今号は「円谷プロダクション×SFマガジン」。
円谷英二氏の来歴も初めて読んだので興味深かったが、やはり《TSUBURAYA×HAYAKAWA UNIVERSE》と題された短編3篇が面白かった。三者三様のアプローチで円谷プロ作品のオマージュというか、二次創作を行っている。
何がおもしろいって、著者三人の魅力がそのまま作品に反映されているということ。それだけ、この三人にとって円谷プロ作品というのは血肉になっていて、自然な形でアウトプットできるということなんだろう。極端な話、普段書いている作品の固有名詞を円谷プロ作品由来のものに変えるだけで済むのかも。
第2回SFコンテストの発表は柴田勝家氏のご近影がすべて持っていった感じ。噂通り、どう見ても武将。これはペンネームを変えなくて正解だ。アップになると意外につぶらな瞳がかわいい感じ。
講評を読む限りは、大賞候補作のどれも読みたい気がするのだけれど、中でも一番地雷っぽいものが次に出版されるとのことで、いろいろな意味で楽しみ。
そして、噂のSFマガジン隔月化のお知らせ。縮小ではなく、発展的な方向でとのことなのだけれど、具体的にどういう方向に進むのかさっぱり見えない。アニメやアイドルとのコラボで、誌上もいろいろとおもしろくなってきたところなので、メディアミックスや電子化を主戦場にしていくのだろうか。
○「多々良島ふたたび」 山本弘
ウルトラマンのいちエピソードから、なぜガラモンの小型版のピグモンが……などの疑問を解消する山本弘らしい解決編。あれがあれでこれがそれなのね、という感じでいろいろつながっている。わかったつもりになっていても、wikipediaとかを読み直すと新たな発見があるかも。
○「宇宙からの贈りものたち」 北野勇作
これまた北野勇作的な怪しいホラー。あとがきのようになっているエッセイも、とても共感できる。
○「マウンテンピーナッツ」 小林泰三
悪乗り版の小林泰三。ちょっとあまりに露骨すぎるのはどうかと思うが、ジャミラの扱いは涙無しには読めません。
-「長城〈前篇〉」 小田雅久仁
あれ、ホラーとしては前篇だけで完結してもいいような感じ。後篇はこれの謎解きでもするのか?
円状塔の連載はどんどん意味が分からなくなっている。これは単行本で読み直し必須。
神林長平の連載は、意表を突く爆弾発言で、こちらもどんどん訳が分からなくなっていく。
谷甲州の連載も相変わらず細切れのエピソードで、連作だとしてもどうつながるのかがわからない。あるいは、つながらない群像劇で終わるのか……。