1日1日感動したことを書きたい

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新たな働き方「協同労働」法制化

2008-12-22 17:46:14 | 経済指標メモ
 1997年にスペインのバスク地方にある、労働者協同組合の町「モンドラゴン」を、訪問したことがあります。100を超える労働者協同組合が、自分たちの銀行まで持って、バスク地方の雇用と経済を支えていました。たしか、バスク地方の総生産量の30%ぐらいを、労働者協同組合で担っていたように思います。

 モンドラゴンの労働者協同組合は、働いている人一人一人がお金を出し合い、企業体の運営については一人一票の平等の権利を持ち、利潤ではなく、協働と社会的に有用な労働を行うことに価値を置く、ユニークな経営理念を持っていました。

 モンドラゴンの人たちの話を聞きながら、日本との違いを最も感じたのは、スペインでは、「労働者協同組合」が「労働者協同組合法」によって、法的に認められているということでした。労働者協同組合は、株式会社に比べ税法上優遇されていたし、利益の一部を新しく生まれる労働者協同組合のために、プールすることも義務付けられていました。
 
 日本の場合、働いている人たちが、平等の原則に基づいて企業体を作ろうとするとき、「労働者協同組合」が法的に認められていないために、「株式会社」という形をとらざるを得ませんでした。弱肉強食の資本主義社会の中で、参加の平等の理念を持つ「労働者協同組合」が、「株式会社」として生き残っていくには、多くの困難に直面してきました。株式の所有形態をどうするのか?社長をどのようにして選ぶのか?銀行の融資を受けるときの保証人をどうするのか?社長を保証人としたとき、責任の不平等が生じないのか?経営への参加と決定の平等を、どのようにして保証するのか?などなど。このような取り組みは、自主管理企業として1970年代から営まれ、試行錯誤を繰り返しながら、今も継続しています。

今日の神戸新聞。新たな働き方「協同労働」法制化という記事が載っていました。労働者が自ら出資し、経営にも加わる新しい働き方「協同労働」を後押しする法案が、来春にも国会に提出される可能性が出てきたとのこと。一日も早く法制化されることを願うとともに、この動き、今後も注視していきたいと思いました。