Catch Ball

修業の時計を止めない教師でありたいです。

消防署までの道中 2

2011-01-25 00:00:58 | 社会
 いよいよ出発である。
 子どもたちは鉛筆としおりを持って,消火栓やら消火器やらをチェックしようと躍起になっている。
 ところが,機先を制するように「メモしながら歩くなんて危ないからやめなさい」と学年の先生から指導が入ったらしい。

 しかし,そんなことにめげないのが私の学級の子どもたちである。
 見つからないように,しっかりと調べながら歩いていったのである。

 道路に出てちょっと歩くと,「おっ!あった!」「あっ!あそこにもあるぞ!」「先生,見て見て!」「ソフト!ソフト!」などと声が挙がる。

 消火栓の数を数えたり,消火栓と消火栓の間が何歩離れているかを数えたり,消火器が駐車場にあることを発見したり,防火水槽を発見したり,いろいろなマンホールに着目したり…。
 消防署に着く前に,しおりのメモ欄が埋め尽くされんばかりである。

 往路では,他の先生の目を気にして調べられなかった子もいた。
 たくましいことに,そういう子は復路で調べていた。

 往路は私のクラスが先頭で歩いていったが,復路は逆順で歩いて最後尾なので,他の先生の目を気にせずにじっくりと調べられるというわけである。
 一番後ろを歩いてきた子どもたちは,じっくり調べ過ぎて他のクラスメートの姿も見えないほどに遅れてしまった。

 Sさんが次のように言った。
 「マンホールなんて,全然気にしたことなかったけれど,こうやって調べてみると面白いね」

 このひとことは,追究の本質をズバリと言い表している。
 遊びが勉強になっているのである。