けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

官民ファンドではないけれど・・・

2013-01-23 23:55:41 | 政治
今日、産業競争力会議の初会合が開かれた。アベノミクスの3本目の矢と言われる成長戦略を担う政策の提言を行う会議が動き出し、短期間でどの様な成果が導かれるかは興味深い。勿論、今まで手付かずだった成長分野を掘り起こし、そこに資金を投入して成長につなげるというようなことは、そう簡単に出来るなら既に誰かが金を投じて儲けを得ているだろう。だから、我々が思っているような新しい何かの発掘というよりは、誰もが知っているけどうっかり忘れてしまっている何かを思い出させ、スポットライトの当たる世界に引き上げるという仕事が彼らの仕事なのかも知れない。例えば電気自動車などでもバッテリーなどに対する規制が開発・普及を阻害するなど、様々な古い考えに基づいた規制が成長の足かせになる例は多数あるから、片っ端からそのような例を民間から吸い上げ、成長を阻害しない新しい形への変更や撤廃などの措置を施して、成長への加速をノーブレーキでアクセル全開に持って行くのだろう。

ところでこの成長戦略におけるキーワードの一つに、官民ファンドというものがある。これは、民間ではリスクがあって手を出しにくいという分野に官(と民)がお金を出すというものだが、ビジネスに関する目利きという意味では民間の方に分があるから、結果的には国策で落ち目となった一部の企業に税金からのお金を大量に投入して生きながらえさせたり、民業圧迫につながるのではないかとの懸念や批判がある。しかし私には、この官民ファンドというものにマッチするのかどうかは良く分からないが、このような枠で是非とも進めて欲しいものがひとつある。それは、神奈川県の黒岩知事が知事選挙中に提唱したソーラーバンク構想の焼き直しである。

菅元総理は、再生可能エネルギーの普及のために、高い金額が設定された電気の買い取り制度を導入した。ある部分までは方向性は間違っていないのだが、一般家庭から高い電気料金で集めたお金を一部の企業がリスクなしで吸い上げることができるボロ儲けのビジネス(メガソーラー発電所の建設)を、一部の怪しげな人達に提供してしまったところが私は気に入らない。ドイツなどでは既に高価な買い取り価格に見直しをしているという時期であるのに、今更ながら一部の企業に便宜供与をするという禁じ手で太陽光発電量を増やそうというのだから私は納得できない。また、過去のブログ「本当にピークカットの役に立つのか?(太陽光発電の買い取り価格に関する情報開示)」でも書いたが、気象条件により発電量が異なる太陽光発電設備を、電気の需要と相関がない形で局所的な場所に設置することは非常にリスキーである。例えば、真夏のある日、東京・大阪などの都市部が晴天で気温が極度に上昇した一方、地価が安い田舎に設置したメガソーラー発電所の周りでは雨が降って発電量が低いという事態になってしまったら、不測の大停電という事態になる可能性も否定できない。だから、先のブログでは私は「太陽光発電は地産地消であるべき」と唱えてきた。黒岩知事のソーラーバンク構想は、首都圏で発電し首都圏で電気を使うというのが私の理解する最大のメリットである。具体的には都市部の天気が悪く、太陽光による発電量が少ない場合には、気温が上がらず電力需要が低めに抑えられるので、大停電のリスクは低く抑えられるということである。勿論、北海道などは大雪で気温が低下する際には太陽光発電など期待できないから、太陽光発電の地産地消は全国に通用するルールではないが、少なくとも東京、大阪近郊では有効なはずである。

しかし、詳しくは分からないが黒岩知事のソーラーバンク構想はとん挫しつつあるという。少なくとも私に関しては、自分の家の屋根に太陽光パネルを設置することに承認すれば、10年程度は発電全量を電力会社に売却するからメリットはないが、設置費用を焼却した後はタダで太陽光パネルを譲り受け、それ以降の発電はすべて自由に使えて残量は買い取ってもらえるというのだから魅力的である。未来の買い取り価格の変動で、いったい何年で元が取れるのか心配だと思えば、設置費用を自腹で払って設置することには消極的になってしまうが、設置費用をどこかの基金、ファンドで払ってくれるというのであれば、これはリスクとしては無視できる。勿論、菅元総理の場合と同様に、一般家庭の高い電気料金で得をする人を産むという点では完全に公平ではないが、しかし限定的な一部の人に儲けが集中するのではなく、広く一般家庭に還元するというのだから不公平さの度合いは低い。何よりも地産地消になるのだから、電力の需要と供給の場ランサーとしての機能を備えもつというのが最大の強みだ。しかし、それほど素晴らしい案がとん挫するのは、多分、基金に出資してくれる人が集まらなかったことが背景の一つにあるのではないかと予想する(間違っていたら御免なさい)。であれば、この様な基金に例の官民ファンドが出資すれば、それはまさに成長分野の育成、エネルギー問題の解決、CO2排出量低減という環境問題への対応という3つのメリットを享受することが可能になるかも知れない。

これはまさに「誰もが知っているけどうっかり忘れてしまっている何か」のひとつではないのだろうか?如何だろう?

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