けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

成長戦略に向けた異なるアプローチ

2012-01-19 22:49:58 | 政治
昨日のブログで自民党の“ていたらく”状態を嘆いてみたが、後味がどうも悪い。「こいつら、駄目だ!」と言うのは簡単であるが、如何せん、議論が後ろ向きなので不満が残る。今日は、少しは気持ちよく終われるコメントを書いてみたい。

全然関係ないところから話題に入るが、現在、普天間問題は完全に座礁した何処かの船のような状況だ。誰が見ても、もう、ニッチモサッチモ行かない状況であることは明らかだ。何でこうなったかは明らかで、鳩山元総理が選挙で「最低でも県外」と断言して、沖縄県民のハードルを上げてしまったからだ。ガラス細工の様な微妙な案件に、(正直言って騙し騙しの方法だったかも知れないが)自民党政権時代は亀の歩みながら進捗はあった。多分、安部、福田、麻生の3元総理の誰かが悪人と呼ばれる覚悟で決断していたら、少なくとも普天間の固定化という最悪のシナリオは回避できた。グアムへの移転も順調に進み、基地の一部の返還という流れも今頃はあっただろう。県外への移転ではないから100点満点ではないのは承知の上だが、少なくとも今より100倍は良い状況であったと思う。更にいえば、普天間問題に端を発する日米同盟の亀裂から、尖閣問題や北方領土の固定化問題まで、中国、ロシアなどに付入る隙を与えたのは、(仮に民主党が「俺のせいじゃない」と弁解しようが)限りなく強い相関のもとで発生した事象であることは明らかである。

これらのことから分かることは、楽観主義者が「なんとかなるさ!」と言ってリスクの大きさを過小評価して何となく周りの皆が納得してしまうような状況でも、実際にイザ事が起こってしまった後では、二度と後戻りが出来ない深刻な問題となることが十分に有りうるということである。

急速に膨らむ日本の国債などは、その最たるものであろう。EU内ではドイツ、フランスが当事者としてなりふり構わずギリシャを助けるため(実際にはEUを救うため)に働いてくれたが、日本がギリシャ状態に一旦陥ってしまえば、同様に誰かが日本を助けてくれるなどということはありえないだろう。それだけのリスクをどの様に認識するかは、その「イザ」という時が来てから見直しては遅いのである。その認識の見直しの第一歩が、不況下における消費税の増税論議なのである。経済・財政の分野でも「第2の鳩山」を作ってはいけないのである。

鳩山元総理は無責任ではあったが、民主党代表という立場での発言だから、ある程度、責任の所在が自分にあることを覚悟しての発言であったろう。しかし、現在「なんとかなるさ!」と言っている楽観主義者は、そのリスクが現実のものとなった時の自らの責任の所在を明らかにしていない。だから、余計にタチが悪いのである。

さて、この不況下での消費税増税は、当然ながら税収増に直接結びつかないのは誰もが知るところである。野田総理の言葉を借りれば、消費税増税と成長戦略は車の両輪なのである。したがって、消費税増税を語る際には、成長戦略も合わせて語られなければならない。

この成長戦略というときに、よく「イノベーション」などという華やかなキーワードが使われるが、例えばスティーブ・ジョブズが実現したような画期的な変革は、多分、日本人の最も苦手とするところだろう。だとすれば、その様なものを国が先導することなど出来るはずもなく、現実的には成長戦略とはもっと地味な地道なところで語られるべきかも知れない。だとすると、グローバルな世界の中で、日本がどれだけ世界からお金を稼げるか(外需中心の考え方)を議論するのではなく、どうすれば日本国内の消費を活性化させるかことができるかという部分が鍵を握るのではないかと思う。

過去に「OSをバージョンアップせよ!」の中でも触れたが、現在、年金と社会保障の制度は破綻寸前であり、世代間の格差もどんどん広がっている。バブルの時代には、誰もがブランド品やカッコいい車に憧れて消費が非常に活発であったが、今の若い人達に消費の下支えを期待しても無理である。だとすれば、高齢者が安心してお金を使える環境を整える必要があるが、現在の年金制度では心もとない。そこで、60歳を過ぎても80歳になっても、働ける人が社会貢献的に低賃金で働き、より少ない年金や社会保障でもやりくりできる環境を作れば良いのである。私の提案は、その低賃金で働く高齢者を集めた人材派遣会社を国が立ち上げるということである。

現在、多くの製造業が中国に工場を移している。それらの労働力を再度国内に戻し、国が立ち上げる公の派遣会社から、法に基づく管理のもとで低賃金の高齢者を労働力として提供するのである。私は素人なので正確な解析は出来ないが、非常にラフな評価をしてみよう。「日系企業中国現地社員の給与動向について」において、2006年の日系中国企業の中国人労働者の賃金の情報が載っている(最新のデータは有料なので入手できない)。この当時のデータによれば、平均月額給与(2006年11月調査)は、「事務系一般スタッフ」が2,142元、「生産技術系一般(エンジニア)」が3,065元、「生産一般工員」が975元であるという(この当時は1元が16円だったが、現在は12.2円程度になっている)。2006年からこれまでの間、経済成長率と同程度の10%で賃金が上昇し、さらに貧富の格差が大問題となっている現在では政府や企業が国民・社員の暴動を防ぐための対策として更なる賃金上昇率(例えば20%)で賃金アップを図ったと仮定すれば、賃金が最も安い「生産一般工員」の5年後の賃金は4000元程度まで膨れ上がる。月に20日、1日に7.5時間の労働と仮定して時給計算をすれば、5年後には時給は300円を超えてくる。どんどん中国で生産するメリットが小さくなる。人民元の為替レートも、今後、どうなるかは分からない。人民元の切り上げとなれば、一気に時給は跳ね上がる。

一方で、倫理観の乏しい国民性と更なる反日感情の高まりを考慮すれば、いつ、急に中国から日本企業が追い出されるかは分からないリスクがある。対中国の貿易額がアメリカを超え、過剰なまでに中国への経済依存度が高まることは危険である。その状況を緩和することは、色々な意味でのリスク管理として重要である。

もちろん、中国からインドや東南アジア諸国などへの移行は既に多くの企業でも動きがあるところであろうが、最も安定しているのは日本国内であり、多くのリスクと賃金格差とのバランスをどう考えるかは微妙である。過去のブログ「OSをバージョンアップせよ!」では、例えば高齢者を自給600円で雇用する話を書いたが、実際には時給500円でも良いかも知れない。勤勉な日本人が、健康を維持しながら国家のためになるという働き甲斐を持って仕事ができるなら、この程度の低賃金でも納得してもらえる領域なのだと思う。高齢者がこの様に働きに出れば、無用で暇つぶしのために病院に受診する患者も減るだろう。さらには、適度の運動は健康にも良く働くだろう。コミュニティが壊れた社会で、働く先での新たなコミュニティの構築は、精神的な意味でもプラスに働くかも知れない。これらの効果として、社会保障費の支出を減らすことが出来るかもしれない。また年金と合わせた総収入が必要な生活費以上であれば、年金としての受給額が若干減っても何とかやりくりは出来る。この様な制度を前提とした年金制度の再設計は、国家の財政負担の軽減にも役に立つ。浮いた分を、高齢者を雇用する企業に対する減税措置などで手当てすれば、企業としても旨みはあるだろう。

この様にして経済的な余裕が高齢者に出れば、その分だけ単純に消費が増えるということである。そして、若年世代であっても、将来の不安が解消され希望が持てれば、貯蓄の代わりに消費に回せる金額が増えるのだろう。その様な不安の払拭は、少子化問題にも直結するかも知れない。少子高齢化がストップすれば未来は明るくなる。

もちろん、この様な高齢者の労働力が、若年層の労働力を奪わないようなバランスを調整する必要はある。当初は、外国の生産工場を国内に移転する企業に限定して、その様な制度を活用するのかも知れない。介護に関する業界では、若い人達が低賃金で過酷な労働を強いられているが、この様な業界に限定して正社員の20%以下の割合で国が派遣し、賃金の半分を国が補填するとしても良いかも知れない。将来的にも、低賃金労働者の派遣枠を正社員の人数の所定の割合以下に限定する必要もあるだろう。やり方は、工夫次第でいろいろ考えられるのだと思う。

あくまでも乱暴な意見であるので実現のハードルは程遠く、大幅な修正を行わなければ成立しない制度だろうと思う。しかし、この様な考え方をたたき台にして、今までにない新しい成長戦略を練ることを考えてみる必要に迫られているのだと思う。

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