神なる冬

カミナルフユはマヤの遺跡
コンサドーレサポーターなSFファンのブログ(謎)

[SF] 回帰祭

2008-12-17 21:32:38 | SF
『回帰祭』 小林めぐみ (ハヤカワ文庫JA)




由緒正しい正統派SF。ライトノベル風ハインライン。
こういうのを読むと、すごく落ち着く。

荒れ果てた地球を出発した移民船。たどり着いた過酷な地から、16歳になった男子だけが地球へと“回帰”する。

メインコンピューターの不調、男女比9:1の出生率、反乱分子、そしてウナギ…・…。
「我々はストレスにさらされている」
なぞの言葉とともに、回帰を目前にした二人の少年と、この地に残らなければ行けない少女の冒険が始まる。

すばらしい。
これは、いいSF(笑)

植民地が第4惑星だったり、“外”が人々の意識から巧妙に遠ざけられたり、あからさまに怪しい設定がありながらも、事態はまったく想像もしない展開に……。

読み終わった後で、扉(前文)の“彼”が誰なのかを考えると、これまた意味深。

アツも、ライカも、ヒマリも、みんな愛おしい。
なんだか、彼らに感情移入するよりも、がんばれよと、微笑ましく眺めてしまうけど。

ただ一点、個人的には「我々はストレスにさらされている」の言葉を残したのが、“彼ら”なのか、反乱分子なのか良くわからなくて消化不良。

この作品は、俺的SFのど真ん中を打ち抜く作品。これがSF、これぞSF。
なんだか、懐かしくて泣けてくる。(笑)