1日1日感動したことを書きたい

本、音楽、映画、仕事、出会い。1日1日感動したことを書きたい。
人生の黄昏時だから、なおそう思います。

「夢のまにまに」(木村威雄)

2008-12-02 22:33:56 | 映画
 木村威夫監督の「夢のまにまに」を見ました。木村威夫監督は、鈴木清順の
美術監督としてがんばってこられた方です。今年91歳、今回の作品が初監督だ
そうです。
 とても美しい映画でした。映画の後半部、主人公の妻の気持ちがふっきれた
時にあらわれる一瞬の青空。ラストのシーン、老いた主人公が妻の車いすをお
しながら歩いているときの、満開の桜と花曇りの空。どちらの空もとても美し
かった。満開の桜には、青空ではなくて、花曇りの白がいい、それが、この映
画を観終わったあとの、僕の最初の感想でした。木村監督は、あの青空と、満開
の桜と花曇りの空を、ずっと待ち続けたのだろうなぁ。映像の美しさにかける木
村監督の執念のようなものが伝わってきました。

宮沢りえの青いバンダナとオレンジ色のショールの色づかい。絶妙!



原爆でなくなった姉を思い、主人公の妻が広告を切り刻んで作った原爆の図も
とても印象的でした。



ストーリーからは、91年間生き抜いてきた木村威夫監督の、戦争で命をうしなった
人々への鎮魂の思いと、支えあって生きていくことのかけがえのなさと、生きづら
い世の中だけれど、命を捨てずになんとか生き抜いていってほしいという願いが、
じんわりと伝わってきました。

   

映画って、映像の芸術なんだとあらためて実感できる一作でした。映画館で、ぜひ
みてもらいたいと思いました。僕も、91歳までがんばっていきよっと。