土佐の高知にありがとう(Ⅳ)リムジン
情報プラットフォーム、No.346、7(2016)
お遍路さん (記;2001/7/8)
四国八十八カ所巡りを始めました。ある時、あるお寺で、風呂敷に大量の納経帳を包んで添乗員がやってきました。「急いでいますので先にお願いします」と順番待ちの列の先頭に立ちます。観光客はバスから降りません。何のためのお遍路なのか分からなくなります。でも、私たちも大差ないことをしているように思えてきました。車でお遍路を続ける熱意はなくなりました。この事件は、お遍路さんのことを真剣に考える糸口を与えてくれました。仕事から解放されて、時間が取れるようになったら、何回かに分割してでも、歩き遍路をやろうとちえ子と約束しました。
クリスチャンの彼女に、お遍路に対して抵抗がないのか尋ねました。自分の信仰と矛盾はしないとの答えでした。観光の一つと位置づけているのか、登山のように私に合わせているのか、1400㎞を歩くことに魅力を感じているのか、信仰の中で許容できる範囲なのかなど、詳しく聞きたいことがたくさんありました。でも、それ以上の詮索はしませんでした。
リムジンバス (記:2001/8/11)
高知を出たのは2000年3月10日、成田発でサンフランシスコに向かいます。大学の駐車場に車を置いて、工科大発9:00の高知空港行きのバスに乗ります。このバスに乗ったのは私達2人だけで、片道料金は500円でした。
ナッシュビル空港から予約しておいたレンタカーで、Opryland Hotelに向かいます。このホテルは迷子になるほど巨大で、トロピカル・ガーデンを囲んで2800室もの客室、たくさんのホールや会議室があります。TMS(米国材料工学会)の講演大会がここで開かれます。その中に「シャービー教授引退記念シンポジウム」があります。ここで私も講演発表をし、Sherby先生ご夫妻にお会いし、有意義な楽しい数日を過ごすことができました。
帰りは3月18日にシカゴ発、19日に予定よりも相当に遅れて成田に到着しました。荷物の特徴を聞いたエアラインの係が、いち早く我々の荷物を取り出してきます。税関を通り抜けると、荷物を持って羽田行きのリムジンまで走ってくれます。羽田からの高知行きの最終便に間に合いました。高知空港発20;30の工科大行きのバスに乗ります。我々2人だけです。この3月の一か月間だけ試験運行している土佐電鉄のバスです。アメリカでの会議に出席する私達のために運行してくれたように思えてなりません。
横浜の我が家は東急田園都市線のたまプラーザでした。我が家に帰るとき、羽田空港で新横浜行きのリムジンに乗り、そこから市営地下鉄、そして東急線に乗り換えます。札幌に住んでいた時も、高知に住んでからも、戻るときはその路線でした。2年ほど前に新規路線が開設されました。リムジンバスの運行が、羽田空港―たまプラーザ駅間で始まったのです。片道料金は1100円ですが、時には乗り残しがでるほどの盛況です。便数もどんどん増えています。時間帯によっては15分毎に出ています。
首都圏と地方との格差が拡がっていく典型的な例に思えます。我々が度々利用したエア・ニッポンの高知―札幌便が廃止になります。テレビが今そのことを報じています。同じように淋しい話です。
いま思い起こすと、アメリカからの帰り、高知空港から土電バスに乗ったのは夢ではなかったかと思います。ちえ子はバスを降りなかったのでしょう。ちえ子が乗り換えたのは、銀河鉄道バスだったようです。今頃、どこかの星座を走っているのです。
註)Stanford大学名誉教授、Oreg D.Sherby氏は2015/11/9に90歳で逝去された。文部省在外研究員としてスタンフォード大学に滞在中(1974~1975)に彼には家族ぐるみでお世話になった。
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高知県産業振興センター発行の情報誌「情報プラットフォーム」に掲載された 「ぷらっとウオーク」 を、「高知ファンクラブ」事務局の要請を受けて、ブログでも紹介させていただくことにしました。
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