FESCOの現状と今後の展望(最終回)
FESCOは、2005年3月4日に東京証券取引所マザーズ市場に上場した。
2005年は、2月に京都議定書が発効し、4月からは愛知県瀬戸市郊外での「愛・地球博」が開催された記念すべき環境の年でもある。
そのお陰もあってか、FESCO株は人気を博し、公募価格が1株あたり75万円のところ、初値が250万円とヒートアップした。その後もしばらくの間300万円を越える水準を維持していた。
しかし、2005年6月期(第9期)の決算発表前後から、落ち着きを取り戻し始めた。その時の決算内容は、なんとか事前発表通りの水準を維持したものの、株主のさらなる急速な成長期待を裏切ったのだろう。
その後、第10期の中間点である2006年1月から岩国ウッドパワーが運転開始し、2月からは関西地区での電力小売を開始した。しかし、開業早々にも岩国発電所の設備不調が頻発し、ウッドパワー事業のみならず、電力小売事業にも悪影響を与え、ダブルパンチで業績を悪化させることになった。
また、悪いことは重なるもので、従来からFESCOの基盤事業であったオンサイト事業のうち、2ヶ所のコージェネシステムにおいて極めて重大な設備故障が発生し、こちらも業績の悪化に拍車を掛けることとなった。
そうしたFESCOにとっては創業来の危機的な出来事の連続によって、2006年6月期(第10期)決算では、売上高こそ70億円弱と予定通りであったものの、利益ベースでは、経常損失が11億円超、最終損失が20億円超という最悪の決算となった。
この年の9月に行った株主総会は、私にとってそれまでの人生でも最大の苦しい時だったと、まだはっきりと記憶に留めている。その場では、必死になって次期の2007年6月期(第11期)には、必ずV字回復してみせると決意を述べた。
その後、売上の積み上げだけは、ほぼ予定通りに進んだものの、肝心の収益が予定通り回復せず、そうした一連の業績不振の経営責任を明確にする意味でも、2007年5月にFESCO社長を退任することになった。奇しくも創業から丸10年という節目の時であり、創業記念を祝う会を催して、それまでの10年間でいろいろとお世話になった方々への感謝の場にしたいと密かに考えていたが、残念ながらその願いは叶わなかった。
現在は、新経営陣の下に、FESCO事業の全体像の見直しが始まっており、早期の収益回復と再び成長軌道へ回帰し、株主への期待にも応えることを切に願っている。
そのためにファウンダー(創業者)として、微力ながらもFESCOの明るい未来の支えとなっていきたい。
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