けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

諸悪の根源は韓国の自称人権擁護派の市民団体か?

2014-06-05 00:23:44 | 政治
先週金曜日の深夜に放送されたテレビ朝日の朝まで生テレビは見ごたえがあった。その中で明らかになった情報の中に、非常に注目すべきことが多いと思ったので、受け売りではあるが、ここに要点を整理してみたいと思う。

テレビ朝日2014年5月30日25:25~28:25「朝まで生テレビ」
激論!反日・嫌韓、ド~する?!日韓関係

番組には色々なパネリストが出演していたが、その中でも特に鍵を握る存在は下記の3人である。

下村満子(ジャーナリスト、元アジア女性基金理事)
趙世暎(東西大学特任教授、元韓国外交通商部東北アジア局長、韓国在住)
黒田勝弘(ジャーナリスト、産経新聞ソウル駐在客員論説委員)

この中で、下村満子氏とは慰安婦問題に対する問題解決のための「アジア女性基金」の創設に尽力し、300人を超える韓国政府認定の慰安婦の女性の方々に直接会って対話を行い、彼女らの生の声を最も理解している人物の一人と言える。趙世暎氏に関しては、韓国の方ではあるが、比較的論理的な議論に耐えうる方であり、宗教論争的な不毛な議論とは異なる有益な議論ができる人物である。黒田勝弘氏は産経新聞のソウル駐在客員論説委員で、産経新聞の記事で良く見かけるが、比較的ニュートラルな記者だと認識している。

さて、色々と論点はあるのだが、今日はこの番組の中で非常に重要であると思われるふたつのポイントに絞ってコメントしたい。ひとつは、2011年8月30日、韓国の憲法裁判所が下した慰安婦問題に対する韓国政府の不作為を違憲行為と断定した判決の意味の理解についてである。もうひとつは、「アジア女性基金」がうまく機能しなかった裏側の事情と、日韓関係が拗れに拗れるその根源ともいえる団体の存在についてである。

まず前者の憲法裁判所の違憲判決について確認したい。この裁判は、韓国政府が日本軍「慰安婦」被害者の賠償請求権に関し、具体的解決のために努力していないことは「被害者らの基本権を侵害する違憲行為である」との判決を下しており、我々日本人の多くは被害者の賠償請求権を憲法裁判所が「認定」し、それに応えない韓国政府を断罪したものだと理解していた。しかし、趙世暎氏の解説によれば、その理解は間違っているらしい。これは下記の資料の記載とも一致している。

国立国会図書館調査及び立法考査局「【韓国】 従軍慰安婦及び原爆被害者に関する違憲決定

つまり、「両審判における争点は、請求人の賠償請求権の有無ではなく、請求人の賠償請求権に関する日韓間の解釈をめぐる争いについて、韓国政府がそれを解決するための手続を履行しないことが、請求人の憲法上の基本権を侵害しているかどうかにあった。」とあるように、慰安婦の請求権の有無は争点となっていない。その争点とは、「日韓請求権並びに経済協力協定」の第3条に記載があるように、双方の解釈に齟齬がある場合にはまず外交努力で解決を心がけ、それでも解決できない場合には第三国の仲裁委員による仲裁の手続きという規定がなされており、この規定があるにもかかわらず、韓国政府は第3条の誠実な履行を実行しようとしなかったことに対して「韓国政府の義務の不履行を不作為と認定した」ことにある。つまり、外交努力及び第3国による仲裁の手続きを進めれば、憲法裁判所は違憲判決をすることはなかったというのである。さらに言えば、請求権の有無はその手続きの中で明らかにされるべきで、憲法裁判所では判断しないというスタンスらしい。

勿論、この説明に納得できない部分は多々ある。我々は、韓国の司法の非論理性にうんざりしているのであるが、例えば徴用工問題に対しては韓国政府ですら「日韓請求権並びに経済協力協定」で解決済みとの立場を示しているのに、それを司法が国内法の上位に位置する国際条約を無視して徴用工の請求権を認める判決を下しているのは理屈に合わない。ただ、趙氏の主張によれば、徴用工問題は司法の判断を受けて現在は行政側にボールがあり、執行の有無の判断により最終的に「無法国家」なのか「法治国家」かが決まるということらしい。行間を私なりに埋めれば、国際条約を締結するのは韓国政府であり、その条約が意味するところを解釈する第1義的責任は政府にある。それは、外交文書などの様々な判断材料が政府内部にある一方、その様な情報から距離を置く司法の世界では、上位概念を無視してあくまでも韓国国内法のロジックで判断せざるを得ず、その意味でこの様な判決が出てもおかしくないということである。

李明博大統領が竹島上陸という暴挙に出た背景には、慰安婦問題への違憲判決が少なからず影響しているのは間違いないのだろうが、その際に司法が慰安婦の請求権を認定している訳ではないという理解の前提に立てば、違憲判決は別に短期的な解決を大統領に強いている訳ではない。つまり、李明博大統領は単に第3国による仲裁ないしは国際司法裁判所への提訴をすればそれで済んだはずであり、不作為状態は解消され違憲状態は消滅するはずである。しかし、その様な道を取らずに竹島上陸という暴挙を選択したのだから、これは司法が行政に対して仕掛けた圧力を、行政側が素直に受け止めて生じた自体ではなく、行政が司法から受けた圧力とは別のプレッシャーにより、求められた行動と違う行動を取ったと理解することが出来るようである。問題は、その政府が感じたプレッシャーが何であるか・・・である。

さて、次の話題は「アジア女性基金」がうまく機能しなかった裏側の事情についてである。先程も簡単に紹介したが、下村満子氏は「アジア女性基金」の創設に尽力した方で、慰安婦の方々の殆どの方々と直接対話を行っている。彼女は慰安婦の女性が仮に自ら進んで慰安婦になった売春婦であっても、戦場で自由を奪われ辛い生活を強いられた事実には変わりないから、彼女たちに謝罪をする、償いをすることに対しては肯定的である。だから、強制連行でないから問題ないという主張とは真っ向から対立する。その様に、慰安婦問題に異を唱える方々からすれば、かなり韓国よりのスタンスに立っている様に見えてもおかしくない方であるのだが、彼女によれば、慰安婦問題が解決できない最大の理由は、女性の人権を語り日本政府を糾弾する自称市民団体が諸悪の根源なのだという。彼女によれば、慰安婦の多くの人は「アジア女性基金」による補償金を受け取りたがっていたというが、自称人権擁護派の市民団体は慰安婦の方々の人権を無視し、受け取りの拒否を強要していたのだという。下村氏たちは、慰安婦の方々が少しでも癒されるよう、極秘で補償金を支払ったりしていたそうだが、その受け取りの人数などの情報がばれると「魔女狩り」的なことが人権を無視した自称人権擁護派の市民団体によりなされてしまうため、極秘でひっそりと補償がなされたのだという。実際、受け取った人がどれほどだったかは公にしていないが、少なくとも、その補償金を受け取ったことで、慰安婦たちの請求権が消滅したりすることがないことを明言するなど、相当、慰安婦に寄り添った活動をしていたようだ。だから、実際の被害者である慰安婦から見たときに、誰が最も彼女たちの気持ちに寄り添っているのかは明らかなのだが、その様な実態を公にすることが(市民団体により)慰安婦の立場を追い詰めることに繋がる為、日本でも韓国でも、殆どその様な地道な行動がなされていたことを知らないらしい。

さらに言えば、この「アジア女性基金」の創設には日本政府も主導的に参加していたのだが、一旦、請求権が消滅したものをひっくり返して賠償する法的根拠がないために、日本政府は完全に黒子に徹していたという背景がある。驚くことに、実は韓国政府もこの「アジア女性基金」の創設には黒子の様に関与しており、現実的な落としどころとして「アジア女性基金」のあり方などの詳細について調整が図られていたという。だから、この「アジア女性基金」は最初で最後の問題解決の切り札であったはずであるのだが、この両国による妥協案を骨抜きにしたのは先ほどの慰安婦に補償金の受け取りを拒否するように迫った市民団体なのである。つまり、日本のベタ降りである国家賠償を認めさせなければ問題解決と認めないという強硬路線のキャンペーンを張り、結果的にその市民団体の動きに翻弄されて腰砕け的に韓国政府が問題解決を放棄してしまったというのが実情の様である。繰り返すが、民間団体と政府が連携した「アジア女性基金」の活動は、私から見ると非常に涙ぐましいまでに地道な活動であり、慰安婦に補償金を渡してもそれを「渡した」こ公言できない状況で、とてもではないが韓国国民が日本の地道な謝罪の活動を理解することは出来ない。しかし、それでも良いという善意の塊の様な典型的な行動である。

さて、話を最初の話に戻すならば、李明博政権が感じたプレッシャーとは何かということだが、この自称市民団体の強硬路線をあの李明博大統領ですら突っぱねることが出来なかったということである。そして、同様に弱者である慰安婦の方々も、このプレッシャーに勝てない訳である。この自称市民団体には日本の政治家も関与していて、日本政府叩きのツールとして悪魔に魂を売って世界で反日のキャンペーンを進めているのである。その自称市民団体が何故反日に走らなければならないかはここでは議論しない。しかし、これらの自称市民団体が結局は日韓関係を決定的にする。番組に出演していた民主党の江田五月参議院議員などは、完全にこの自称市民団体の立場を代弁するかの様な発言に終始し、常に悪いのは日本側だと主張する。まさに、その市民団体の思う壺である。

この事実は実は産経新聞の黒田勝弘氏も同様に指摘しており、この自称市民団体の存在が諸悪の根源だということがこの番組の討論を通して良く分かった。これらの勢力が政治力を持ち、そして政権に対して影響力を行使するが為に、事態は複雑な方に流れて行く。一般のサイレントマジョリティの韓国国民というよりも、ノイジー・マイノリティの市民団体の行動が、真の意味の大多数に迎合するポピュリズムとは違う意味で、少数の大声の暴力に流されている。

事態の解決への戦略を練るには、まずは事態の冷静な認識が第一歩なのだと思う。素人にとっては、その辺の事情を知る上で非常に有益な番組であった。

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