けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

河野談話の検証報告書21ページを読んでみよう!

2014-06-28 00:24:58 | 政治
仕事やワールドカップサッカーの観戦の忙しさ故に、気になっていたが出来なかったことがある。河野談話の検証報告書21ページの内容の確認である。しかし、私のすきな「ぼやきくっくり」さんのブログの中の「関西テレビ・ニュースアンカー・青山繁晴・ニュースDeズバリ」の文字お越しの中で、その検証報告書が紹介されていた。

こちらの解説を読めば全て要点は理解できるのだが、私なりに要点と感じるところを幾つかの引用をしながら指摘してみたい。

まず、河野談話に関する調査報告書の全文は、下記の首相官邸のホームページで入手できる。

首相官邸ホームページ 2014年6月20日「慰安婦問題を巡る日韓間のやりとりの経緯~河野談話作成からアジア女性基金まで~

青山さんのご指摘の通り、タイトルからして「河野談話の検証」ではなく、「日韓間のやり取り」の検証であることが分かる。また、当然のことであるが、これは閣議決定がなされたものであり、閣議決定のリストの下記のページに含まれている。

首相官邸ホームページ/政府の基本方針・計画等

こちらは既に英語版も公表されており、下記のページで見ることが出来る。
Prime Minister of Japan and His Cabinet・Documents 2014/6/20
Details of Exchanges Between Japan and the Republic of Korea (ROK) regarding the Comfort Women Issue - From the Drafting of the Kono Statement to the Asian Women’s Fund - (Provisional Translation)

ちなみに、首相官邸のホームページは中国語でも公開されているが、パッと見た感じでは河野談話の検証報告書の中国語版は現時点では公開されていない。更には、検索した限りでは韓国語版も公開されていなさそうである。河野談話の場合、日韓のせめぎ合いの結果として非常に微妙な玉虫色の決着をしており、仮に日本語で読んでもその解釈が微妙なぐらいだから、韓国語に翻訳するとなれば単なる文法上の問題に加え、文化的な背景も含めて韓国人がどの様な解釈をするかまで意識したような鉄壁の翻訳が要求されるだろう。しかし、今回の検証結果の報告書はその様な玉虫色の部分を排除し、淡々と事実を述べているだけで、韓国との調整などの複雑な背景もない。多分、この様なものであれば翻訳は比較的簡単に行えるのではないかと予想するが、1週間経ってまだ発表されていないとすれば、日本政府がこの報告書を最もアピールしたい相手はアメリカやヨーロッパなのかも知れないと感じた。

また、韓国政府及びマスコミが今回の検証結果の発表に激怒している理由はこれを読むと良く分かった。先日の私のブログ「日韓の交換日記の先にあるもの・・・」でも書いたが、韓国のマスコミはこの検証報告を受けて、韓国国民の知らない新事実を幾つか自らの紙面で紹介している。その全ては「否定的な論調」の説明書きと共に紹介しているのだが、韓国国民がそれを聞いて「ああ、やっぱり日本は酷いなぁ」と納得する様なものではなく、洗脳故にそう感じる人もいるのは事実だが、少なくとも常識的な判断が出来る人であれば(多分、2割ぐらいの人だろうか・・・)「巷では日本政府は酷い、酷いと言うけれど、どうして中々、誠意を示す努力だけはしている様に見える」と感じる内容である。韓国人の多くはこの報告書を読んでいないし、そのニュアンスも全く理解できないのだろうが、少なくともこの報告書を潜入観念を持たずに読む限りにおいては、この報告書の作成が「右傾化した安倍政権」の産物というものからは程遠く、限りなくニュートラルな立場で書かれていることが読み取れる。つまり、韓国側の主張するようにこの報告書の趣旨は「河野談話の無効化」ではなく、さらには「河野談話の信憑性への疑問」を呈することでもなく、「如何に日本政府が慰安婦女性、韓国政府、韓国国民に真摯・且つ誠意を持って取り組んできたか」に力点を置いて書かれていることが分かる。

キャノン・グローバル戦略研究所の宮家邦彦氏などは繰り返し言っているが、慰安婦問題における日本の主張である「強制性はなかった」的な論争は、アメリカやヨーロッパの人にとっては余り興味がない話題で、何を言われても食傷気味になってしまう。というのも、なかったことを証明する「悪魔の証明」の証拠がない以上、何を言っても白黒はっきりし得るものではなく、結局はどちらの主張に信憑性があるかを相手に求めることになるが、日本はこれまでに反論をしてこなかった故に、今頃になっての反論には胡散臭さが残る。したがって、かっての日本が極悪だったのか極悪でなかったのかの論争ではなく、あくまでも「今の日本は少なくともかっての日本とは違う」ことを示すことに主眼を置き、それを証明するための手段として、如何に日本が誠心誠意、この問題に取り組んできたかをアピールすることに意義があるというのである。その意味で、例えばアジア女性基金の補償の話までをスコープに入れたのは極めて賢明な戦略であった。特に、この報告書の最後の最後の締めの記述は秀逸である。ここだけは引用するので全文を読んで頂きたい。

====(報告書21ページ)========
(3)また,一部の元慰安婦は,手術を受けるためにお金が必要だということで,「基金」を受け入れることを決めたが,当初は「基金」の関係者に会うことも嫌だという態度をとっていたものの,「基金」代表が総理の手紙,理事長の手紙を朗読すると,声をあげて泣き出し,「基金」代表と抱き合って泣き続けた,日本政府と国民のお詫びと償いの気持ちを受け止めていただいた,との報告もなされており,韓国国内状況とは裏腹に,元慰安婦からの評価を得た。
以上
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次に、韓国政府もマスコミも、この報告書が発表されては困る幾つかの「経緯」が明らかになっている。例えば、上述のアジア女性基金の設立に関しては、河野談話での謝罪とパッケージ化された「後続処理」と位置付けられ、(報告書14ページ)「日本政府が何らかの具体的な措置を講じるとしても,日韓両国間では,慰安婦の問題を含め,両国及び両国民間の財産・請求権の問題は,法的には完全且つ最終的に解決済みであり,韓国の元慰安婦に対しては,個人的な賠償となる措置は実施しないことを想定している旨韓国側には確認していた。」との背景から、「後続処理」とは日本政府主体の措置ではなく、何らかの「基金」の設立による補償ということで認識が一致しており、実際、「基金設立」の公式発表の前日に韓国に打診した際に、韓国側からの回答は以下の様な内容だったという。

====(報告書15ページ)========
韓国政府からは,①全般的な感想としては,当事者団体にとって満足いくものでないにしても,韓国政府としては評価できる点もあるような感じがする,②従来より金泳三大統領は,慰安婦に対する補償金は要らないが,徹底した真相究明が行われるべきである旨明らかにしている,③韓国側が要請してきた点である,日本政府としての公的性格を含める必要があること及び日本政府としてのお詫びの気持ちを表明することの2点が概ね含まれており,こうした点において評価したい旨述べた。また,関係団体に対し日本側の措置を説明するにあたっては,韓国政府としてもできるだけ協力したい旨の反応があった。
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実際、この発表を受けての韓国外務省は「これまでの当事者の要求がある程度反映された誠意ある措置であると評価している」と公式発表をしている。

ところが、事態はこの発表の直後から急転する。

ちなみに、この「関係団体」とは反日団体のことで、所謂、遺族会(太平洋戦争犠牲者遺族会)及び挺対協(韓国挺身隊問題対策協議会)と言われる団体である。基金が償い金を保証するのに加えて、国家間の謝罪だけではなく個人への直接的な謝罪であることを明示するための現職総理直筆のサイン入りの「お詫びの手紙」などを添える旨の説明を遺族会及び挺対協などに説明を行おうとしたが、これらの団体からは拒否されると共に、日本政府を激しく非難した。そして、7名の慰安婦に償い金と総理のお詫びの手紙をお渡ししたところ、韓国メディアも率先して日本の「基金」の事業を非難すると共に、受け取りを決意した慰安婦にハラスメント攻撃が始まるのである。

====(報告書18ページ)========
被害者団体は,元慰安婦7名の実名を対外的に言及した他,本人に電話をかけ「民間基金」からのカネを受け取ることは,自ら「売春婦」であったことを認める行為であるとして非難した。また,その後に新たに「基金」事業の受け入れを表明した元慰安婦に対しては,関係者が家にまで来て「日本の汚いカネ」を受け取らないよう迫った。
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この結果、完全に韓国政府は腰が引けてしまい、「大統領より,この問題は国民感情の面からみると敏感な問題である,外相会談でこの話が取り上げられたと報告は受けているが,最近とられた『基金』の措置は国民感情にとって好ましくない影響を強く与えるものであり,遺憾である,このような措置が今後再びとられることのないようお願いしたいとの発言があった」とまで言うに至った。つまり、当初は「基金」設立に前向きであったが、反日団体の総攻撃を受けて白旗降参となった訳である。この結果、何度かの事業の中断と再開を繰り返しながら、最終的に2002年の5月に基金の受け入れ申請の締め切りを決め、事業が終了することになる。日本政府は多くの慰安婦に補償を受け入れてくれることを望み、韓国国内の新聞広告掲載を試みたが、韓国政府からは反日団体を刺激する広告を嫌い、目立たない行動を求めるに至った。

これだけの逆風の中でも償い金を受け取った韓国の慰安婦の数は61人にのぼる。私は償い金が200万円だと聞いていたが、実際にはこれに医療・福祉支援事業との名目で政府支出の原資で300万円を支給したので、結果として500万円を一人当たり受け取ったことになる。先に示した韓国の慰安婦だけでなく、多くのアジアの慰安婦からも好評を得たことが記されている。

この様に、一連の報告書を読んでみると分かることがある。それは、過去のブログ「諸悪の根源は韓国の自称人権擁護派の市民団体か?」でも触れたが、遺族会及び挺対協などの自称人権擁護派の市民団体が問題解決を阻み、そして韓国政府が過激な遺族会及び挺対協の圧力に負けて初志を曲げて、金泳三元大統領や金大中元大統領などが目指した(補償を問わない)未来志向の日韓関係の構築に背を向けることになったという経緯である。そして、その過激な遺族会及び挺対協の圧力は韓国のマスコミともシンクロして一大キャンペーンとなり、結果的に韓国は泥沼のスパイラルに陥ることになっている。

多分、アメリカやヨーロッパの記者はこの様な事実を全く知らないのであろう。であれば、この様な事実を公表することは、「強制性」の有無などとは全く別次元の話として、これまでの日本の誠意を伝えることになり、世界中の人々が1歩、真実に近づくことに繋がる。これは、「慰安婦」がどうのこうのではなくあくまでも「反日」が基本原理の韓国社会にとって不都合な事態である。だとすれば、韓国政府もマスコミも一斉にこれを非難せざるを得ない。

報告書の全文を読んで、真の意味で何が起きているのかが理解できた。

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