算太郎日記

日々の日記を綴ります

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2024年08月06日 | 日記

葬儀の前日の夜だった。母の持ち物を整理していたら、免許証入れが目に留まった。車にはずいぶん以前から乗っていなかったので、最初は免許証と母がうまく結び付かなかった。


しばらく眺めていると、元気な時の母が思い出された。その頃の母は、確かに車を運転してあちこちに出かけていた。近所の人たちと出かけるときには、必ず運転手役をかってでていた。


そんな時もあったなあとぼんやりと思いだしながら免許書入れに触れると、一枚の写真が入れてあるのに気がついた。取り出して古ぼけた白黒の写真を見ると、一気に目頭が熱くなり胸がいっぱいになった。そこに写っていたのは、祖母だった。若くして亡くなった母の母親だ。


縁側にちょこんと座ってやさし笑顔を見せている祖母。母はこの写真をどんな思いで見ていたかと思うと涙が止まらなくなった。翌日葬儀が終わり、火葬場に運ぶ棺の中に花々と一緒に祖母の写真もそっと入れた。