父の日記のページをめくるのは、少しばかりの後ろめたさを感じたが、それ以上に口数の少なかった父が、どんな思いで日々過ごしていたのかを知りたいという気持ちの方が勝ってしまった。
私の家に同居してからの頁をめくると、母への想いが度々綴られているのが目についた。父が施設に入所している母のことを口にすることは殆どなかった。そんな父を「母のことは気にならないのか。心配ではないのか。」と批判的に見ていたところがあった私は、父の母への思いがこもった文章に触れて、温かい感情に満たされた。そして、「ちゃんと母のことを考えていたんだ。」と安堵した。
母への思いを知り得ただけでも、後ろめたい思いをしながらも父の日記を読んだ甲斐があった。
私の家に同居してからの頁をめくると、母への想いが度々綴られているのが目についた。父が施設に入所している母のことを口にすることは殆どなかった。そんな父を「母のことは気にならないのか。心配ではないのか。」と批判的に見ていたところがあった私は、父の母への思いがこもった文章に触れて、温かい感情に満たされた。そして、「ちゃんと母のことを考えていたんだ。」と安堵した。
母への思いを知り得ただけでも、後ろめたい思いをしながらも父の日記を読んだ甲斐があった。