けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

中国、韓国、そしてアメリカの靖国参拝に対するスタンスの比較

2013-12-29 23:58:31 | 政治
安倍総理の靖国参拝問題の行方だが、少し面白い状況の様に見える。今日も続けてコメントしてみる。

まず中国であるが、厳しいことを言っておきながら、中国の日本大使館前での反日デモが計画していたところ、中国の警察により取り押さえられてデモ行進が出来なかったらしい。実際、大使館付近で横断幕を掲げようとした男1人が中国の当局関係者に取り押さえられたそうだが、それ以外はこの週末に目立った動きはないらしい。韓国が完全にあちらの世界に逝ってしまっている中で、中国も当然連携するかと思いきや、意外にも冷静な対応の様である。生誕120年で話題となった毛沢東であるが、その時代には貧富の差はなかったということで、習近平国家主席的には政権内にはびこる腐敗の撲滅で国民の不満が爆発する前のガス抜きをしようとしている中で、反日デモは諸刃の剣という認識の様である。PM2.5の問題や中国各地の公害被害もそうだが、それだけ中国国民内の不満のマグマが恐るべき破壊力を持っているという証左でもありそうだ。

一方の韓国はどうかと言えば、日本との対話の全面凍結を考えているらしい。駐日大使の一時帰国も考えているようだから相当なものである。

朝鮮日報2013年12月29日「靖国参拝:全対話凍結、国際協調で『日本孤立作戦』

それまでは、(以前の論調を変えて)反日外交オンリーだと朴槿恵大統領を批判していた新聞社などが、こぞって朴槿恵大統領を支持するように変わってきている。日本との対話の全面凍結も当然支持しているように見える。実際、アメリカからの「失望」の声明を受けて、韓国政府及びマスコミは大喜びである。というのも、アメリカのウォール・ストリート・ジャーナルでは、下記の記事の様に「悪いのは朴大統領だと思っていたら、本当は安倍総理だった」という様な論調なので、アメリカが賛同してくれたと思い喜んでいるようだ。

ウォール・ストリート・ジャーナル2013年12月27日「【オピニオン】安倍首相の靖国参拝、朴大統領の正当性を鮮明に

確かにこの記事は偏った記事であり、この記事を鵜呑みにすれば、今回の安倍総理の行動は相当な失点になったと見るべきかも知れない。しかし、この記事の執筆者であるカール・フリートホーフ氏は、韓国在住の政治学者で、現在のポジションは峨山政策研究院・世論調査研究センターのプログラムオフィサー兼マンスフィールド財団米韓ネクサス研究者ということらしい。過去にも、安倍総理による「対話のドアは開いている」という発言に対し、朴大統領に対して「対話ぐらい、してもいいだろう?」というスタンスを取っていたからまるっきり韓国側のバイアスがかかった存在ではないが、その発言も韓国国内のマスコミの動向をなぞった形なので、韓国の世論を反映した発言が多いということなのだろう。

ところで、ここまで韓国よりの発言がある中で、中国の方はアメリカの動向をどう見ているかというと、これもまた面白い。

レコードチャイナ2013年12月28日「安倍首相の靖国参拝は人気取りのため、米国は『失望した』と言うだけで日本を批判せず―中国メディア

記事の最後意の部分を引用すれば、「同時に、今の米国にとって日本は必要な存在だ。世界戦略が収縮しているなか、アジアの戦略的利益を守るためには、日本は米国の戦略的核心となっているからだ。そこで米国は安倍首相の靖国神社参拝に片目をつぶり、痛くもかゆくもない『失望した』というあいまいな表現を使用。中国や韓国のような厳しい批判をすることもないのだ。」ということで、これもまた冷静に観察しているというところか・・・。

ちなみに先ほどのウォール・ストリート・ジャーナルであるが、下記の様な記事も見られた。
ウォール・ストリート・ジャーナル2013年12月29日「安倍首相が米国に突き付けるジレンマ
ウォール・ストリート・ジャーナル2013年12月29日「【社説】安倍首相の靖国参拝は日本の戦略的負担に

時系列を逆に引用して申し訳ないが、まずは前者の記事においては総じて参拝に批判的ではあるが、アメリカがあれだけ「失望」という言葉を使った裏には、沖縄の地位協定に関する協議などの動きから、アメリカ政府が安倍総理の靖国参拝を事前に知っていて、それを容認していたと中国、韓国に取られたくないという思惑があったらしい。つまり完全に不意打ちであり、事前に思いとどまらせる様な動きをしていたのが振り切られたと分かって欲しいということである。つまり、アメリカ政府的には不満であることには違いないが、実際のところはポーズに過ぎないということなのだろう。また、後者の社説においても同様に批判が記載されているが、その主要なポイントとして「安倍首相の靖国参拝は、日本の軍国主義復活という幻影を自国の軍事力拡張の口実に使ってきた中国指導部への贈り物だ。」として、一方的に問題だらけの中国に反論の口実を与えたのが宜しくないということである。これはごもっともなことであるが、積極的平和主義自体も中国はケチョンケチョンなのだから、中国のご機嫌を損ねない様に中国の野望に立ち向かうことは出来ない。その意味では、ご指摘はもっともだが、関係が最悪の時に行った方がインパクトは小さいし、中国政府の反日デモ禁止の方針などを見れば、いつか行くなら最高のタイミングだったと解釈もできる。なお、韓国に対するコメントとしては、結局韓国は日本と仲良くせざるを得ないという認識であり、先のカール・フリートホーフ氏の様な短絡差とは異なる。その様な視点であれば、韓国政府の行き過ぎた対応は再度、「やっぱ、朴大統領の方が悪い・・・」という流れに繋がるかも知れない。

最後に、少々視点を変えてコメントしたい。

上述のウォール・ストリート・ジャーナルの一連の批判の根底に流れるのは、靖国神社というものが、ナチス・ドイツに繋がる右翼の聖地という思い込みがあるからである。私もかってはその様に感じていた時期があるからそれは仕方がない。これらの背景には、「化学兵器や性的奴隷など戦時の残虐行為の事実をごまかし続ける」ことに対する疑念である。確かに、ある時期からは侵略戦争の色を濃くしたのは事実だし、化学兵器の使用など残虐行為を行ってきたのも事実である。しかし、それを言うならアメリカも原爆で10万人以上の罪もない民間人を大虐殺した訳で、ナチス・ドイツと同一視するのであればその「基準」というものをアメリカのジャーナリズムに求めても良いだろう。つまり、日本を例にした各論ではなく、一般化した基準である。それを示したうえで、歴史上の史実を証拠に基づいて精査し、日本が避難されて然るべきかを議論すべきだし、靖国神社の参拝がそれほど悪いことか否かを判断してもらえば良い。日本の一部でも、安倍総理の靖国参拝を「ドイツ首相がヒトラーの墓を訪ねるようなもの」と例えていたりした。しかし、同じ第2次世界大戦の敗戦国であるからとひとくくりにするのは論理的でない。第2次世界大戦の戦争責任者が祭られているからNGではなく、そこにナチス・ドイツ的な何かを見るから参拝がNGなのである。私は知らないから誰か教えて欲しいのだが、第1次世界大戦でもドイツは敗戦国だった。その第1次世界大戦の戦争責任者であるが、ドイツ皇帝のヴィルヘルム2世は結局、オランダに亡命したために戦争責任で裁かれることはなかったし、その他の政治家、軍事指導者もそれほど重い訴追を受けることはなかったらしい。当然、その様な人が眠っている墓を政府の要人が訪れても非難など受けないし、それ以前の問題として、誰もそんなことを気にしていない。だから、第2次世界大戦における日本の戦争責任者はアドルフ・ヒトラーに対応するのか、それともドイツ皇帝ヴィルヘルム2世に相当するのか、その辺を議論してもらうべきだろう。そして、仮にA級戦犯が悪いというのであれば、「B、C級戦犯に関しては参拝の是非の対象にはならない」という明確な基準をアメリカ側で担保してもらえれば良い。それはそれで、1歩前進と言って良いものだから・・・。

今の現状は、何処までがNGなのかが年々、インフレーションしている状況である。少なくともこの状況を放置するのは国益に反する。何処かでそれを止めるためには、何処かで一石を投じる人が必要である。今回の安倍総理はその役を買って出たのだと理解している。

なお蛇足だが、先のウォール・ストリート・ジャーナルの社説では、「中国では26日、共産主義国家建設を指導した毛沢東氏の生誕120周年が祝われたが、毛氏が追求した政策では何千万人という人々が死亡した」と、しっかりと毛沢東が行った非人道的な行為も記載している。どちらの方が悪いのか、一度、じっくり聞いてみたい。

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