身近な自然となかよくblog (旧「菊名エコクラブblog」)

自然環境と調和した持続可能な社会を!

by NACS-J認定 自然観察指導員 松田 照之

お正月の環境番組(その2)<後半>

2007年01月08日 11時38分27秒 | その他
2日の9時45分からやっていたTBSの「地球新世紀」についての続き(後半)です。
http://www.tbs.co.jp/sin-sei-ki/series02.html


古来からの日本の水田や畑は自然の土や水の循環をうまく利用し、自然と共存したものでした。
2000年前の弥生時代、おそらくその何千年前から構築されてきたと考えられる水田や畑は、大変優れた循環システムで、長年受け継がれ、守られて来ました。
これは同じ場所で何百年、何千年と、永続的に農作物を生産できるシステムだったからです。

このようなナレーターによる説明のあと、ある有機農家の紹介があったのですが、その農家の方から印象深い話がありました。
それは次のようなお話です。

●私たち人間が野菜を作っていると思ったら大間違い。野菜は土が作っている。だから土作りが大事なのです。
●秋から冬にかけて森の木々は葉を落とします。これらの葉が小動物や微生物によって分解され、約100年で1cmの腐葉土を作ると言われています。
●だから、山には肥料などまかなくても木々が育つのです。
●山が100年で1cmの腐葉土を作るのを、人間の力で10年~20年に早めるのが有機農業だと思います。
●有機農業というは山から教わった方法なのです。
●土作りとは人の生き方そのもの。…近くにある資源を活用して、他の場所から来たものに依存しないで土をつくり、その土からできた、自分の住む場所からなるべく近いところでできたものを食べるということ。
これは限りなく永続して循環する世界なので、そういう意味で、人の健康にも地球の健康にも大切なのではないでしょうか。

番組は日本の農業についてまとめた後、さらに深く切り込んで、先ほどのマヤ文明の話に戻りました。

●自然の営みと共生しながら発達してきた、昔ながらの日本の農業を守ることこそ、日本の自然環境を守ることにほかならない。
●また日本は古来、農業という営みの中で独自の文化や芸能を育んできた。自然の恵みに感謝をささげ、豊作を祈って行なわれる祭りや芸能も、その多くは農村に由来する。
●人と自然が対話し共生しながら、その恵みを分かち合ってきた日本古来の知恵、農業。…日本の土と水には古来からの自然との共生の思いがこもっている。
●その知恵や思いを忘れてはならない。マヤ文明も自然との共生の知恵の意味を見失った時、環境のバランスが崩れて崩壊していったのだから。
●日本の環境、地球の環境が健康であるために、水と土の循環を止めてはならない。


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私はこの番組を見て、今まで読んできた何冊かの自然についての本を思い出しました。
中でも、1988年に出版された「自然を守るとはどういうことか」という本があります。
この本が、今の里山ブームの火付け役になったと思うのですが、約20年くらい前から、持続可能なライフスタイルとして日本の里山の暮らし方が着目されてきているのです。

そして現在、いたるところで緑を守る活動が行なわれていますが、自然との共存・共生とはほど遠い活動も見受けられます。
ただ単に緑を守ればいい、ある特定の生きものだけを守ればいいと思って、この番組でも強調されていた”自然の循環”とか、野生の生きものたちの営みを無視しているからです。

しかし、基本を踏み外してはならないと思います。
そういう意味で、この番組を見て、基本を学びなおすことができました。
この番組でも言われていた、水と土の循環などを体感できるように、菊名エコクラブの活動の中に組み入れていこうと思います。


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その他この番組の中では、ケルト民族の聖書に書かれてある循環と共生の世界観を探ったり、自然素材としての土の一面、そして宗教的に用いられる円形の水田(車田)が、日本とケルトで共通しているという内容でしたが、「菊名エコクラブ」の活動とは直接的に関係しないので、省略させていただきたいと思います。