けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

結局、尖閣は核心的利益なの、どうなの?

2013-04-27 23:58:36 | 政治
一昨日、中国が初めて尖閣について中国外務省の華春瑩副報道局長が「当然、中国の核心的利益に属する」と宣言した。記者団からの質問で間髪なく明快に答えた格好で、常識的には中国共産党内での認識の統一が図られた発表とみられる。一方で、日経新聞によれば中国外務省はウェブサイト上の記者会見録において、実際の発言とは異なる内容を掲載し、「当然、中国の核心的利益に属する」という発言を修正した形である。

これは何を意味しているのだろうか?短絡的に考えれば、中国政府の中には異なる派閥があり、(対日)強硬派とある程度の(親日)穏健派が対立しながら綱引きをしている状況なのだろう。しかし、もう少し深いところに何かありそうな気がする。

現在の中国の置かれている状況は、4月6日のブログ「北朝鮮とアメリカと中国の思惑を読み解いてみよう!」でも書いたが、アメリカは北朝鮮のエスカレーションに合わせて、例えば朝鮮半島を意識したミサイル防衛システムの配備計画やB2、イージス艦などの朝鮮半島周辺への派遣などを行っていて、どさくさに紛れて少しずつ中国に向けた包囲網を敷き、脅威が去った後もその幾つかを撤去せずに残すという戦略に打つ手がない状況である。アメリカからすれば、これだけのメリットがあるのだから、ノドンやムスダンなどのミサイルで沖縄やグアムの米軍基地を核攻撃できないとの判断があれば、金融制裁などの兵糧攻めで半年程度を目途に真綿で首を絞めるような作戦で十分なのかも知れない。つまり、今年中ぐらいに政権崩壊に追いやるシナリオがあれば、急いてリスクを負わない道を選択し得る状況である。

しかし、中国側からすればこれは結構、死活問題と言わざるを得ない。これは、以前のキューバ危機の時のアメリカの気持ちを中国は今、味わっているのかも知れない。建前上は北朝鮮がターゲットだが、そんなことで安心できる人達ではないだろう。だから、先日の米中の国防省のトップの会談でも、中国は「太平洋を米中で二分して管理しよう」というニュアンスの提案をし、米中は相互に不可侵の関係を築こうとしているのだろう。この関係が軌道に乗れば、必然的に今回の北朝鮮がらみで増強された米軍の体制のリセットを求めることが出来る。しかし、当然ながらアメリカはこの提案に困惑し、尖閣は日米同盟の適用範囲で軍事的衝突があれば米軍は全力で日本を守ると公言してしまったから、相互の不可侵というのは「中国が、尖閣に絡めて日本にも軍事的な挑発を行わない」という前提条件がつく。共同会見という場だから、相手に非礼にならない様に大人の対応をした形だが、中国の強硬派がこの発言を聞いて何を考えたかは容易に想像できる。

つまり、あまり温いことをしていては、手遅れになりかねないと考えたのであろう。となると、韓国からの米軍撤退と尖閣に関する日本に対する威嚇をどうすれば両立できるかと考え、その最も有効な方法として韓国を手なづけようと考えたのだろう。もちろん、これはここ最近の話ではなく、韓国の大統領の交代に合わせてだいぶ前から練られたシナリオなのだと思う。北朝鮮の恫喝は弱腰の韓国大統領を震え上がらせて、手なづけるのには丁度良い道具だから、一時は国連の制裁決議に賛成するなどの動きを見せていたが、強硬派の主導のもと、北朝鮮カードを利用することを考えたのではないかと思う。

そして、その仕上げが靖国問題である。韓国は、歴史カードの使い方を中国から学んでいるから、中国より耳打ちされれば八方塞がりの現政権は、支持率回復の意味も込めてそれに追従するのは目に見えている。このタイミングで「尖閣の核心的利益」カードを切ったのだろうが、多分、アメリカから強烈な横やりが入り、バランスを調整してウェブサイトの記述を書き換えたという流れなのだろう。

しかし、仮に出したカードを直ぐに引込めたとしても、このカードを表に見せることの意味は、日本と戦争をする覚悟で緊張を高めると言うのだから、その様な中で北朝鮮の崩壊により朝鮮半島の緩衝地帯が消えるということを中国は決して許さない。だから、北朝鮮が仮に弾けたとしても、アメリカが北朝鮮を全面的に爆撃して鎮圧し、米韓の支配下に北朝鮮を置くことを許さないだろう。これは、中国の介入を意味するから、北朝鮮情勢が更に複雑になったことを意味する。金正恩などは、この辺の情勢を解析し、この事態を利用するだろうから、話は本当にややこしくなる。

実際、韓国は対話提案を北朝鮮に無視されて、完全に面子を潰された格好だが、あれだけ大見得を切っていたのに何も出来ないでいる。もはや、北朝鮮問題において韓国の存在は気にしなくて良いと、世界に印象付けた感じである。その韓国が、アメリカではなく中国に助けを求めており、この様に書きながら何が何だかさっぱり分からない(実際、今が緊張状態なのか小康状態なのかが、感覚として分からない)状況となっている。

あくまでも、中国のしたたかさを感じさせる動きであった。ただ、安倍総理はこのGWを利用してロシアを訪問する。最近、北朝鮮問題では全く話題にならなかったロシアにこのタイミングで行くというのは、偶然ではあるが非常にセンスが良い外交だろう。運も味方にしている様な感じだ。これからの外交は、1対1で行うのではなく、マルチでなければ何も動かすことはできず、さらに裏でのネゴがその勝負を分けることになる。先日、森元総理がテレビで語っていたが、あまり極端な成果を期待することは無理だろう。しかし、プーチン大統領と裏で何をネゴったのかを中国側に疑心暗鬼にさせるだけでも大きな意味がある。

しばらくは不安定な状態が続くだろうが、日本のマスコミも、もう少し深読みして国益も意識した報道をして欲しい。

←人気ブログランキング応援クリックよろしくお願いいます