スロージョギングをはじめたら、思考が前向きになり、「緊急事態宣言解除となる来週からいよいよ秋の野山に出かけよう、ノリサケ弁当を復活させようか、ドイターザック登山デビュー用にテント場に予約の電話を入れようか、トレランスタイルで蔵王や船形エリアの林道をスロージョグしようか、トレランシューズまだ1足健在だよね、きのう21年前にフルマラソンデビューした勝田マラソンの要綱みたけど、来年1月末には6時間で完走できるまで体が復元しているかな、エントリーして試してみようかな、体重減らないから低糖質夕食に切り替えるか・・・」など朝の1時間、走りながらさまざまな脳内会話がなされている。
気持ち、ペースも上がって、息も上がらず、すれ違うランナーに会釈できるまでになってきた。1時間の朝ランの締めは、瑞鳳殿の階段であるが苦にもならない。
耳をすませど、セミの歌が聞こえなくなった土曜日の朝。
深田日本百名山登頂の思い出 6 トムラウシ(2141米) 7 十勝岳(2077)
北海道第二の高峰トムラウシにはすくなくとも80年代前半に三度は登った。そのうち、二度は、クワウンナイ川という北海道の山ヤならだれもが知っている美しいナメ滝を遡るバリエーションルートで、最初は山岳会の会山行で、翌年職場の同期採用の山好き二人を誘っての個人山行のスタイルだった。
その二回目のクワウンナイ川は、ちょっとした遭難騒ぎになった。歩いているのはオイラだけで、ガイド役となったオイラは、しっかり沢道を覚えているはずだったが、7月の第1週だったため沢上部にびっしりと雪が残っていてヒサゴの稜線にいたる枝沢が不明になり、道を探すのに相当の時間を要した。結局、その日登頂したら日帰りで天人峡に下るS君が下れなくなり、3人で山頂付近に泊まったため、日帰りのS君の家族が、心配して翌朝警察に連絡した。
我々が、翌朝天人峡方面に下っていると、真上に北海道警察のヘリコプターがやってきて旋回を始めた。ヘリが拡声器で「S君ですか~」と尋ねてきたので、S君は両手で円を描いたら、ヘリはそのまま立ち去った。下りながら、「あとで莫大な捜索費用を請求されるかもな」と心配そうに語り合った記憶ある。帰って確認したら、ちょうどヘリが大雪山のパトロール中だったとのことで、事なきを得た。
携帯電話の普及していない当時の話で、誰も無線機も持っていなかった。オイラの、地図読み能力のなさと、予備日を設けた登山計画を家族に置いてこなかったのが原因である。遥かに遠い日のはずかしい思い出である。
こんなことがあったが、トムラウシは北海道の山で一番好きな山。五色ヶ原の広大なお花畑、氷河を思い起こさせる岩と雪、岩陰から時折姿を見せる愛らしいナキウサギのチッチの声、もう一度歩いてみたい筆頭のエリアである。
トムラウシと近接した山域ながら、十勝岳は火山の山で、ゆったりとした円錐の美しい山容は火山性の岩と砂で構成されている。そのため降雪時期には雪崩の心配がありそうなところ。オイラが、北海道を離れて1~2年あと、旭川の山岳会の仲間だったTさんという女性が、会山行でスキー登山をしている最中、雪崩にあって命を落としたと、北海道の同僚が教えてくれた。送ってくれた遭難記事にTさんのさみしそうな顔写真がのっていた。旭川在住時は、なんどか一緒に登った人。無口だったが、山が好きでたまらないという風だった。
旭川から近いので、ふもとの白銀温泉や十勝岳温泉から十勝岳でなく、富良野岳、美瑛岳、オプタテシケと庭のようにあるいた。もう、1、2年旭川に住めていたら、オイラもTさんらとスキー登山に出掛けたことだろう。
沼の原から五色ヶ原に到る道はこの世の浄土と思われます
旭川の山岳会には、天人峡からトムラウシを日帰りピストンする元気な女性もおりました。