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神なる冬

カミナルフユはマヤの遺跡
コンサドーレサポーターなSFファンのブログ(謎)

[SF?] 日本超古代文明のすべて

2011-12-13 23:44:23 | SF
『日本超古代文明のすべて―「大いなるヤマトの縄文の遺産」を探究する!』 (知の探究シリーズ 日本文芸社)


今年の「神保町ブックフェスティバル」のブースで買ってきた本。世界編もあったけど、日本編を購入。本の底に赤い○Bマークあり。\500也。

古代文明は元から大好きなのだけど、最近は日本の縄文文化が熱い。いや、もはや縄文文明である。特に何がすごいって、北方に高度な遺跡が多いということ。三内丸山をはじめ、北海道にも多くの遺跡があることが判明している。温暖化した現在よりも寒かったはずの北海道に、高度な文明が存在したなんて、むちゃくちゃなロマンではないか。どうやって生活していたんだろう。まさか冬眠? いや渡り鳥みたいに南北に移動していたっていうのがありそうな説ではあるが。

『古事記』や『日本書紀』が、権力者によって作られた“歴史”であるという認識も広まってきているし、縄文文明の再評価の機運は高まっているんじゃないかと思う。

そんなこんなで、老後に日本の遺跡めぐりでもしようかという準備のために読んでみた。以前に聞いている話題も多かったが、日本ピラミッドガイドは読み応え十分で太古の旅へロマンが誘う。この本には出てこないが、札幌の三角山ピラミッド説も真実であれ都市伝説であれ、身近な古代文明ロマンとして親近感のある話題だ。

しかし、第5章の「神代文字」あたりから話が怪しくなって、第6章の「世界文明」にいたっては、もはや笑い話である。この話の怪しくなり方ははっきりとしていて、紹介される説の根拠が急に乏しく、書き手の推測だけになって参照文献が無くなってしまうのだ。この辺りはわかっていると笑える。

アヒルクサ文字、トヨクニ文字などの神代文字は、中国から漢字が輸入される以前から日本に存在した文化である。古代遺跡の文様や碑文は神代文字で解読できるとか、これまで漢字で解釈されてきた銘文も定説を覆して神代文字で読めるとか、非常に興味深い記載もある。

しかし、世界各地にこれらの神代文字が散らばっているというのは眉唾モノだ。言語学的には孤立した言語である日本語の、しかも“表音文字”である神代文字が世界に散らばっているとは阿呆らし過ぎる。古代エジプト人が日本語をしゃべっていたとでもいうのか。

こんな感じで、後半は駄洒落に近いこじつけの連発で、笑いながら読むしかない。前半が日本各地に残る文献や実地調査による真面目な調査結果を載せているのに、この後半の阿呆らしい内容ですべてが阿呆らしく見えてしまう。

結局のところ、編集者が前半の内容からまるっきり信じていなくて、すべては“シャンバラは四国にあった!”レベルの与太話と同一レベルだと思っているから、こういう構成になっているんじゃないか。あるいは、最初から、その手の与太話を信じ込ませるために騙しのテクニックで作られた本なのか。

前半の内容が興味深かっただけに、非常に残念に思ってしまった。

いずれにせよ、時の権力者が闇の向こうに葬ってしまった古代縄文文明は、考古学としても日本の歴史としても、興味本位のとんでも説だけでなく、ちゃんとした学問として再評価されるべきである。それにはまず、古墳の発掘を許可いただけないでしょうか、文科省様。


[SF] マインド・イーター[完全版]

2011-12-13 22:43:38 | SF
『マインド・イーター[完全版]』 水見稜 (創元SF文庫)





早川版を読んでいるはずなのだが、遠い記憶でほとんど覚えていない。なんだか難解だったことだけは覚えているのだが。

そんなわけで急にtwitter上で話題になっていた『マインドイーター完全版』を読んでみた。

その感想は……ううむ。

読書メーターに「残念ながら、いまいち波長が合わなかったようだ。」と書いたら、解説を書いた飛浩隆さんにRTされた。そんなことするからM・E botとか言われるんだよ(´・ω・`)


自分はどうやら、腑に落ちる話が好きらしい。腑に落ちない話、不条理な話、矛盾に気を取られてしまった話にはどうにも乗れない。『マインド・イーター』は、とにかくマインド・イーター(M・E)の存在が最後まで“わからないもの”としてしか描写されないことが「腑に落ちない」のだろう。

解説では「相の違い」と言われているが、相ってなんだ!

褒めているブログを見に行っても、なんだか抽象的にしか書かれていないし、どうにも納得がいかない。

短編ひとつひとつを抜き出すと、謎の存在であるM・Eとの戦いに、ものすごくワクワクし、とてつもない畏怖を覚え、M・Eが表象する根源的恐怖に深く考えを持っていかれるわけだけれど、これが連作として重ね合わさったときに、その中央部に何かの実体を見ることが、俺にはできなかった。

そのあたりが、好き嫌いの分かれるところなのか、そもそも俺の読み方に問題があるのか。

だいたい、メタファーとか言われているが、それはいったい何のメタファーなのだ。それを教えてくれる人はいるのか?

邪悪な憎悪というのも、いまひとつ納得がいかない。M・E症はどちらかというと自閉症や、極度の内省傾向を示しているように見え、これが描写できないほどの憎悪が原因というのも腑に落ちない。憎悪が進化の源という考え方にはすごいロマンを感じるんだけどねぇ。それも一部のメタファーであってM・Eの正体ではなさそうだし。

その憎悪というのは、いったい、誰(何)の誰(何)に対する憎悪なのか? M・Eが本質的なMeであることは言葉遊び以上の何かがそこにあるのか?

ねぇねぇ、わかってるひとたち、教えてよ。何、そんなこと自分で考えろって? なんだ、自分でもわかってないのかよ。けっ! とか、そんな感じ。

明確な答えを求めているわけではない。宇宙の96%が仮説だと言っても、そこには腑に落ちる無矛盾な説がある。M・Eは連作として腑に落ちなかった。ただそれだけなのだ。

思わせぶりな描写の向こうに真実はあるのか。それとも、そこはそもそも空白なのか。あなたはそこにいますか? 魂の座には誰がいますか?

ファフナーやヱヴァの原作とまで言っている人たちもいるが、気持ちはわかるものの、さっぱり意味は分からん。


いや、ちょっと待て。俺は飛さんやら他の人の感想に踊らされすぎているのかもしれない。

M・Eは宇宙の原初から存在し、人類を、生命を進化させ続けてきた。それは時に鉱物と植物と動物と、さらには音楽と生命の境目を曖昧にし、憎悪という感情をエンジンに進化の歯車を回し続けている。個は憎悪から生まれた。全体へ還ろうとする個を憎悪が阻む。そういう俺的解釈で良いのではないか。



[映画] リアル・スティール

2011-12-13 21:06:45 | 映画
『リアル・スティール』 - goo映画



(C)DreamWorks II Distribution Co. LLC


超悪男子! 苦痛末期! 極楽拷問!

一部で話題になっているあのロボットは主役メカではありません。こいつ(Noisy Boy)は主人公のオヤジが息子の養育権を叔母夫婦に売り渡した金で買った型落ち格闘ロボット。日本やブラジルを経由してきたせいで無様なカスタマイズを施されているも、基本性能はちゃんとしていたので、前座試合で勝てばそれなりに稼げたものを、意地でメインイベントにぶち込んだものだから敢え無く敗退。スクラップと化したのであった。残念。

これに変わって親子が手に入れたのが、マックスがスクラップ置き場で拾ってきたATOM。名前をカタカナで書けないのは、大人の事情。向こうじゃAstro Boyだからな。

このATOMは本来ならばロボットバトルに参加できないG2ロボット。バトル用ロボの打たれ役でスパーリング専用機。しかし、これがモーションキャプチャによる模倣機能(シャドウ機能)を持っていたことから、話はうまい方向へ転がり始める。

とにかく打たれ強いので、防御は抜群。これに元ボクサーのオヤジの攻撃パターンと、息子のダンスセンスをミックス。ついでにNoisy Boyの4ヶ国語音声認識システムを搭載して、最強ロボットATOMが誕生した。

なんでもありのロボットバトルのはずなのに、ボクシングスタイルでの応酬が多くなるのがアメリカ人の想像力の無さなのだが、今回はオヤジのボクシングパターンをロボットにコピーするという設定なので、その描写には違和感が無い。

ロボットバトルが盛んになるという背景も、昨今のUFC流行りを取り込んで、より残虐なバトルを観客が望んだ結果、人間が試合をしなくなったというのも、ある意味皮肉が効いている。

その残虐バトルを望んだ結果が、冒頭のロボットvs猛牛(リアル)の戦いなのだろう。しかし、この冒頭のバトルからしてものすごい。牛にタックルしてねじ伏せるなんて、どうやって撮ったんだ、あのシーン。まさか、牛までフルCGでもあるまい。

趣味の都合上(笑)ロボットバトルにばかり目が行ってしまうが、ダメ父親チャーリーと、気の強い息子マックスのドラマも泣ける。予定調和で裏切りの無いストーリーだが、それだけに、あきらめるなというメッセージがストレートに伝わってくる。

ロボットATOMの演技(!)もいい。ATOMの顔はただの金網なのだが、この金網が微妙に歪んでいることでいくつもの表情を見せることになる。本当に歪み位置を微妙に変えたりしているのかもしれないが、これがすばらしい。マックスが最初にチャーリーに会った時の嫌そうな顔が、どんな風に変わっていくのかを見ていても面白い。

そして、超悪男子に代表されるロボット・ニッポンのリスペクト。Noisy Boyを操作する音声コマンド、「ミギ、ヒダリ、アッパカットニカイ!」にも笑った。最後のMIDAS vs ATOMでマックスが着てたTシャツにカタカナで「ロボット」とか。敵のエンジニアが日本人っぽいとか(俳優は中国系?)、ロボット=ニッポンなリスペクトに、なんだか申し訳ないぐらいだった。日本のロボット産業は期待に応えてもっと頑張らないとね☆