身近な自然となかよくblog (旧「菊名エコクラブblog」)

自然環境と調和した持続可能な社会を!

by NACS-J認定 自然観察指導員 松田 照之

大きな木を1本切り倒すのは高層ビルを1棟壊すようなもの

2018年03月13日 15時03分56秒 | 篠原園地
最近、大きな木が、近所の至るところで切り倒されるのを見て、僕は心を傷めています。
これらの大きな木は昔から生えていて、親しみのあるものだったからということが一番なのですが、他にも理由はあります。

まず、大きな木は大径木といって、開発行為等の際の保護対象となるということがあります。

二つ目・・・大きな木は小さな木や草花と比べて、葉の量がちがいます。
大きな木が1本あるだけで、それだけ大きな木陰をつくってくれます。
環境問題としてヒートアイランドが指摘される中、木陰をつくってくれる大きな木はありがたいものです。

三つ目・・・大きな木にはその梢に野鳥たちがやってきます。
小鳥たちもこの緑陰に身を隠したり休んでいたりするのでしょう。
巣を作って子育てする場合もあるでしょう。
枝で何かエサをついばんだりもします。
エサはその木の実かもしれませんが、そればかりではありません。
枝の幹や葉についた虫をエサにしているのです。

四つ目・・・つまり野鳥ばかりでなく、野鳥のエサとなるような虫たちも樹木を利用しているのです。

大きな木は、大きな木陰をつくって直射日光を遮り、初夏から秋の強い日差しを和らげてくれます。
そして野鳥から昆虫まで、いろいろな生きものたちが利用しているということなのです。

大きな木を1本切り倒すのは、高層ビルを1棟壊すようなものです。
ただ木が切り倒されるというだけでなく、その木を利用していた様々な生きものたちも利用できなくなってしまうということなのです。
その中には新しい居場所を見つけられずに死に絶えてしまうものもいるでしょう。

確かに森林の更新というのは、必要な場合もあるかもしれません。
でも、小さな木がこの大きな木の代わりを果たせるようになるには、一体何十年かかるのでしょうか・・・。
だから森林に関しては、一度に広範囲に、またたくさんの木を切り倒さないでほしいと思います。




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町に自然(身近な自然)は必要ないか

2018年03月13日 14時50分04秒 | 6-2.思ったこと・考えたこと
自然は元々、小川や池、雑木林や草っぱらなど、町なかの色々なところにもありました。
小川には在来種の小魚や水草、池にはアシ原やトンボやカエルたちが、雑木林には様々な高さや種類の木々や草花のほか、カナブンやルリタテハなどの昆虫たちが、また草っぱらにはバッタやイトトンボなどが見られたものです。
しかし都市化、市街地化がさらに進んで行くにつれて、こうした身近な自然や生きものたちは姿を消していきました。
そして人々は、町の便利さや人工的なものの方を大切にするようになり、身近にある人工的でないもの、自然やその中に棲む生命ある生きものたちに関心を示さなくなったどころか、嫌うようにさえなっていったのです。

それでは、このようになったからといって町(都市、市街地)に、それまで当たり前に見られていたような自然(身近な自然)は、もう必要ないのでしょうか。
多くの人が町に自然はいらないと答えるでしょう。
実際に、そういう言葉を何度も耳にしていますし、多数あるいは目立つと思われるこうした声が反映されてきたこともあって、町なかから自然がなくなってきているということがうかがえます。
しかし、いるか、いらないかという二者択一にするのはおかしく、そこまでして徹底的に町なかから自然を排除してしまうのは、いかがなものかと考えます。

便利で華やかな町の生活で、私たちがなかなか認識しづらくなってしまった、でも、とても大切なこと。
それは、私たち人間も地球上の生命の一員であり、自然環境なくしては生きられないということです。
水、空気、気候・天候、食物、薬草、物の材料、景色、昔からの慣習、文化など、自然は私たち人間か生存し、生活していく上で、あらゆる基盤となってきました。
それは、これからも変わることはありません。
そのことは町に住む私たちも忘れてはならないことで、こうした自然の営みと私たちとの繋がりとを体験を持って何度でも再認識できる場所としても、身近な自然は私たちの生活圏の中に必要だと考えます。

町(都市、市街地)は便利ですが、それだけでは成り立つことはできません。
近隣の県の山林や田畑から水や農作物が運ばれてくるから、成り立つことができるのです。
そして、自然の中に棲む生きものたちも同じように、こうした自然の恵みを受けて生きているということも一緒に覚えておきたいことです。
もし身近に山林や田畑、その他の身近な自然が残っているとしたら、それが町なかであっても大切にしなければいけないと思います。
町に住む私たちがすっかり忘れてしまい、振り返えろうともしなくなってしまったこと。
それは自然の営みに対する畏敬の念と、自然の恵みへの感謝、そして、そこに生きる限りある生命を持った生きものたちへの優しい眼差しです。
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