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イラク派遣の教訓(オピニオン)

2015-04-04 08:28:05 | ②一市民運動
このままずるずると、他国の戦争に巻き込まれる国になってしまうのかと
絶望的になっていたところ、2015年4月3日、朝日新聞の「耕論」の
山崎拓氏の意見に、胸がすく思いだ。
山崎氏は、小泉政権だった2001~2003年には、自民党幹事長や副総裁として
自衛隊海外派遣に関わった人だ。経験から発する言葉は解りやすく、説得力があり、重い。
一部を引用させて頂きます。

【軍事力での貢献 行き過ぎ】
 パウエル(国務長官)氏は「イラクには大量破壊兵器がある。フセイン大統領に使われると
 甚大な被害が発生する恐れがある」と説明し、「日本も同調するよう小泉純一郎首相を説得
 してくれ」と要請されました。

 私たちはその主張をうのみにし、小泉首相に「ゴーサインを出すべきだ」と進言した。
 小泉首相はブッシュ大統領に「イラク戦争を支持する」と伝えました。
 結果論から言えば、大量破壊兵器があると信じたのは間違いでした。
 米国追随主義の典型です。米国の圧力というよりも、日本の政治家にたたき込まれた
 【日米同盟堅持】という外交理念によるものが大きい。
 同盟堅持のため、米国の要求にはできるだけ応えようという
 【対米コンプレックス】の表れだったかもしれません。

 イラク戦争という力の裁きの結果、「イスラム国(IS)」という鬼子が
 生まれたとも言えます。
 私はいま、当時の判断に対する歴史の審判を受けているようにも思える。
 ISの製造者責任は米国でもあり、間接責任は小泉首相にも、私にもあると言えるからです。

 自衛隊のイラク派遣で死者を出さなかったことは良かったが、日本が軍事力を外に向ける方向
 に一歩踏み出したことは間違いない。
 今の安保法制の議論は、イラク派遣の活動の中身を総括せずに、自衛隊をもっと活躍
 させようという議論の方向に向いています。

 安倍政権の姿勢には、強い危機感を持ちます。専守防衛から他国防衛容認に転換し、
 国際貢献に軍事力を投入することは、今までの安保政策を百八十度変えるものです。
 地球の裏側まで自衛隊を派遣できる恐ろしい広がりを持っている。
 これほどの転換は、憲法9条の改正について、国民投票で支持を得てからやるべきものです。

 だから首相の「我が軍」発言には、国家のために軍隊は血を流すものだという軍国主義を肯定
 するニュアンスさえ感じる。国際貢献に軍事力を活用し、積極的平和主義の裏付けにする発想
 でしょうが、戦後70年間平和を維持してきた以上の平和主義はありません。

 首相は、安保政策で政治的実績を残したいのでしょうが、首相に一貫して見られるのは
 【タブーへの挑戦】という政治家としての美学です。
 歴代自民党政権が【集団的自衛権は行使できない】としてきた政府見解を解釈改憲で覆した。
 それはまさに【アリの一穴】なのに、首相はその危うさに気付いていない。

 今回の安保法制は、米国のいわば【番犬】となるための法整備となりかねない。
 米国が国連決議なしに中東の紛争に関わる時、【番犬】として自衛隊が巻き込まれるのは
 馬鹿げている。イスラムのシーア派とスンニ派の戦いはどちらが正しいか分らない。
 【日本は関係しない】と言う方がよっぽどましです。

 より多くの国と安全保障協力すれば日本の安全が確保されるという考えは間違いです。
 戦争に巻き込まれるだけで余計な善意です。

 他国の戦争に出て行かないことこそ本当の平和主義。積極的平和主義の美名の下に
 軍事力で国際貢献するより、他国が【日本のようになりたい】と思う良い意味の
 一国平和主義をめざすべきです。 (引用ここまで)

自民党OBからこのような言葉を聞くことができたのは、嬉しい限りだ。
山崎氏が仰るように、安倍首相の美学のために、私たちが危険に曝されるのは
まっぴらごめんだ!
安倍首相は、もっと謙虚に人の意見に耳を傾けて欲しい。
アメリカに追従するだけでなく、もっと日本の世界の現実を見て、これから日本は何をするべき
なのかを考え直して欲しい。でないと国民は、枕を高くして眠れません!


コメント
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