けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

尖閣諸島問題への対処の仕方について考えてみた

2012-08-20 23:53:29 | 政治
最後のブログを書いてから、既に3週間ほど経過してしまった。全くの弁解ではあるが、オリンピックでの夜更かしと、夏休み中の不在などで、すっかりブログを書く時間を失ってしまった。更には、旅行中はニュースから隔離された生活をしていたので、帰ってからも暫くは本当は世の中で何が起きているのかを把握するのに時間を要してしまった。通常は職場での昼休みにブログの原稿を書いていたので、職場復帰するまでは中々まとまった時間が取れず、今日に至ってしまった。ただ、そんな中でもコンスタントにこのブログに足を運んで頂いた読者の方が結構いたようで、感謝の限りである。

さて本題であるが、やはり、今、社会で最も問題となっているのは領土問題であろう。

北方領土問題に関しては中々打つ手が見つからない中、竹島問題に関しては韓国の李明博大統領の明らかなポカである天皇陛下への非礼極まりない発言を盾に、国際司法裁判所への竹島問題の提訴、財務大臣の訪韓中止、韓日通貨スワップ協定の中断(または規模縮小)、韓国国債買入方針撤回、APEC(9月)首脳会談時の韓日間首脳会談拒否、国連総会で安保理非常任理事国選出での韓国を支持しない方針など、矢継ぎ早の方向性を示している。現時点では日本政府の口先だけの外交だが、これが意外にもボディーブローのように利き始めている。、韓国内でも領土問題に関しては一歩も引けない背景がありながらも、日本の強硬姿勢の矛を収めさせなければという焦りから、「天皇への非礼な発言に関しては、明らかに大統領の勇み足」的な論調が韓国マスコミの中でも徐々に広がっているようだ(未確認ではあるが、日本ではあまり報道されていないが、李明博大統領の天皇陛下に関する発言は相当、過激な内容であったようで、「正直に報道すると日韓関係にトドメを刺しかねないので控えている」という雰囲気が漂っている)。こちらの方は、李明博大統領が支持率回復を目的にナショナリズムのカードを切ったのに対し、これまた支持率の低い野田政権にとっても支持を得やすいナショナリズムカードを切り返した感がある。中国は、最後には何をしでかすか分からない不気味さがあるが、対韓国であればアメリカの手前、軍事的な行動や非人道的な民間人の逮捕監禁は不可能である上、(弱っているとはいえ)日本経済の圧倒的な優位性は揺るがないだろうから、がぶり四つの相撲で日本に勝負を挑むことは出来ない。売り言葉に買い言葉という、丁度良い大義名分を得た現在、以前に比較すれば日本の方がポイントを稼いだ状態であるのは明らかだろう。オリンピックでのサッカーの銅メダル保留も、その辺の「韓国の国際感覚が世界の非常識」であることを示した象徴的な出来事で、中国、韓国に共通の「愛国無罪」という考え方が世界標準からかけ離れていることを世間に知らしめた。

と、ここまでの対韓国に対する対応は、概ね及第点というべきであろう。問題は対中国の尖閣諸島である。テレビでも多くの論説者が出てきて色々語っていた。小平氏の「棚上げ発言」を引き合いに出して、ノー天気な反政府的な思考の人々が尖閣の国有化などで波風を立てる日本政府を批判する発言も聞くが、その結果として中国をアシストするのは国益に適う行動ではない。一方で、色々、「ああでもない、こうでもない」と策を弄しても、結果的に漁船衝突事件で明らかになったように、中国が強硬路線で攻めてきたときに、日本の経済界は震え上がり、チキンレースから一足先に逃げ出したいという足の乱れから、どうせ負けが見えているのはその通りだと思う。自民党が現政府を批判するために勇ましい対応を求めているが、近いうちに政権が交代して問題のボールが自分の足元に転がってくるのが明らかであることを考えれば、単に勇ましいナショナリズムの火を炊きつける方策は賢明ではない。賢明な有識者が唱えるように、この問題には短期的な視点と、長期的な視点での対応が必要である。感情論的にどうかという基準ではなく、戦略的な視点での対応が必要である。

まず、短期的な問題としては、同様の事態の再発を如何にして防ぐのかが最重要である。「公務執行妨害で起訴してしまえ!」という強硬論者の論点は、この様に毅然とした対応をしないと同様のことが今後も繰り返し発生し、収集がつかなくなるというという点にある。これはその通りであり、実際、今回の不法上陸者は10月にも再度上陸を試みると宣言している。一国二制度で完全なグリップの効かない香港の活動家だから、中国側も何処まで彼らを押さえ込むことが出来るかは怪しい。だから、当然ながら具体的な時期は別としても、彼らが再犯を犯すのは時間の問題である。初犯限定で強制送還という国内法に照らせば、再犯となる次回は起訴して裁判にかけざるを得ないのは明らかである。つまり、現在の対応の延長線上では、中国を強硬路線に走らせる事態(裁判沙汰)となるのは必然的である。強硬な中国に対して、更に弱腰外交を続ければ政権は持たないであろうから、彼らが「(どうせ遅かれ早かれそなるなら)最初から裁判にかけてしまえ!」というのは一見、筋が通っているように見えなくもない。

ただ、私はここで提案したい。再発防止が目的なら、他に手はあるのである。つまり日本政府は世界に向かって次のように発信すべきである。

「今回は、日中関係を考慮して、(公務執行妨害の疑いもある中国人を)無条件で強制退去させた。しかし、この様な事態が今後も続くことは許容できない。だから、次にこの様な暴挙が行われたら、この様な不法入国者を排除するために海上保安庁や自衛隊を尖閣諸島に常駐させるなど、ありとあらゆる手を尽くさざるを得ない。その様な事態を望まないなら、それ相応の対応を中国に対して求める。」

つまり、相手の行動を逆手に取って、事前に相手の行動に対する自らの対応を宣言することで、それを抑止力に繋げるのである。中国政府が活動家への押さえ込みを強化し、尖閣諸島流域に活動家や漁師(偽漁師も含む)が出没できないようにするのも良し、逆に再上陸して自衛隊ないしは海上保安庁や警察の常駐(または、監視のための大掛かりな機器の設置や建造物の建設などでも良い)で対抗するもよし。あくまでも、国際社会に対して「先方がトリガを引いたこと」を主張できる防御線を張るのである。そして、その様に実効支配のレベルを段階的に引き上げる見返りに、不法入国者は次回以降も「日中関係を考慮し、『(超法規的な)政治的な判断』で無条件での強制送還」を続けるのである。中国国民の逮捕監禁を即座に解いているのであるから、国際社会的には「紛争を積極的に回避するための最善の努力をする国」として日本が評価され、これならば中国側が日本を攻撃する材料を与えないで済む。中国側が得意なのは、ドサクサに紛れて何らかの実績を残し、その後に和解をするが気がつくと大幅なゲインを獲得している・・・という戦法であるが、その逆を突くのである。

そしてもうひとつ。長期的な視点からの対応である。長期的には、経済的な意味での中国依存度を徐々に減らし、何かの時に中国側に経済カードを握らせないための環境を整えることである。例えば、昨年のタイの洪水などを引き合いに出し、特定の国への依存度を下げるように国内企業に対して指導を行うのである。自然災害や政情不安などの要因を考慮し、(国家主導ではなく民間主導で)国毎の目標依存度を設定し、特定の部品材料や資源の輸入元が特定の国に偏ることがなく、さらには輸出先としてもリスクの高い特定の国へ依存度が高まらないように、長期的な視点で調整を図るのである。こればかりは10年程度では対応できないが、30年程度のスパンでの長期的な計画を立て、それに従ってリスクを分散するのである。これは、単に対中国という意味ではなく、東日本大震災やタイの洪水などの自然災害、今後も発生するかもしれない原発事故(特に発展途上国を中心に・・・)などへのリスクの最小化を意味し、結果的に企業の耐力の強化につながり国際競争力を高めることになる。

そして、この様な対応のもと、少しずつ「達磨さんが転んだ!」的に相手に気づかれない範囲でゲインを少しずつ積み重ねてゆくのである。東京都の尖閣購入などもそのひとつであり、国家が関与するよりも「気の狂れた一介の地方自治体の首長の行う単なる経済活動」と位置づけて、中国側の攻撃を巧みにかわしながら着実に実効支配のレベルを高めるのである。現時点でも、携帯電話の基地局と太陽光発電設備の設置などの名目で、何らかの構造物を建設することは可能である。中国船籍の船が嵐で遭難することも想定しているとして、日本の携帯電話基地局のみならず、他の国際標準規格の端末からのアクセスも出来るようにすれば、「日本のため」だけではなく「中国のため」も考慮していると言い訳できる。

そして、最終的に実効支配のレベルがある域に達した時点で、国際司法裁判所での決着も覚悟しなければならないだろう。日本政府の公の(「領土問題は存在しない」という)立場は分かるし、領土問題の存在を世界的に知らしめる行動は取りたくないというのはある意味では理にかなっている。しかし一方で、韓国の竹島に対する不法占拠に際して国際司法裁判所へ提訴するにあたり、「韓国が一方的に『領土問題は存在しない』と言っても、他方が領土問題の存在を訴えれば、世界は『領土問題は存在しない』とは認めないのだから、国際司法裁判所への提訴は国際的には大きな意味を持つ」と多くの人が言っているのだから、その論旨に照らし合わせれば「領土問題は存在しない」と言い続けることにそれ程決定的な価値があるとは認められない。実際、現時点では良好な漁場でありながら日本の漁師が近づくことが出来ない一方、中国の漁船は(ある程度の制限があるのは事実であるが)それなりに好きなように入り込んで漁をしている。地下に資源が眠っていても、その開発を行うことが出来ないように氷付けにされているならば、結果的にはあまり領土を有効活用できていないことになる。この状況を平和的に打開するためには、最後は裁判で決着をつけるのが国益に適う。

では、日本国政府が自ら国際司法裁判所に提訴するのが良いのだろうか?答えは「否」。日本が提訴した時に、中国がどの様に反応するかは明らかではない。下手をすると、「中国は『疑いもなく我が国の領土』と思っているのに、日本は尖閣を紛争地域と認めた」と言われかねない。であれば、日本政府が口火を切るのではなく、日本のマスメディアが中国の過激な活動家やマスメディアを焚きつける形で、「実効支配されて悔しかったら、国際司法裁判所に提訴してみろ!」と訴えれば良い。実際にはもっと上品な表現で、「日本は尖閣諸島を実効支配しているし、国際法に照らし合わせた上での過去の経緯からも、明らかに疑いのない日本の領土だと確信しているのであるが、仮に中国が『我が国の領土』と信じているのであれば、実効支配ができていないのだから日本が竹島に対して取るであろう行為と同様に、国際司法裁判所に提訴してみては如何ですか?日本政府も真剣に考えると思いますよ?」と論調すればよい。多分、最低でも香港のマスメディアを中心に、それに加えてツイッターなどのメディアを駆使して、中国国内では「国際司法裁判所に提訴すべき!」の声が高まるのは目に見えている。そうなれば、中国も何らかの反応を見せざるを得ないはずである。それが提訴という形でも、黙殺という形でも、少なくとも国際的には中国側に不利に働くのは目に見えている。そこまで来れば、日本政府も手を打ちやすいはずである。「領土問題は存在しない」という大義名分よりも、国益優先で様々な選択肢を考えることが、厄介な中国相手には必要なのだと思う。

この様なことを、ここ数日の間に思い知らされた。ゲームは始まったばかりである。今後の日本政府のカードの切り方が問われている。

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