1日1日感動したことを書きたい

本、音楽、映画、仕事、出会い。1日1日感動したことを書きたい。
人生の黄昏時だから、なおそう思います。

新日曜美術館 松林図屏風

2008-01-27 21:49:19 | 美術館
 NHK教育テレビの新日曜美術館を見ました。パティシエ 辻口博啓さんが同郷の画家長谷川等伯の松林図屏風の魅力を語っていました。番組を見終わって、この人が作るお菓子を一度食べてみたいと思いました。
 松林図屏風の松は、強風を受けながら必死で耐えている、ふるさと千里浜の松だと、辻口氏は言います。等伯がふるさとから京都に旅立つときに、水路、海から見た松、これが等伯の心の原点だと、辻口さんは言います。確かに、海からみた千里浜の松は、等伯の絵そのものでした。
 時の権力者のおかかえ絵師として大きな力を持った狩野派からはなれ、さまざまな妨害を狩野派から受けながら一人孤独な営為を続けてきた等伯。最愛の息子を失った等伯が、人生の悲哀を感じながら、自らの原点を確認するために描いたモノクロの絵、それが松林図屏風でした。
 等伯の松林図屏風の余白について辻口さんは、次のように語っています。
「松林図屏風の余白の中には、僕の心を写す鏡がある。うれしいときにはうれしさを、悲しいときには悲しみをうつしてくれる鏡がある。ともに悲しみ、喜んでくれる鏡がある。その余白によっていつも励まされてきました。余白。それは日本の技術の核心です。抜くことによって生じる美。抜く技術。洋菓子のなかに、余白を作っていきたい」
 この言葉を聞いて、この人は、もう誰もマネする人がいないところまでお菓子作りを極めたのだぁと思いました。等伯のように、孤独に耐えているのだなぁとも思いました。余白を実感できるケーキ。すてきやね。東京に行ったときは、必ず、立ち寄ってみようと思います。
 今日は、美術番組三昧の1日でした。

日本の心の旅SP 甦る浮世絵ロード

2008-01-27 16:55:59 | 旅行
 「日本の心の旅SP 甦る浮世絵ロード」という番組を見ました。先週、「ヴィクトリア アンド アルバート美術館所蔵 浮世絵名品展」で、広重と北斎の浮世絵を見たばかりだったので、とても面白い番組になりました。
 <構図>、<モチーフとしての雨や雪>、<連作>、<色彩>、<風景の中に描かれた感情>、<旅>。番組では、モネの300点の浮世絵コレクションやジベルニーの庭、ゴッホの浮世絵の模写等を紹介しながら、広重や北斎が、印象派の画家たちにいかに大きな影響を与えたかを明らかにしていました。
 旅の行く先は、モネのジベルニーの庭、ルーアン大聖堂、セザンヌのセント・ヴィクトワール山、ゴッホのアルル、マルモッタン美術館にオランジュリー美術館。番組を見ていて、むしょうに行きたくなりました。次の旅行は、エクス・アン・プロヴァンスのセント・ヴィクトワール山かな。
 広重が食べた甘酒屋さん、とろろ汁の店、彼が泊まった旅館が、300年経ってもまだ営業しているのですね。甘酒もとろろ汁もおいしそうだった。これは、近くに出張することがあれば立ち寄ってみようと思います。

美の巨人たち カイユボット「床を削る人々」

2008-01-27 12:17:30 | 美術館
 不覚、朝9時からのNHK教育テレビ「新日曜美術館」を見るつもりが、起きれば9時50分。今日は、長谷川等伯の特集。夜8時からの再放送を念のために録画して、昨日録画しておいた「美の巨人たち」を見ました。
 「美の巨人たち」は、ギュスターブ・カイユボットの「床を削る人々」の特集でした。この絵は、オルセー美術館の中で、たしかに印象に残る絵の一枚でした。床を削る三人の鉋職人の労働が、窓から差し込む光によって輝いていたように思うのです。
 番組は、この絵を描いたカイユボットが、印象派の画家たちのパトロンであり、彼が集めた印象派のコレクションが、オルセー美術館の設立に大きな役割を果たしたことに焦点を当てていました。
 カイユボットが、繊維業で財をなした大ブルジョアの跡取りであったこと、「床を削る人々」のあの床は、カイユボットの家の床であったこと、カイユボットの絵は広角レンズでとった写真を元に描かれたこと、彼の絵が敬愛するドガの絵のとなりに展示されていたことなどが、今日の僕の新しい発見でした。
 あらためて「床を削る人々」の絵を見直すと、斜め上からの視線に、ブルジョアの跡取りのカイユボットと働く人々との距離があるのかなぁと思いました。
 さてこのあとは、3時からの「日本の心の旅SP」という番組があるようです。「広重の五十三次と共にフランスと東海道を旅する」。どんな番組なんかな。これも録画です。