神なる冬

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コンサドーレサポーターなSFファンのブログ(謎)

[SF] ノパルガース

2009-09-09 21:24:50 | SF
『ノパルガース』 ジャック・ヴァンス (ハヤカワ文庫 SF)




ノパルガース!
ノパルガーズでもなく、ノバルガースでもありません。

寄生生命体ノパルの本拠地と名指しされたノパルガース=地球にエイリアンが攻めてくる。
それまでに地球からノパルを一掃しないと地球人ごと皆殺しぃー!

1966年刊行、もしかしたら初出は今から50年も前のパルプフィクションが、なんで今頃日本で新刊として登場したのかは訳者あとがきに詳しい。

“エースのダブル”とか良く聞くんだが、日本だと何に当たるんだろう。少なくともラノベではないよな。どちらかと言うと、漫画ゴラクとかな感じか、それもまた違うか。

しかし、さすがはジャック・ヴァンス。いい加減な小説かと思いきや、奇抜なアイディアと、度重なるどんでん返しで飽きが来ない。というか、飽きさせる長さでもないが。この長さといい、ノパルに取り付かれた人間の描写といい、チープなエイリアン像といい、ハリウッド映画大作にぴったりだと思うんだが、誰か映画化してくれないものか。

パルプフィクションとして出版されたにもかかわらず、SFの面白さがしっかりと込められている。SFの教科書として読んでもいいくらいの素晴らしさ。ここにSFのすべてがあるとまでは言わないが、SFの一分野のすべてくらいはここにある(笑)

特に、陳腐なりに、50年間色褪せないアイディアとストーリーは素晴らしい。これはもうSF的神話、おとぎばなしの域に達している。

いくら褒めても褒めたりないくらいだが、年間ベストには絶対挙げない。そういう作品である

ところで、ノパル。イメージ的にはドラクエⅨのモンスター、かまいたちとか、うずしおキング。あれが頭の後ろに乗っかって顔を出している感じ。結構、かわいい。