けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

「良いズルさ」と「悪いズルさ」

2012-10-15 22:15:33 | 政治
今日は拉致被害者が帰国してから10年の区切りとなる日である。NHKのクローズアップ現代でも、蓮池薫さんがこれまでの思いを語っていた。多分、あの時の出来事が如何に特殊な状況であるかは、その当事者でなければ分からないであろう。

私もあの時、頭の中に???とクエスチョンマークが躍っていて、何が起きているのかがイマイチ分からなかった。それは、彼らの帰国は北朝鮮と日本政府との間では「一時帰国」での合意であり、特に蓮池さん一家にとっては、子供達を残しての帰国であったのである。当然ながら、北朝鮮は2週間後の帰国を期待していたのが、その時になって日本政府からは「そんな約束は知らない!」と言われて北朝鮮が出し抜かれるのである。私の頭の中では、「そんなことしたら、子供達が強制収容所に送られちゃうじゃん。そんなこと、親が覚悟できるの?」と考え、ひょっとして本気で両者が勘違いしたまま拉致被害者の帰国で合意し、後になって不一致に気がついたのではないかとすら感じていた。しかし、その恐るべき決断を最終的に下したのは蓮池さん(夫婦)本人であり、その背景には論理的な思考の元での戦略があってのことだったという。つまり、北朝鮮にとって、一部の拉致被害者を帰国させるハードルと、既に帰国した拉致被害者の家族を帰国させるハードルは明らかにレベルが桁違いに異なる。それでも拉致被害者を条件付きのつもりかも知れないが、帰国させる覚悟を決めるにはそれ相応の理由があるのである。日本からの経済援助が喉から手が出るほど欲しいから、本来ならば超えられないはずのハードルを超えたのである。であれば、子供の帰国というハードルなど取るに足らない。この辺の交渉の確約を小泉政権に求め、その上で日本に残る覚悟を決めたのだろう。

巷では「断腸の思い」と言うが、蓮池さんのその苦しみは想像を絶する。しかし、その駆け引きを成功に導いた小泉政権の外交能力の高さには、その決断の非情さを超えて、多くの学ぶべき何かがあると言える。そこには、外交には、非情な「ズル(賢)さ」が必要であるという真実が隠されている。相手が北朝鮮や中国、韓国、ロシアであれば、それは当然のことである。ついでに言えば、相手に「上手いことやられたな」と思わせる程度であれば、アメリカ相手でも出し抜く覚悟が必要である。

そんな中、産経ニュースに面白い記事が載っていた。
産経ニュース(2012年10月14日)「【明言か迷言か】ふたりのずるい政治家

ここでは、竹下登元首相と大平正芳元首相について書かれている。竹下元首相は見た目は如何にも穏やかそうだが、言わずとしれた旧田中派を乗っ取った張本人である。しかし一方で、国民からは不評な中、自らの首と引き換えにそれまでに無かった消費税を始めて導入した政治家である。小泉元総理ですら、自らの目指す政策を優先すれば消費税には手を付けれないと諦めるほどであり、国民の支持を受けた細川護熙政権ですら実質的な消費税(福祉目的税)増税を口にした途端に政権が交代したのだから、その導入が如何に大変かは良く分かる。

一方、大平元首相は「あ~、う~」という喋り口調で有名であるが、この記事を読めば中々の策士である。先日のNHKの番組でも日中国交正常化の舞台裏が明かされており、少々、上記の記事とは違った振る舞いをしていたようだが、どちらにしても台湾と中国のどちらを日本が選択するかという本来は選択など出来ない筈の決断を、上手いことやってのけるのである。これは、多分、戦後25年間正当な中国政府と認めていた現台湾政府を斬り捨てる決断だから、今となっては想像に絶する。それを、「最も支持率の高いウチにやってしまえ!」と就任3ヶ月で国交を回復した田中角栄元首相も凄いが、その裏方として汗をかいたのが大平元首相だという。

これらの凄さは、何れも国益のためには手段を選ばずというしたたかさ、ズルさなのである。これが、そのズルさの目的が内向きになると、途端に「凄い」から「汚い」に評価が変わる。原子力ムラの人々が一般市民を騙していたのも、そのズルさなのだが、やはり内向きの自分達の都合でズルさを発揮していた。野田総理は消費税増税までは、それはズルさすらない正直な気持ちだったのかも知れないが、今の自民、公明、ついでに国民からも逃げ惑う仕草は内向きのズルさに他ならない。

ズルさを向ける方向は間違わないで欲しい。その方向は、例えば北朝鮮に対する「非情なぶれない方針」であったり、中国、韓国、ロシアとの「化かし合い」である。今日という日を振り返り、その目指すべき方向を再認識して欲しい。

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