1日1日感動したことを書きたい

本、音楽、映画、仕事、出会い。1日1日感動したことを書きたい。
人生の黄昏時だから、なおそう思います。

御影公会堂食堂

2008-01-18 19:59:21 | 日記
 今日は、西宮で用事があったので、帰りに「御影公会堂食堂」に行きました。1933年に建てられた御影公会堂の地下にある食堂です。公会堂は今年で、75歳になるのですね。空襲でも大震災でも、生き残った建物です。
 食堂は、大きな円い柱としっかりしたアーチ状の梁と高い天井があって、震災でも壊れなったのももっともだと思える建物でした。オムライスにハヤシシル(ハヤシライスの上にかける汁)をかけたオムハヤシを食べたけれど、とてもレトロな味がしました。子どもの頃に、両親に連れて行ってもらった食堂と、あの頃の団欒を、ふと思いだしてしまいました。
 正月に行ったフィレンツェやシエナには、12・3世紀からの建物がいっぱい残っていたけれど、建物にしみついた歴史の記憶を、日々実感できる人たちは、とてもうらやましいと思いました。

1.17

2008-01-17 20:32:50 | 日記
 1.17。あの地震から13年が経ったのですね。地震の恐怖と、かけがえのない人を失った方たちの涙。傾いた家とぺしゃんこになってしまった神戸の街。ガスも電気も水もない生活と、長い道のりを歩いて通った職場への道。避難所ではげまし合いながら生き抜いた人たち。それらすべてのことが、僕の心の中に、いまもしっかりと残っています。あの震災で命を落とされたすべての皆様のご冥福をいのりたいと思います。
 震災から二三ヶ月後、宝塚で屎尿くみ取りの仕事をされている労働者の方に、インタビューをしたことがあります。自分たちの家が被災したにもかかわらず、震災の翌日から、くみ取りの仕事を再開したというお話しでした。余震の中で、いつ家が倒れてくるかも知れないという恐怖の中での仕事だったそうです。彼らの労働がもしなかったら、宝塚市はどうなっていたんだろうと、話を聞きながら思いました。
 消防士の方々、市や県の職員の方々、電気やガスや水道の復旧に携わられた方々、被災者の心と体のケアーに尽くされた看護師の方々。そして、その他たくさんの人たちのがんばり。私たちがあの時知ったのは、命の重さと、私たちが生きているこの社会は、私たち一人一人の労働によって成り立っているのだと言うことだったと思うのです。そのことは、いつまでも忘れないでいたいと思います。

TONU NAISSOO/ESTONIAN WIND

2008-01-16 21:17:25 | 音楽
 TONU NAISSOOの「ESTONIAN WIND」(澤野工房)を、買いました。とても良いです。透明で、力強くて、奥行きがあって、明るくて。前作の「YOU STEPPED OUT OF A DREAM」もそうだけれど、この人のCDを聴いていると、こうしてジャズピアノを演奏していることが、幸せで仕方がないのだという<充実感>のようなものを感じてしまうのです。
 エストニア、ドイツとロシアに20世紀の初めから占領され続け、1991年に独立を勝ち取った国。TONU NAISSOOは、1951年、エストニア生まれ。エストニアが、ソビエト連邦から独立したときは40歳。どんな人生を歩んできたんだろうな、この人は。できることなら、会ってゆっくり話してみたいなと、同時代人として感じてしまうCDでした。

殯の森

2008-01-15 19:59:14 | 映画
 河瀬直美監督の「殯の森」を見ました。妻を失いグループホームで暮らす認知症の男性と、子供を失いそのグループホームで働き始めた女性。二人を主人公に、死と老いを見つめた作品であるとNHK衛星放送の解説は書いていたけれど、僕には、「死」よりは「生」を、「老い」よりは「老いてなお、深まっていく他者への情念」のようなものを描いた作品なんだと思えました。
 道に迷った二人がずぶぬれになりながら森を歩き続けるシーンや、たき火にあたり、互いの体をこすりあいながら、主人公の女性が、「生きてるんやね」とつぶやくシーンなどは、とても印象深いものでした。
 どこへ行くのかさえ定かではない道を、他者と身を寄せ、かすかなあたたかさを確かめあいながら歩いていく、生きていくとは、そういう行為なんだなぁとあらためて思いました。
 認知症の男性は、妻の三十三回忌をむかえても、なお、妻への思いを持ち続け、森をさまよった末に、大切にしてきた三十三年分の日記(のようなもの)を、埋葬するために穴を掘り、安らかにねむるところでこの映画は終わります。
 しかし、主人公たちの安らかな眠りは、ほんのわずかな時間しか許されてはおらず、夜が明けると、また、行く先さえ定かではない道を歩き続けなければならないんだろうなっと、僕には思えるのです。生きていくことの不安と、つらさと、厳しさと、それでもなお、生きるに値するかけがえのなさのようなものを感じないではおれない作品でした。



「シエナ-夢見るゴシック都市」 池上俊一著

2008-01-14 23:20:00 | 
 トスカーナの緑の大地と煉瓦の赤。正月に行ったシエナのことがもうすこし詳しく知りたくて、「シエナ-夢見るゴシック都市」(池上俊一著)
を読みました。プルーストもカミュもナポレオンも、シエナの美しさに心を奪われたのですね。
 この本を読むと、①トスカーナの緑の大地は、石灰岩の不毛の土地と湿地を耕し、農産物を育んできたシエナの農民たちの苦闘のたまものであること、②煉瓦の赤は、北ヨーロッパからローマへの交通の要衝として発展してきたシエナの町で、貴族階級から権力を奪った商人や市民達が、連帯の証として選んだ色であること、③近くに川もなく小高い丘にあるために、水問題に苦しんできたシエナでは、13世紀頃から、地下水脈に井戸を掘り、泉と地下水路を築くことで都市に環流させて生活用水として利用してきたこと、④シエナは、「自由」を奪い、「美」を破壊しようとする外部勢力に、歴史上何度も襲われ、耐えてきたことなどが、とてもよく分かります。
 たった1日のシエナ滞在。この本を読むと、700年にわたってシエナの人々よって作られてきた街並みの、三分の一も回れていないなぁと思いました。
 筆者は、高度資本主義とグローバル化が進展する中で、農業と観光を主産業とするシエナでは、若者が町を離れ、シエナを支えてきた地域のコミュニティーが崩壊の危機にあるということを指摘したあとで、次のような言葉でこの書物を結びます。
 「シエナが美しく生きていられれば、イタリアは大丈夫だ。そのイタリアの長所をうまく生かしながらEUを運営してゆくなら、ヨーロッパにはまだ明るい未来があるだろう」
 2001年の言葉ですが、2008年、シエナは、まだ十分に美しかったと思います。

ピリ辛とうふスープとすじスープ

2008-01-14 15:35:31 | 日記
今日は、寒いですね。三ノ宮に遊びに出たついでに、JR元町駅のそばにある韓国スープ専門店「すーぷ房 くだら」で、昼ご飯を食べてきました。私は750円の「ピリ辛とうふスープ」、つれあいはコラーゲンたっぷりの「すじスープ」(700円)を注文しました。ご飯とおつけもの二皿がついて、この値段。リーズナブルでした。
 味は、コクがあって、とてもおいしかったです。スープをすすると、体中に暖かさがまわっていくようで、少し風邪気味の私には、ピッタリの昼食でした。また、寒い日には行ってみたい一軒です。


アイヌの歴史  瀬川拓郎著 

2008-01-13 20:29:30 | 
 今日は、瀬川拓郎さんが書いた「アイヌの歴史 海と宝のノマド」という本を読みました。目から鱗、お薦めの一冊です。筆者は、「自然との共生」「平等」「平和」「縄文文化で歩みをとめてしまった人たち」という、アイヌに対する私たちの常識を相対化し、考古学の実証研究の成果をもとに、アイヌの側に視点を置いたリアルなアイヌの歴史を明らかにしていきます。  アイヌの文化やアイデンティティーは、自閉的な環境ではなく、戦争・対立・同化といった異文化との接触・関係の中で作られてきたこと、11世紀以降近代まで、宝(ワシの羽)の交易の主体として、東北からサハリン、大陸にまでアイヌの民が往来していたこと、宝をめぐる対立と格差の発生などなど、矛盾に苦しみながら前進してきたアイヌの姿がほんとうによくわかります。  そして筆者は、アイヌを辺境・周辺の民とする私たちの常識は、天皇を中心とする単一民族・単一文化という「虚構=フィクション」のなかでのみ成立するのだという鋭い指摘を行っています。世界地図を見ながら、東北、北海道、サハリン、中国大陸と広範囲に移動していたアイヌの民の姿を思い浮かべると、日本こそ辺境=周辺だったのではないかと思えるのです。  単一民族・単一文化という「虚構」の世界観から、今の私たちがどれほど自由になりえているかということを振り返る上でも、とても有益な一冊でした。



省エネナビによる家庭の省エネ

2008-01-13 15:21:04 | 自然エネルギーと省エネ
 私は、小型の風力発電を開発・販売する仕事をしています。風力発電は、地球温暖化ガスを発生しないクリーンなエネルギーですが、まだまだ価格が高くて、初期投資を回収するまでには至っていません。少しでも性能のよい風力発電機を開発して、経済的な効果と温暖化防止の両方に役立つものを、1日も早く作り出したいと思っていますが、もうすこし時間がかかりそうです。
 というわけで、地球の温暖化の防止に少しでも貢献しようと、昨年の11月から、「省エネナビ」を導入して、家庭での省エネを始めました。省エネナビは、電力使用量(kWh)のほかに、二酸化炭素(CO2)や熱量(MJ)、電気料金をリアルタイムに表示できる、非常にすぐれた省エネ支援機器です。今年は、前年度2割減の電気使用量を目指していますが、11月、12月のデーターを今日回収しました。

             月間電力消費量
          単位kwh
      2006年  2007年
    11月    421     285   68%
    12月    438     326   74%

 約30%の省エネ達成。省エネの達人の方と比べるとまだまですが、今年は、無理せずとりあえずこのペースで頑張ろうと思っています。

美の巨人たち  ゲルニカ

2008-01-12 22:47:02 | 美術館
「美の巨人たち」を見ました。ピカソのゲルニカに焦点を当てて、なぜ、ピカソがあの絵をモノトーンで描いたのかを追求しようとした番組でした。おもしろかったです。
 ピカソが絵から色をそぎ落としたのは、無差別爆撃によって突然日常を奪われたゲルニカの人たちの姿は、唯一ゲルニカだけの問題ではなく、現代にいきる私たちすべてに普遍的なものであるということを伝えたかったのだというのが、番組の結論だっように思います。「突然奪われる生の尊厳と日常のむなしさ」「不安」
 広島、長崎、ベトナム、カンボジア、コソボ、イラク・・・・そう、多くの人たちが、ある日突然、たった一度しかない生を奪われてきた、それが現代なのですよね。
 10年前に、バスクにある労働者協同組合の聖地、モンドラゴンを訪問したとき、マドリッドに立ち寄りました。プラド美術館にあるゴヤの「黒い絵」とソフィア王妃美術館のゲルニカの前で、動けなくなってしまったことを、番組を見ながら思いだしていました。

ウフィッツィ美術館

2008-01-12 11:54:11 | 美術館
1月3日、フィレンツェのウフィッツィ美術館に行ってきました。この時期でも、予約をしていってよかったなぁと思いました。朝の9時、予約なしの列には、すでに200人ぐらいの人が並んでいました。予約は、日本から直接電話を入れました。希望の日時と人数を言えば、予約番号を教えてもらえます。相手もゆっくりしゃべってくれるのでわりと簡単にできました。
ダヴィンチの絵、やっぱりすごかったです。受胎告知は、去年、上野で見たんだけれどその時は、5mぐらいは離れてしか見れなかった。しかし、ここでは80cmぐらいまで近づいて見れました。マリアの着ている透明なベールや床のタイル。斜めから見たときにはっきりわかる遠近法などなど、上野では味わえなかったすごさを実感することができました。


シエナ遠景

2008-01-11 21:39:11 | 旅行
フィレンツェからバスで1時間15分。ゴシックの町、シエナに行ってきました。トスカーナの緑の大地に、赤い屋根。ドーモ付属美術館の屋上から見たシエナの町は、ほんとうに美しかったです。