1日1日感動したことを書きたい

本、音楽、映画、仕事、出会い。1日1日感動したことを書きたい。
人生の黄昏時だから、なおそう思います。

国宝三井寺展

2008-12-07 20:36:04 | 美術館
 今日は、大阪市立美術館で開かれている「国宝三井寺展」に行ってきました。
今年は、三井寺を天台宗の寺院として中興した円珍が、唐からか密教の真髄をたず
さえて帰ってきてから1150年目にあたるのだそうです。それを記念して、この展覧
会が開かれました。三井寺所蔵の仏像や襖絵など、160点あまりが展示されていまし
た。
 今回の展覧会のクライマックスは、一階第二会場の不動明王立像や新羅明神坐像
などの秘仏と狩野元信の襖絵の展示だったと思います。個人的には、今回初めて公
開された「阿弥陀如来立像」が、穏やかな目といい、鼻といい、着衣の衣文といい、
とても美しいと思いました。

   
     秘仏不動明王立像

   
     秘仏如意輪官能菩薩像

 不動明王立像は、円珍の夢枕のあらわれ、唐で天台密教の教義をきわめてくる
ようにと語ったそうです。これを受けて、円珍は、唐に向かうのですが、この不
動明王立像を見ていると、円珍の天台密教の教義に対する原理原則的な姿勢が、
伝わってくるように思いました。教義に対するハードな姿勢が、同じ天台宗の
比叡山延暦寺との分派抗争や、他の寺社や権門勢力との抗争をうんだのだろうし、
教義を極めた者だけが見れる秘仏として、これらの仏像が伝えられ、守られてき
たのだと思いました。

 狩野元信の四季花木図。権力を誇示した父の永徳の絵に比べて、繊細で優美な
ものでした。

 

 この襖絵、3分ごとに一般の照明にとろうそくの明かりの照明に変化します。
ろうそくの明かりで見た金箔、とても美しかったです。

 今日の展覧会で初めて知ったのですが、西国33ヵ所観音めぐりというのは、江戸
時代からあったのですね。当時の33ヵ所の地図やお札などが展示されていました。
三井寺は第14番札所。お寺を訪れる人々が落としていく「観光収入」が、三井寺の
財政の一部を支えたそうです。三井寺の大衆化と天台密教の教義。うまく両立させ
ることができたのだろうかと、ふと思いました。