一身二生 「65年の人生と、これからの20年の人生をべつの形で生きてみたい。」

「一身にして二生を経るが如く、一人にして両身あるが如し」

安倍晋三首相の1日の記者会見の要旨

2014年07月02日 | できごと

 いかなる事態でも国民の命と平和な暮らしを守り抜く大きな責任があるとの覚悟の下、新しい安全保障法制の整備のための基本方針を閣議決定した。自民・公明の連立与党が濃密な協議を積み重ねてきた結果だ。

 集団的自衛権が現行憲法の下で認められるのかという抽象的・観念的な議論ではない。現実に起こりえる事態に現行憲法の下で何をなすべきかという議論だ。

 例えば海外で突然紛争が発生して逃げる日本人を、同盟国の米国が救助・輸送している時に日本近海で攻撃を受けた時、我が国への攻撃ではないが、日本人を守るため、自衛隊が米国の船を守れるようにする。日本国憲法が国民の命を守る責任を放棄せよといっているとは私には思えない。

 ただし、そうした行動を取る場合でも、他に手段がない時に限られ、かつ必要最小限度でなければならない。現行の憲法解釈の基本的考え方は変わらない。海外派兵は一般に許されないという従来の原則も変わらない。自衛隊がかつての湾岸戦争イラク戦争での戦闘に参加するようなことはこれからも決してない。

 外国を守るために、日本が戦争に巻き込まれるという誤解があるが、ありえない。日本国憲法が許すのは、あくまで我が国の存立を全うし国民を守るための自衛の措置だけだ。外国の防衛を目的とする武力行使は今後とも行わない。万全の備えをすること自体が、抑止力だ。今回の閣議決定で、日本が戦争に巻き込まれる恐れは一層なくなる。

 二度と戦争の惨禍を繰り返してはならないという痛切な反省の下に、わが国は戦後70年近く一貫して平和国家としての道を歩んできた。自衛隊の創設、日米安保条約の改定、国連PKOへの参加。国際社会の変化と向き合い、対応しながら、平和主義の理念の下で最善をつくし、外交安全保障政策を見直してきた。批判を恐れず、平和への願いを責任ある行動に移してきたことが、平和国家日本を作り上げてきた。その歩みはこれからも変わらない。

 日本をとりまく世界情勢は厳しさを増している。あらゆる事態を想定して、切れ目のない安全保障法制を整備する必要がある。そうした事態が起きないことが最善だからこそ世界の平和と安定のため、日本はこれまで以上に貢献していく。いかなる紛争も力ではなく、国際法に基づき外交的に解決すべきだ。私は、法の支配の重要性を国際社会に繰り返し訴えてきた。

 関連法案作成チームを立ち上げ、直ちに作業を開始する。十分な検討を行い、準備ができ次第、国会に法案を提出する。今後とも丁寧に説明を行い、国民の理解を得る努力を続ける。

 今回の新3要件も、今までの3要件と基本的な考え方はほとんど同じと言ってよく、表現もほとんど変わっていない。憲法解釈の基本的な考え方は変わらない。従って、憲法の規範性を何ら変更するものではなく、新3要件は憲法上の明確な歯止めとなっている。