算太郎日記

日々の日記を綴ります

久しぶりの大江健三郎

2020年09月12日 | 日記
久しぶりに、大江健三郎氏の小説を読みました。
「憂い顔の童子」という作品です。

大江氏の小説は、難解で、文章も一文が長く、とても読みずらかったりするのですが、時々思い出したように読みたくなるのです。

この作品は、大江氏自身と思われる長江古義人が主人公で、他の登場人物も大江ファミリーと思わせる人物たちが重要な役どころで登場します。ノーベル賞作家の長江氏は生まれ故郷に居を構えることになるのですが、そこでの長江氏への評価は芳しくなく、様々なトラブルが起きます。作者の大江氏自身が故郷での自分の評価をそんな風に感じているように思ってしまいます。故郷の人々の長江氏への辛辣な評価が書かれていると、「いやいや、そこまで自虐的にならなくていいよ、大江さん。」とつぶやきそうになります。そんな風に思わせるのも、大江氏の作家としての力量なのかもしれませんが。

相変わらず、文章の読みにくさには抵抗はあるのですが、年を重ねるごとに大江ワールドを楽しめているような気がします。

コメントを投稿