風が吹けば桶屋が儲かる
情報プラットフォーム、No.310、7月号、2013
発想の転換が必要である。他の都道府県が絶対に行わないであろう取って置きの方法である。高知がユニークに生まれ変わることのできる一つの提 案である。
高知に関わって20年、「日本にない大学」を創ることから「高知を元気にする」ことまでが頭に住み着いている。大学院の「起業家養成コー ス」を理解して貰うのは大変であった。「工科系の大学に何故文系のコースが必要か」の問いに答える必要があった。
専門領域で就職する従来型に加え て、ベンチャー気風の醸成が必要である。経営感覚のある技術者、技術を熟知した経営者の必要性を力説した。学長に代わり、門真市を何度も訪れた。 副社長の水野博之さんに起業家コースの学科長就任をお願いするためである。
情報系学科に3Dのスタジオを所属させたが、演劇や造形の学科に発展させる思いが込められていた。大量生産ではないデザイン性の高い商品は、 成熟した漫画文化を持つ高知に相応しいと感じていた。京都精華大学のマンガ学科の牧野圭一さんに相談していた。
高知県の県別統計は極端で面白い。日銀の元高知支店長衛藤公洋氏によれば、高知県の農業の生産性が全国一、地場の中小企業の中核を成す個人企 業収益の占める割合が全国一と指摘している。換言すれば、農業も企業も高知県では零細であり、ささやかに商いをしている様子が分かる。ユニークな 技術を持つ建設業が多いことも特筆に値する。災害復旧時には上流側からも修復できる強みを発揮できる。仕事を皆で分け合う工夫が必要である。
ここで「風が吹けば桶屋が儲かる」に倣って、高知に関わる因果関係を無理矢理に作り出して見る。そして、「困ったことだ」ではなく、その対応 を考えて見よう。
「能ある男は県外に出て戻らない 残った男は能が悪く 鰹のたたきを肴に酒ばかり議論ばかり 有能な女は県外に出る機会が少なく地元に残る 結婚しても出産しても退職しない 女の収入は高くなる 朝食は喫茶店で 身嗜みが大切で美容院へ ストレス解消でパチンコ屋通いも 共働きが多ければ家族団欒も減少する 教育環境が悪くなり学力・体力が低下し非行も多い 子宝に恵まれれば 呑兵衛の旦那とは離婚する 豊かな自然は企業誘致の切り札とはならず 地場産業も立ち上がらない 県内の求人数も増えない 高知工科大は県外流出を4年間猶予しただけ 今では女も県外に出る 同時進行で少子化・高齢化・晩婚化で急速な人口減 過疎化は市内の商店街をも限界集落に導いている」
これらの統計結果を連鎖と見なして、一ヶ所を断ち切ることを考えて見る。公費を直接に投入する従来型の各種の活性化支援とは全く異なる発想である。「夫に妻と同等の産休・育休を義務づけ、出産にも立ち会うことを必然とする。」の条件である。利点とともに派生する不具合とそれらの対応策を考え、シ ステムを造る思考実験を皆で進めるのである。
日常的に複数の担当者によるワーク・シェアリングが行われていなければならない。これで「係が休暇中ですので」の言い訳もなくなる。家庭団欒 の機会が増えることは、老若男女を問わず、人生観を大きく変えることになる。イケメンがイクメン(育メン)に変身し、ダンチュウ(男厨)がジョ チュウに近づいてくるだろう。ハチキン度はそのままに変わらず、イゴッソウ度は低下すると思われる。「男女共同参画」を冠した部署の役割は変化す るだろう。県民性の様がわりを予想することも面白い。県の産業振興計画に掲げられている「移住」に大きく寄与する可能性も高い。まずは、ワーク ショップや討論会を行うことである。不具合・不都合を予測しながら、個々に潰していく作業が意識改革を促すことになる。
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ブログ 鈴木朝夫の「ぷらっとウオーク」