けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

またまた少々物騒な話・・・(戦争の様相が変わるまでの20年を乗り切れ)

2014-11-12 23:52:06 | 政治
以前のブログ、「少々物騒な話・・・(非核型攻撃ミサイルについて)」にて、コンベンショナル・ストライク・ミサイル(CSM、非核型攻撃ミサイル)という話題について触れたことがある。日本は核装備を目指すのではなく、非対称に核戦争に対する防衛能力を備える選択肢があるとのことだったが、更に次のステップに進んだ記事があった。

PB Press 2014年11月10日「世界の軍事バランスを劇的に変える新技術

先の非核型攻撃ミサイルよりは分かり易い答えで、簡単に言えば「レーザー兵器」についての記事である。イメージ動画で衛星搭載のレーザ兵器で核ミサイルを破壊したり、その攻撃衛星を攻撃するレーザー兵器を搭載した衛星とか、頭の体操的には誰でも考える話である。実際、機動戦士ガンダムなどではその様なビーム兵器での戦闘の世界が描かれていた。アニメの世界では当たり前すぎる世界だ。それが実現しなかったのにはそれだけのエネルギーを集約できるレーザーが実用化できずに実現できなかったということである。それが今回、「最新の技術情報によれば、ポーランドで遠距離到達も可能な極めて高出力のレーザー衝撃波を生成することを可能にする技術突破がなされた。」とのことである。

解説によれば、これまで数十年にわたり研究開発が続けられながら、高出力レーザーの実用化が進まなかった最大の原因は、大気中でレーザー光が散乱し伝達されるエネルギーが減衰することにあったという。大気の影響を最小化する目的で、ボーイング747に空中発射型のレーザー兵器を開発していたこともあるが、レーザーの威力は最大数十キロしか届かず、その範囲にミサイルが通過する前提で防衛網を築くことは非経済的で話がぽしゃった。

今回、そのレーザー光を約12×10-15秒という極めて短いレーザー・パルス状で生成し、その短時間にエネルギーが集約されて100億キロワットに相当するという。この高エネルギー故に衝突する大気中の原資が瞬時にイオン化されてプラズマ状になり、これが大気中でのエネルギーの分散を防ぎ、遠くまで到達可能となる。私の理解で若干補足すると、元々、レーザーには自己収束という性質がある。これは、レーザーは通常の光と比べてエネルギーが高く、入射光強度が強いために伝搬する媒質(空気)中で光の中心部分とその周りの屈折率に差が出来、それが大雑把にいえばレンズ的な効果を有していて一点に収束して拡散を防ぎ、エネルギーの分散を抑えることが出来る。これは通信で用いられる光ファイバーでも同様の原理を利用していて、自己収束型光ファイバーではコアの部分のガラスの屈折率を中心から周辺に向かって連続的に低くなるように変化させることで、レンズのような効果を持たせて長距離伝送を可能としている。上述の今回の技術では、高エネルギーで屈折率の傾斜が高まり、プラズマのファイバーが空間上に綺麗に形成され、それにより散乱・分散が抑えられるということらしい。間違ていたらご指摘をお願いしたい。

ところでこの技術が可能になると、このレーザー兵器を航空機や衛星上に搭載する必要もなく、幾何学的に見通しがつく範囲なら地上からのミサイル迎撃が可能になる。しかも、迎撃の成功失敗は一瞬で判断できる上、相手のミサイルの速度に依存して迎撃確率が変わるミサイル防衛よりも遥かに精度は高く、ミサイルの軌道さえ正確に把握できればほぼ確実に核弾頭の起爆前に破壊して、被害を最小化(核物質の散乱による被ばく被害は避けられないが、起爆による被害に比べたら桁が何桁も違う)することができる。この点は弾道ミサイルも巡航ミサイルも同様である。

この記事の特徴は、この技術がもたらす影響を評価している点である。この技術は核抑止力を概ね無効化する技術であり、現在の核保有による軍事バランスは一瞬で崩れることになる。また更に、戦争の様相も大きく変わると予言している。基本的に物理的に大型の飛翔兵器であるミサイル、砲弾などはレーザー兵器での破壊が可能となり、結果的にこれらも無力化する。大型の戦闘機も、戦闘機対戦闘機などの空中戦になる以前にレーザーで破壊可能だし、携帯式小型レーザーが出来れば、戦車などもあまり意味がなくなるだろう。攻撃する側には不利に働き、防衛側には有利に働く。敵を特定できれば勝負はつくので、ゲリラ戦や接近戦など、古典的、アナログ的な戦争が再び主流になるかも知れない。その際、大規模な軍隊ではなく小規模な戦闘やゲリラ戦、テロ等が実質的な脅威となる。また、生物・化学兵器の重要性は高まるかも知れない。これらの戦闘は、従来の大規模な戦闘と異なり規模が小規模化するので、交戦開始のハードルは下がり、局所戦の発生確率は高まるかも知れないとしている。

ただし、日本の場合には専守防衛であり、且つ四方を海で囲まれているために、陸続きで隣国と接する欧州などよりも防衛は圧倒的にし易い。この防衛網を破り攻撃するためには、多分、潜水艦で日本の沿岸まで深く侵入し、隙を突いて核ミサイルで攻撃するというスタイルが予想されるが、潜水艦の能力は日本は非常に高く、一方で中国の潜水艦は機関の騒音が酷くて探知が容易であるというから、それなりの監視体制を組めば接近を阻止することは可能であろう。尖閣などでの局地戦のリスクは高まっても、それが全面戦争へと発展する可能性が低ければ、それほど恐れることはない。ハイテク技術が勝敗を決するので、物量よりも特定の分野の技術力(高性能な潜水艦などもその一つ)が重要となる。戦地を拡大しても勝ち目がなければ、敵はおのずと兵を引かざるを得ず、海洋国家と言う日本の特徴は非常に有利に働く。

この様に考えると、20年後の世界は今とはがらりと変わってきているかも知れない。しかし、上述の技術は軍用と民生用の差が小さい領域に入ってきており、日本の技術力は中国に対しては有利であるのは間違いない。それまでの年月をどう乗り切るのかが日本の課題である。

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