けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

将棋の「永世名人」と「総理大臣」の関係

2013-02-25 23:56:20 | 政治
私は株をやらないので、あまり株価が気になったりはしないのだが、先週金曜日の午前中に11,200円を割り込み、為替もここ最近より円高に振れていたので「マーケットは気まぐれだなぁ・・・」と感じていた。午後には大分株価を持ち直していたのだが、私はそれを知らずに今日の株価と為替レートを聞いて、思わず「おぉ~」と唸ってしまった。一番の鍵は次期日銀総裁のニュースが駆け巡ったことだろうが、TPP交渉参加表明に目途がついて、参院選での勝利の先に長期政権が見えてきたということを感じ取ったのかも知れない。この手の話はボロが出るのでここで止めるが、この次期日銀総裁の話題に連動して株価が跳ね上がったことを考えれば、少なくとも民主党は同意人事に反対してそれを受けて株価が下がろうものなら、それこそ国民から厳しい罰を受けるのは間違いない。民主党が事前に宣言した日銀総裁の条件に照らし合わせてそれほど外れていないことを考えれば、既にこれも「勝った同然!」なのだろう。自民党は、あまり野党との事前のネゴを意識せずに、国会での質疑で適正を判断してもらう戦略に出るようだが、この辺も正攻法で好感が持てる。気が付けば、全てが安倍総理の思った通りに事が運ぶところは恐ろしい限りである。

さて、そんな中で今日コメントしたいのは、安倍政権のひとつの特徴でもある総理経験者を活用した外交についてである。総理経験者の外交と言えば、「ルーピー鳩山」の顔を最初に思い浮かべる人も多いかも知れない。中国やイランなど、国益に多大な損失を与える行動を平気で取りながら自分に酔っている。この様な政府の方針と異なる外交は2元外交と呼ばれ禁じ手の代名詞であるから、その意味では森元総理や麻生元総理を活用することには疑問の声もあった。それは、国際社会は総理経験者の言動は単なる特使であったり副総理であったりする以上の意味を感じ取るから、非常に危険な「両刃の剣」と多くの人が感じるからである。私もその一般論には賛成であるが、しかしやはり固有名詞をあげた各論になると話は別である。最も重要なのは、その人が時の総理大臣の意を汲んで、過去の名声を捨ててひとつの「将棋の駒」に成り切れるかなのである。

話は少しそれるが、私の記憶が正しければアメリカでは大統領は職を辞した後も国民から「大統領」と呼ばれると聞く。イマイチ記憶が定かではないが、海外ドラマの「24(Twenty Four)」の中でジャックバウアーが元大統領のことを「大統領」と呼んでいて、非常に違和感があった。多分、将棋の世界での「永世名人」の様に、名人位を失ってもその後も「名人」と呼ばれ続けられる様な尊敬の念を「大統領」という役職にアメリカ人は認めているのではないか?(もし、私の記憶違いだったらご容赦を)

この様に考えれば、日本の総理大臣も世界の中で見れば永世名人的な意味で「永世総理」という見られ方をするのかも知れない。これを中国に悪用されるという隙を鳩山元総理は繰り返してきた。しかし、例えばG20での麻生元総理(現財務大臣)の振る舞いは、その場にいる各国の代表は如何にも「格が違う」「役者が違う」というオーラを振りまいていた。ギャングスタイルとして話題にもなったが、アベノミクスも含めて非常に世界の注目を集めている「主役」を演じていることを象徴的に示していた。今回の彼の役割は、自信を持って「お前ら、散々、記入緩和で為替操作をしまくっていたのに、全く同じことをやっている今の日本に文句を言うな!」と言い切ることにあったし、それに雰囲気的に変な説得力を持たせることが最大の使命であった。これには「永世総理」の肩書は非常に好都合なのである。

森元総理にしても同様である。総理になって最初の外遊先がロシアであった彼からしてみれば、北方領土問題の解決はライフワークであり、過去のブログ「人は見かけによらないか?(その向こうにある希望)」でも書いた通り、森元総理とプーチン大統領の関係は我々の予想以上の親密さである。その森元総理が、「永世総理」の肩書でプーチン大統領と「タメ」の意見交換をするならば、日本からしてみれば都合の良い話には飛びつけば良いし、都合の悪い話に関しては「単なる議員を引退した一民間人が言ったこと」となかったことにすることもできる。安倍総理が直接「『引き分け』ってどういう意味?」などと聞ける訳がないが、この様なことを聞くには彼は適任なのである。今後もこのカードは大いに活用されるだろうと期待する。

この様に、物事はケースバイケースなのである。悪い見本も散々見てきたし、その逆の良いお手本も見せられた。重要なのは、一度は頂点を極めた人に対しても「この人のために一肌脱ごう!」「将棋の駒になっても構わない」と思わせる人間関係を事前に築いていることなのだろう。だからこそ、両刃の剣が機能しているのだろう。我々は良く分からないが、橋下共同代表にも惚れ込まれた安倍総理には、(一見、ビジネスライクにも見えるが)その様な魅力があるのではないか?実は、オバマ大統領もそれを感じた一人なのかも知れない。

←人気ブログランキング応援クリックよろしくお願いいます