国で『謝罪は不十分』、『十分』、『謝罪など不要』、『分からない』を選択肢として調査をしており、当然ながら『謝罪は不十分』は否定的、『十分』と『謝罪など不要』を合わせたものが日本の立場に肯定的という比較をすべきである。この様に見ると、「否定的:肯定的」の比率は、フィリピンで「47%:48%」、インドネシアで「40%:35%」、マレーシアでは「30%:32%」、オーストラリアに至っては「30%:55%」と驚きの数字となる。中国や韓国があれだけ大々的にネガティブキャンペーンを行った結果の数字であることを考えれば、この数字を示されたアメリカ人はきっと驚くに違いないと思う。あれだけ日本の右傾化が一大キャンペーンであたかも真実化の如く吹聴されているのに、少なくとも日本との間で領土問題を抱えていない国や、領土問題を抱える台湾ですら、中国、韓国を除くアジア諸国は日本のことを肯定的に評価している訳だから、中国、韓国の主張はいったいなんだったのかと言うことになる。
しかし、本当に驚くのは日本の新聞社が日本人向けにこの様な報道を行うことの背景である。これは、如何にも「中国、韓国が評価してくれない安倍政権はけしからん!これでいいのか、国民諸君!」とでも言いたげな内容である。どうして、「米調査機関ピュー・リサーチ・センター」の記事がこの様に化けてしまうのかと考えると恐ろしいものがある。
引用ついでに書かせて頂けば、三橋貴明さんのブログ「新世紀のビッグブラザーへ」の中の2013年7月10日の記事に「怪しすぎる朝日新聞」というものがある。これは、国際通貨基金(IMF)のブランシャール調査局長という方がアベノミクスについて語ったことを扱った記事なのだが、他の新聞社の記事に対して朝日新聞だけ論調が真逆なのだという。朝日新聞では見出しが「『アベノミクスが新たなリスク』IMFが初めて指摘」とあり、(海外はともかくとして)少なくとも日本は「アベノミクス」に起因したネガティブなリスクを背負っているとの駄目だしを食らったというニュアンスである。しかし、朝日新聞以外の記事では全て、世界経済としては減速感がある中で、日本だけが珍しく今後の経済見通しが高評価され、その結果、上方修正することになった旨を記載している。確かに、これまでにもG8の会合などでアベノミクスが大々的に評価されながらも、「財政再建も忘れるなよ!」的な釘を刺されたとの報道を良く耳にしており、全くそれと同様の指摘なのだろうが、今回はそれらとは異なり、定量的な大きなアベノミクスの高評価材料を示したわけだから、これまで以上にネガティブに扱う朝日新聞の背景には、「アベノミクスが成功されてはまずい!」という意図が垣間見れる。
これらの一連の捻じ曲げられた報道の背景には、何とかして安倍政権の足を引っ張ってやろうという魂胆が見えるのだが、それを選挙期間中に特定政党へのネガティブキャンペーンを堂々とやるというところがこれまでになかった新しい特徴かも知れない。
しかし、日本の報道機関の不公正さは別途議論するとしても、自虐的にならざるを得なかった一部の国民からすればこれらの情報は朗報かも知れない。これだけアジア諸国から評価されている日本が一部の米国人から右傾化と非難されるのは、超右(左)傾化する韓国、中国の限度を超えたナショナリズムの反日行動に触発されて、言わなくても良いことを言わされて落とし穴に嵌められた橋下代表などを見ての結果であり、それはフェアな評価ではない。実際には中国、韓国の行動が異常であり、それをリファレンスにして自分を顧みる必要はなく、少なくとも自虐的になる必要はないということを再確認することができたデータとして、今回の結果を非常に感慨深く見ることが出来た。
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