けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

高い授業料とグランデール市長の反撃

2013-10-17 23:20:46 | 政治
最近、韓国のマスコミがドタバタしている。過去にこのブログの「ミサイル防衛システムと空気が読めない朴大統領の悲劇」でも触れたが、戦時作戦統制権の移管時期を再延期することとリンクして、韓国のミサイル防衛としてアメリカのMD(ミサイル防衛)に参加するか否かが問題となっている。今日はこの辺について思うことを書かせていただく。

まず、下記の朝鮮日報の記事では、MD体制で重要兵器とされる「THAAD(終末段階高高度防衛)迎撃ミサイル」導入の可能性について言及している。

2013年10月16日 朝鮮日報「韓国、統制権移管再延期のために米MDに参加?

最近、この手の話題が頻繁にニュースとして掲載されており、この問題が如何に韓国において重要なのかが良く分かる。しかし、日が変わって今日の新聞では下記のような内容に変わっていた。

2013年10月17日 朝鮮日報「ミサイル防衛問題でブレる国防部、ついに長官が自ら火消し

こちらにも詳しく書いてあるが、「国防部高官は14日『SM-3の必要性を検討する』と述べ、国防部報道官は15日『SM-3の導入は不可能。下層防衛は高度100キロメートル以内だ』と述べ、THAAD導入を示唆する発言を行っていた。韓国型ミサイル防衛(KAMD)に関する国防部首脳の立場に3日連続でぶれが生じた格好だ。」とあり、2転3転している状況の中で、最後は国防部長官が自ら火消しにやっきになったという状況である。建前上の発言は、北朝鮮に近接する韓国においてのミサイル防衛としては低軌道の下層防衛用が主役となるので、限られた予算は最も費用対効果の高いところに集中するということだろう。一方、アメリカとしては北朝鮮の首根っこを押さえるためには、近距離の韓国の防衛だけを固めれば良いのではなく、いかなる方向に核ミサイルを撃とうが無駄なあがきだと見せ付ける必要がある。アメリカ東海岸に核ミサイルを撃ち込む能力がないことは分かっても、ハワイや西海岸、日本の米軍基地などにおいてアメリカが一寸でも脅威を感じていると隙を見せれば、それを突いて取引の交渉を迫られる可能性がある。だから、韓国におけるミサイル防衛は様々な事態に対処可能な複合的な体制となるのが理想的であろう。

と、まあここまでは普通の解釈である。しかし、こんな単純な話であればここまで事態は拗れない。アメリカが統制権移管再延期に絡めて何度も揺さぶりをかけ、一方で韓国が頑なにこれを固辞する一方、軍部の内部にはアメリカよりの発言をするものも現れている。そんな中で政治色の強い閣僚に該当する長官は必死でこれを否定する。極めて政治臭い背景がプンプンである。

多分、誰かが指摘するまでもないことだろうが、背景はふたつある。ひとつは、アメリカの本音は北朝鮮なんてどうせあと1年でなくなる国だから、そのためのミサイル防衛など本気で考えていない。当然ながらターゲットは中国である。北朝鮮危機が高まったときには日本海にイージス艦を展開して対処していたから、北朝鮮だけを意識すれば別に韓国にミサイル防衛の基地を常駐しなければならない理由はアメリカにはない。しかし、中国を含めて抜き打ち的な攻撃への対処を考えれば、中国の首根っこの韓国に基地があればアメリカは願ったり叶ったりだろう。それが中国への無言の圧力になるから、今後も引き続き中国をけん制し続けるために、今回の北朝鮮危機は好都合な訳である。しかし、そんなことは中国は熟知しているから、韓国の宗主国である中国としては韓国に対して「私の言うことを聞きなさい!」と圧力をかけてこれを必死で阻止しようとするのである。しかし、軍事の専門家であれば宗主国様の属国になって生きながらえるのではなく、合理的な軍備増強で対処したいと考えるのが筋である。少なくともナショナリズムの炎に油を注がれた韓国国民は中国の属国として生きることを望まない。しかし、左翼的な志向の強い韓国政権は、北朝鮮との対決を覚悟して乗り越える事態の打開を望まず、中国の仲介の元での解決を期待するから、政権側の主張と軍部との意見の間に乖離があるのである。

ただ、韓国の朴政権の思惑はもう少し複雑である。権力闘争を勝ち抜いてきた朴大統領だから、韓国の命運を中国だけに委ねるのではなく、もっとずる賢くアメリカと中国の両天秤にかける戦略がベストなことは分かるはずである。つまり、アメリカとのミサイル防衛の規模を縮小したり、思わせぶりな対応を取りながらスケジュール的な問題を先送りにして時間を稼ぐなど、色々とやりようはあるのかも知れない。しかし、それらを全て捨てて中国に全てを託すような判断をするのは、ここまでの議論にはない付加的な理由があるとしか思えない。それは多分、韓国の恐ろしい冷徹な戦略なのである。つまり、中高軌道の中高層のミサイル迎撃は日本への核攻撃を韓国が防衛することにつながるのであり、(それは仮に在日米軍基地の防衛であっても)韓国としてはそれに手を課すことは韓国にとって大きな損失なのである。現在、東アジアはゼロサム・ゲームと言われており、誰かが勝つためには誰かが負けなければならない。憎っくき日本が滅亡してくれればそれに越したことはなく、原爆を神の懲罰と呼ぶその精神の背景には、北朝鮮が日本に核ミサイルをぶち込んでくれることを強く願っている下心がある。悲しいが、これが現在の韓国政府の現実である。

だから、アメリカのMD体制への参加は、この濡れ手に粟のぼろ儲けシナリオを否定することに繋がるから、韓国政府は死んでもそれに賛同することは出来ない。政治的な判断であればあるほど、この様な結果に繋がるのである。

しかし、これをアメリカ政府はどう見るだろうか?当然、韓国の下衆な下心をアメリカ政府も熟知しているが、中国がどうのこうの言う前に、米軍基地への核攻撃を韓国が容認する下心は明らかな裏切り行為である。韓国の誤算は、「相手が日本であれば、強気に出れば何とかなる」と勘違いしているだけではなく、「アメリカだってイケイケ・ドンドンで攻めれば何とかなる」と勘違いしてしまった点である。安倍政権になってからの日本は勿論、アメリカがそんな低レベルの恫喝的な外交で安易に降りる訳がない。プライドの高いアメリカは、何処かで韓国に対し冷めた対応に出るだろう。

ちなみに、鳩山民主党政権に騙されたアメリカが冷めた対応に出たところで、日本は尖閣や北方領土で各国からの揺さぶりを受けた。高い授業料をあそこで払うことになった。今回の授業料も相当高そうだ。韓国は授業料を払いきれるのだろうか?ゼロサム的な考え方をすれば、日本には大きな漁夫の利が回ってくるかも知れない。私はそれは、グランデール市長の反撃の様な形の動きとして現れるものと期待している。

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