特集は「いまこそ、PKD。」。
アイドルが表紙に登場してびっくらこいたが、この人が“SFアイドル”として有名な西田藍。ああ、この人か、池澤春菜の座を脅かす新人というのは(笑)
特集の内容は、twitterでも流れていた「PKD総選挙」の結果発表。いまいちわかりずらいが、「AKB総選挙」のパクリということだな。
特集記事の開票分析by牧眞司はこの企画の意図を汲んだものだったにも関わらず、あまりにもアレなので、ネット上でも賛否両論で場外乱闘気味だったのがおもしろかった。
西田藍の原稿もちゃんとPKD愛にあふれるエッセイになっていて、これはやっぱり池澤春菜の座が危ういか。
個人的にPKDはあんまり思い入れがなくって、総選挙の投票にも参加していないんだけれど、これだけ熱狂的に支持されている作家というのはすごいなと素直に思う。
しかし、『アンドロ羊』とか、『高い城の男』とかのメジャー物はやっぱり面白いと思うんだけれど、今回上位に入った『ユービック』とか、『パーマー・エルドリッチ』はいまいち理解しきれなくて苦手なのだよな。
○「地図にない町」 フィリップ・K・ディック (大森望 訳)
現実崩壊の悪夢が現実を侵食する話というのが俺的PKDの印象なのだけれど、これはまさしくそんな感じ。
◎「ハーラン・エリスン編『危険なヴィジョン』向きの、すべての物語の終わりとなる物語」 フィリップ・K・ディック (大森望 訳)
これだけの短さで、これだけふくらみのある物語を作れるのはすごい。
◎ 「レストラン・ド・カンパーニュ」 吉上 亮
アニメ『PSYCHO-PASS』のスピンオフ小説、縢秀星篇。そういえば、自宅で料理しているシーンがあったけど、こういう設定だったのか。5歳で潜在犯罪者となり、隔離されて育った縢が、料理に出会うことによって人生で初めて生きる実感を掴んでいくあたりが、ヘレン・ケラーの「ウォーター!」並みに感動する。
△ 「ジュピター・サーカス」 谷 甲州
読み切りとして載っているんだけど、これってやっぱり読み切りなのか?
◎ 「サイレンの呪文」 オキシタケヒコ
武佐音研に押し込み強盗が入るという物騒な始まり方をするが、武佐音研の二人の高校時代の回想がメイン。いつもの音響工学ではなく、ペルソナ(ネット上、リアル、どちらであれ)がテーマ。他人と違うことにより虐げられてきた人格が、社会(たとえそれが親友との二人だけの小さな社会であっても)と折り合いをつけていく葛藤に胸が痛くなる。
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